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2013年5月25日 (土)

司法試験合格者数3000人をやたら急ぐ中坊公平氏と慎重な他の委員たち。

 この集中審議の議事録は大変興味深い。この集中審議が、現在の司法改革の失敗の発端といえるだろう。

司法制度改革審議会集中審議(第1日)議事録 より (下線、太字は私が付したもの)

【佐藤会長】時間もどんどん進みますけれども、この法曹人口の問題について御発言いただければと思います。

【水原委員】先ほどのところでも議論が出ましたけれども、法曹人口が足りないという意味において、これは異論のないところだと思うんです。したがって、増加はしなければいけないけれども、先ほど来議論になったとおり、増加にはマーケットと質が伴わなけれはいけない。どれくらいのマーケットがあるものなのか、需要はどれくらいあるのかということの予測と、それから、ロースクールになるかどうかわかりませんけれども、司法試験の合格者の質がどれくらい向上していくか、その2つがもう少し検証されていかないと、法曹人口について幾らが適正であるかというのは非常に難しい問題ではないかという、当然の話を申し上げました。そういう意味では、その都度その都度の検証をしていくことが非常に大事じゃないかという気がいたします。

 この水原委員というのは 弁護士(元名古屋高等検察庁検事長)水原 敏博氏のことです。

 この水原氏のご意見はごもっともだと思います。

 この水原氏の意見の後に、吉岡初子委員(主婦連合会事務局長)、井上正仁委員(東京大学法学部教授、現在は法曹養成制度検討会議委員)、藤田耕三委員(弁護士、元広島高等裁判所長官)の発言が続きます。

【吉岡委員】質の問題で、先ほど井上委員が、合格者の下の方と不合格者の上の方との差がすれすれだとおっしゃっていましたね。その不合格者のすれすれのところが相当数いらっしゃるとおっしゃっていましたね。そのすれすれのところ、例えば100点満点の90点が合格だとしたらば、それを89点とか88点にした場合には、相当数が合格するわけですね。

【井上委員】理屈の上ではそれはそうですけれども、合格点自体が、80点とか90点というほど高ければいいんですが、今の合格点がどの辺に位置するかというのはなかなか位置づけにくい。人によっても受け取り方が違いますから、あくまで私の感じで申し上げますが、私にもし絶対権力を与えてくれてやれば、かなり低いんじゃないかと思います。それは毎年の答案の採点を付けている感じで、試験問題との対応もあるものですから、一概には言えないんですけれども、私から見ますとちょっと力が足りないかなという層がかなりいる。しかし、これはきちっと教育をすればレベルアップすることは恐らく間違いないだろうと、印象で物を申し上げたのです。

【吉岡委員】相当数というところが非常におおざっぱでわかりにくいんですけれども、今、司法試験の合格者が1,000人までいっていますが、相当数あるというのは、今のままでいっても、合格点を少し下げてやるか、あるいは少し教育をすれば、1,500人とか2,000人にはすぐ行くということですか。

【井上委員】合格水準を単純に下げればどんどん増えることは確かです。詳しいデータは分かりませんけれども、恐らく真ん中の辺がふくらんでいる成績分布になっていると思うのです。おおまかなことしか言えないんですが、その中にある程度教育すれば上に乗る人もいる。今の司法試験を前提にしてもそう言えるかもしれませんが、制度論としては、層としてレベルを上げていくということで考えないとちょっと難しいのではないかと、私は思うのです。

【吉岡委員】既存の制度を前提にして、今の4年制の法学部でロースクールはないという、その前提でしても、相当数上がりそうだということですか。

【井上委員】今の分布を前提にしますと、法学部を前提にするのか、受験予備校を前提にするのかわかりませんけれども、合格点を単純にどんどん下げていけば、かなりの数が受かるというのはその通りです。

【水原委員】今の問題なんですけれども、今、吉岡委員は80点くらいが合格ラインだという御理解のようですけれども。

【吉岡委員】90点です。

【水原委員】実は60点が合格ラインだと思います。

【吉岡委員】それで3%なんですか。

【水原委員】はい。だからそれより下げたならば、量はどんどん合格者は出るんだけれども、それでいいのかというのが議論になっているわけなんです。

【吉岡委員】でも、60点が合格ラインでもって、3%しか合格しないとすると、今の法学部の教え方がよっぽど悪いということなのでしょうか。

【井上委員】法学部だけじゃなくて、今の制度の下での受験を専らの目標にして勉強しているわけです。ですから、本当に中身がどれだけわかっているのかということで見ると、かなり厳しくなるのです。

