オリエント急行殺人事件が忠臣蔵になっていたの巻。
昨日の三谷幸喜版オリエント急行殺人事件について書いた記事のアクセスが結構多いので、続編を書くことに。あまり気乗りしないのですが・・・。
録画したものをCMを早送りにして見た(CM多すぎ!しかも、出演俳優が起用されているCMがこんなに多いのはどうして?!)。
ながら見だけど、短い感想を。
1 NHKのスーシェ版オリエント急行殺人事件を最近見たばかりのせいか、こんなに殺人を軽く扱ってしまっていいのか、と感じてしまった。BGMといい、セリフといい・・・。
原作もシドニー・ルメット監督版の映画も、娯楽性は保ちつつ、ここまで殺人を脳天気には扱っていなかったと思う。
やっぱり、三谷氏が扱う題材としては、難しすぎたのではないか。
2 確かにクリスティの原作も復讐劇だけど、忠臣蔵の方は家臣に「武士道」や「忠義」があり最後も切腹で終わるから悲壮感もあって日本人には長く受け入れられている物語だと思う。
クリスティの原作は「私怨」だけではなく「陪審制」が背景にあって、同じ復讐劇でもかなり違う。
「陪審制」は日本人にはあまりなじみがなく(「裁判員制度」は「陪審制」とは似て非なるものだし、もともと国民が望んだ制度でもない)、12人にこだわるのも変である(裁判員制度だって6人だしね)。
その上、陪審制を肯定的に描くとしても、最後があの脳天気ぶりでは・・・。
裁判員だって、死刑判決を下してトラウマになってしまった人がいるというのに・・・。
3 オリエント急行殺人事件は、もともと推理小説としては反則だし、突き詰めていけば成り立たない部分も多い(乗客が偽名を使っていたり、いくら身分を隠していても、いずれバレるしね)。
シドニー・ルメット監督は、そこをオールキャストの俳優を使ってストーリーよりもポワロとの会話や演技で楽しませたので、映画としては成功したのだと思う。
それ以上に、犯人たちが犯行に至るまでの経緯や背景などは原作でも映画版でも、読者や観客は知りたいと思うだろうか。想像にお任せします、というのが原作だし、少なくとも私はさほど知りたくもなかった。
三谷氏のオリジナルはそこを描いたわけだけれど、想像の範囲内で特に面白くもなかった(それに、やっぱり偽名を使い経歴を偽れば警察にバレるんだし、緻密な計画を立てて準備したなんて説得力ないでしょう)。
やっぱり、第1夜の役者さんの演技や演出の力が勝負なのであって、私は野村萬斎さんのあの演技はとても受け付けない(誰も注意しなかったのでしょうか?)。舞台ならいいんでしょうが。
そして、なんといっても見せ場の羽鳥夫人の演技があれではなぁ・・・と思いました。表と裏があるから面白いのに、平板で面白みのないドラマになってしまっていた。
・・・・・日本版のオリエント急行殺人事件にちょっと期待していたのだが、やっぱり残念な結果だった。
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