【吉岡委員】後で言おうと思ったことですが、司法試験に問題があるのかということなんです。井上先生が思っているような、この人だったら合格させてもいいなという資質、そういう人たちが拾えるような内容の司法試験であればかなり上がるということではないですか。

【井上委員】そこは私の報告でも申し上げましたし、ヒアリングでも法務省の小津人事課長が指摘されていましたが、一種のイタチごっこでして、あくまで客観的、公平な試験をしないといけないということからすると、今のような形は崩せないのです。そして、それに効率的に受かるためには、受験予備校だけが悪いとは申しませんけれども、今のような勉強の仕方になってしまう。そうすると、かなりの層は、大体同じような金太郎飴的になってしまって、その間での評価になってしまう。今のような仕組みを維持する限りは、試験問題を変えるということによって救い上げるようなことはなかなか難しいのではないか。そういう努力を現に試験の方ではやってきた。毎年のようにやってきたわけです。

 しかし、問題の出し方を変えても、1年か2年しか効果がなくて、受験に向けた効率よいプログラムをうたい文句にしているところがたくさんあり、プロですから対応してしまう。そうなるともうだめなのです。

【藤田委員】大分前ですけれども、私も司法試験の考査委員をしたことがあるんですが、及落判定会議で議論をしますと、1点、2点下げるとかなり数は増えるんですが、いつも学者の試験委員の方が下げることを主張され、実務家の司法研修所の教官などが下げるのに反対するという図式で毎年同じことをやっていたんです。学者の方は1点、2点下げたところで大したレベルの違いはないとおっしゃる。研修所の方は、無理して下げた期は後々随分手を焼いて大変だったということなんです。

 そういう意味で学者が学生を見る目と、実務家が見る目とちょっと違うかなという気もするんです。口述試験も守秘義務があるから余り言っちゃいけないのかもしれませんけれども、あるレベルの点数がほとんどの受験者について付くんですが、出来がよければプラス1、プラス2、悪ければマイナス1、マイナス2というような点を付けます。本当は全科目についてレベル点以上を取らなければいけないのですが、それでは予定している人数に達しないので、1科目や2科目、マイナスが付いているような受験生も取るということでやっていました。そういう意味では以前のことではありますけれども、質的なレベルについてはかなり問題があるんじゃないでしょうか。

【井上委員】私も現役で守秘義務があるので、具体的には申し上げられないのですけれども、その点はもっとはっきり差が出るような形でやるようにはなってきているのですけれども、それでもおっしゃるような問題は残っています。

 司法試験合格者数1000人の時点でも、司法試験考査委員経験のある井上委員、藤田委員は、質が低下していると嘆いている。

 その後、高木 剛委員(日本労働組合総連合会副会長)、山本 勝委員(東京電力(株)取締役副社長)が、話を変える。

【髙木委員】試験の出来がいいか悪いかの話はまた別途やってもらう場があるんだと思うんだけれども、人口論をやるわけでして、ともかくアクセスが良くない、弁護士さんも弁護士事務所も、あるいは一部裁判所も、警察には余り連れていかれたくないけれども、そういう意味でのアクセスが非常に悪い、使い勝手を良くしてほしいという、その根っこには、現状ではより多く、より良く、より早くというのもあるんだろうと思うんです。そういう意味で、今までいろんな議論を重ねてきましたが、裁判所にもあるいは検察庁にも弁護士さんも、人が足りない、少額訴訟などは受けてくれる人がいないと、みんな言っているわけです。

 こういうのを予測してどうのこうのというのは、いろんな職種、いろんな仕事があるわけですが、長く定着したような仕事は、一部例外的に仕事の予測可能性みたいな世界があるのかもしれませんが、大方のものというのは、世の中の動きで、結局、過剰になれば、社会がおのずと自律的に調整していくんですよ。食えなくなるわけですから。

 そういう意味で、足りないときはともかく増やす方向を一生懸命志向してみて、それに伴って、陥ってはいけない弊害はどういうことなんだというのをできるだけレベルなどで押えてという、そういう意味で、予測ができないからどうだとか、予測しながらというのは、この種の問題では余り意味がないんじゃないかなと、私はそんなふうに思います。

【山本委員】全く同じ意見です。将来何年ごろまでに幾らにするという議論は、ちょっと現実離れした議論だと思うんです。確かに、現在足りないということは事実なわけですから、とにかく増やしていくということでいいと思うんです。前提が幾つかあるんですけれども、質・量とも必ず需要は増えていくわけですけれども、弁護士さんの兼職禁止というものを徹底的に自由化するということがまず一つ挙げられるでしょう。

 現実問題として、かなりの数の隣接職種の人たちがいるわけです。中坊先生が最初におっしゃったように、将来どういう形でいくんだろうかというのはやはり議論する必要があると思います。してみると、多少は整理という方向が出てくるんじゃないかと私は思うんです。その間はその人たちのリーガル・サービスというのは現実に受けていくわけですから、いろんな不確定要素がありますので、何年ごろまでに何万人にするという議論は、余り好ましくないんじゃないか。現実に来年から幾らくらいに増やしていくかというところを我々は議論すべきじゃないかと思っています。

【髙木委員】山本さんの言われた、私はちょうど中間くらいの感じなんですが、22ページの2050年、こんなものわかるかと思います。この時代に日本はどういうことになっているか。ただ、2010年とか2015年とか、それくらいはまだ、例えば2015年とか2020年に毎年5,000人増やしていったらこうなるとか、3,000人増やしたらこうなるとかいうくらいは、数としては頭に入るけれども、結果的にそれだって社会の需要力として、トータルでそれだけのものが要るか要らんかは、結果的にそれでも足らんということになれば更に社会的に修正されるでしょうし、あそこ入ったって余りうまい飯は食えんぞということになれば違う選択するわけですから。

【山本委員】そうですね。だから、一気にこんなに出るかということも考えなきゃいけないと思うんです。

 高木委員は、他の発言を見ても、弁護士に対してかなり悪い印象をお持ちのようだ(関わられた弁護士がよほど悪かったのではないだろうかと推測する)。

 しかし、「・・・大方のものというのは、世の中の動きで、結局、過剰になれば、社会がおのずと自律的に調整していくんですよ。食えなくなるわけですから。

 そういう意味で、足りないときはともかく増やす方向を一生懸命志向してみて、それに伴って、陥ってはいけない弊害はどういうことなんだというのをできるだけレベルなどで押えてという、そういう意味で、予測ができないからどうだとか、予測しながらというのは、この種の問題では余り意味がないんじゃないかなと、私はそんなふうに思います。 」というのは乱暴すぎる発言だ。

 高木委員は、弁護士過剰の弊害というものを、あまり理解されていないようだ。弁護士が「食えなくなる」までに国民にどういう被害を与えるかということに対する洞察力が欠如している。そして、弁護士には司法の担い手として他の職業と異なる重い責任が課されているとともに、弁護士の養成過程において国民が経済的負担を負っていることも無視している。 

 もっとも、高木委員の「あそこ入ったって余りうまい飯は食えんぞということになれば違う選択するわけですから。」という見通しは、今まさに法曹志望者の激減という形で的中している。但し、単純な高木委員には、井上委員の有する「質の低下」に対する懸念などはみじんもないようだが。

 これに対して、山本委員は、この高木委員に同調しているかのようにみえるが、隣接士業の存在に触れ、「いろんな不確定要素がありますので、何年ごろまでに何万人にするという議論は、余り好ましくないんじゃないか。現実に来年から幾らくらいに増やしていくかというところを我々は議論すべきじゃないかと思っています。」と述べており、 慎重派で、むしろ水原委員の意見に近いように思える。乱暴な意見を頻発する高木委員に同調するかのように見せて、実は懐柔しようとしていたのではないか。

 ちなみに、この山本委員は、ネットで調べると既にお亡くなりになっているようだが、残っている記録を見ると、なかなか人望のあった方のようだ。発言をみても、慎重で理知的な感じがする。なんでも、東電の将来の社長と嘱望されていたとのこと。この方が早死にせずに東電の社長になっていたら、原発事故に対する東電の対応も変わっていたかもしれないと思うと実に残念である。

 高木委員は、労働組合側の代表者であるにもかかわらず、市場原理の徹底を主張するなど、使用者側と立場が逆転しているようで、なんだか皮肉だ。

 さて、これに対して、中坊氏だが、

 【中坊委員】私らこの前やったんだけれども、警察でも550人に1人で、それを外国並みの500人に1人と言っている世の中に、弁護士が7,000人に1人だというのは、やはり絶対的な数字が大きくそれを物語っておると、私はそのように思うんです。

 仮にこれが5万人としても、今度は2,400人に1人なんです。だから、私も弁護士だから、余り急激に増えるのはいけないけれども、国民の立場に立ったときには、せめてそれくらいの人数になって、そのときにも条件付けたみたいに、先ほどからも出ているように隣接業種との関係をどうするのか、それらを全部合わせれば10何万人もいるということですから、そういうところとの関係を言うならば、私は5万人か6万人というものを我々の具体的な頭に描いて、弁護士人口の増加を考えなければならないのではないかということを言ったわけです。

 5万人、6万人にしていこうと思うと、今、私は具体的には毎年3,000人の弁護士が新しく生まれる一方で、毎年500人が死んだりやめたりするとして、2,500人が毎年新しく増えていくとする。現在の1万7,000人がその勘定でどうなっていくかというと、ロースクールというものがこれからできてきて、新司法試験になって、2003年くらいになって、3,000人の数が入ってくるとして、おおざっぱに計算して、2018年にならないと5万人の数にはならないわけです。まず極めておおざっぱにそういう数字をもって言わないと、今、司法制度改革審議会を国民が注視しているんですから、それに対してインセンティブのある数字というものを提示しなければ、私は世の中の人にも、この司法制度改革審議会の在り方が問われると思うんです。

 そういう意味では、私は法曹人口ということから言えば、まず、ロースクールができて、新司法試験に受かる人は毎年3,000名という提案をしていくべきではないか。そうしないと、何もかもすべてが、今おっしゃったようにロースクールだって、仮に卒業生の8割が新司法試験に合格するとしたら、1学年に4,000人くらいがロースクールにいるということになってくるわけでしょう。そういうものを想定しないで、相当数であるとか、急激に増加するとかいう言葉だけでは、我々司法制度改革審議会が国民に対峙したときに、本当にそれでいいのかという問題がある。

 確かに水原さんのおっしゃるように、世の中というのは一般におっしゃるように、社会の需要というものをどう考えるのかということを考えなければいけない。これは確かにおっしゃるとおりなんです。しかし、需要というものは、余りにも今の在り方が違って、だから、懸け離れてしまって、司法がこれほど病的現象になっているというので、これは非常に長くなりますけれども、私は住宅金融債権管理機構・整理回収機構というところで、年間40億円を弁護士さんに払ってきたんですよ。日本最大の依頼者として私はやったんです。そういう弁護士さんの在り方を見ておったら、弁護士さんは全部会社に来てもらっているんですよ。弁護士事務所などへは私の方は行っていないです。約400人の弁護士に、我々としては契約して動いてもらう。そうすると、弁護士の在り方から何から何までがもっと根本的に変わっていただかないと進まない。そういう意味で言えば、需要というものも、そういう意味において重要なんですよ。だから、私はこれから企業内弁護士というのは当然生まれてくるべきではないかと思います。事務所へ来てくれなどと言っておったら話にならない。住専の不良債権は、1兆円とか2兆円とか、ごつい数字ですよ。その不良債権を回収するんだと言われたら、弁護士さんの事務所へ行っていたら話にならない。会社へ来ても、支店長の隣に席が置いてあるわけですよ。あるいは、班長さんの隣に席を置いて、それでやってあれだけの債権が回収できたわけなんです。だから、弁護士の在り方というのはこれから変わらないといけない。

 そういうことで言えば、非常におおざっぱな数字で言えば国民1人に対して幾らだよということを聞いたときに、今の数字では余りにも少ない。それでは、これからどうするのかと具体的に言われたときに、その合格者の人数ですら、「相当数」ということでは、審議会としての国民に責任を果たしたことにはならないと思うんです。

 私は一つの提案ですけれども、毎年3,000人の新司法試験の合格者をこれから採用していくんだということを審議会の方針として打ち出していくことが、今、必要なのではないか。私はそのように思います。 

 やっぱり、中坊氏は、強硬に3000人案を提案する。これは、明らかに、青山善充教授の   ロースクール構想(司法試験合格者数3000人の出発点はここ。参照)に呼応した発言だ。中坊氏は、法科大学院制度推進派と完全に提携していることが分かる。

 そして、中坊氏は自身の住宅金融債権管理機構・整理回収機構における実績をひけらかしつつ、弁護士が変われば需要も生まれる、企業内弁護士も必要と強調する。

 他の委員は、

【北村委員】私は法科大学院ができて新司法試験となったときに、今、中坊委員は3,000人とおっしゃったんですが、その3,000人でやってみて、途中で、例えば2,000人にしましょうとか、1,500人にしましょうということは非常に難しいことだと思うんです。一旦法科大学院を作ってしまったときに、それが国のお金でできているならまだしも、それぞれの団体が自己の負担の下に作っているときに、そういうような政策はとってもらいたくないなと。だから、はじめに何千人と決めたときには、多少の上下はありますけれども、ほぼそういうような形でいくというような見込みが必要なんじゃないかなと思うんです。

 今、中坊委員が3,000人とおっしゃったこともすごくよくわかりまして、これは例えば2,000人にしますと、なかなか数が増えていかないということもあると思うんです。そのために、今とにかく足りないんだから、今の問題としては、先ほど山本委員がおっしゃったように、隣接士業の中でいろいろと弁護士の仕事をカバーしている方がいらっしゃる。そういう人たちを取り込むような形で、国民が使いやすいようなものを考えていく。それを法曹人口の中に入れる入れないは別の話だと思います。そういう形でカバーしていくというようなことで、今のところは考えていくということがいいんじゃないかなと思っているんです。

 弁護士さんが何年間働くかと言えば、私は45年じゃないかと思うんです。ちょっと支障が出てきてしまうんですが、あくまでも平均で45年くらいじゃないか。特に弁護士事務所の法人化とか何とかということになりますと、必ず定年制というのが置かれることになりますし、もし定年で辞めてから個人で開業ということになると、なかなか仕事が増えていかないという部分があるんじゃないかなと思うんです。そうすると、細かい点はいろいろありますけれども、45年で考えて、例えば2,000人ですと、単純に計算して約9万人というのが概算の数かなと思っているんです。ですから、3,000人というのは増やし過ぎであるという意見が出てくるかなと思います。

 北村委員というのは、中央大学商学部長の北村敬子氏のことである。この北村委員も、大変慎重である。

 北村委員の「私は法科大学院ができて新司法試験となったときに、今、中坊委員は3,000人とおっしゃったんですが、その3,000人でやってみて、途中で、例えば2,000人にしましょうとか、1,500人にしましょうということは非常に難しいことだと思うんです。」という発言は、まるで現在の状況を見通したかのようだ。

 現実に、日弁連は、司法試験合格者数2000人維持と提言して、その後1500人への減少を提言し、大変苦戦しているのだから。

 北村委員は、大変優秀な予言者といえるだろう。

 しかし、中坊氏は、この北村委員の発言に対して、直ちに反撃する。

【中坊委員】私はときどき北村さんと意見が合わないから言いますと、先ほどからも言っているように、仮に3,000人を合格者としても、人口比で行けば、5万人になるのに2018年、今から約20年近く先なんですよ。今言う3,000人というのは、正直言ってミニマムの数字、少ない数字なんです。だから、当面の目標が3,000人になってくるし、確かに言うように隣接業種との関係を何とかしてこれは統合していかないといけないと思うんです。だからおっしゃるように、今、職業としてできている隣接業種というものをどう見るか。これはこの前の弁護士改革の審議のときに申し上げたように、日本国はなぜ社会の血肉と化していないのか、弁護士の要らない社会政策というものをずっと取ってきて、この前も税理士さんがおっしゃったように、税理士さんは行政の監督でしょう。国税庁の下にできておる人が税務のことをするということ、確かに申告のことはできたとしても、本当にそういう姿が司法のあるべき姿だろうかということを考えてみると、やはり根本的に問題があるわけです。

 だから、私としては、先ほど言う3,000人という数というのは、少ないところで取って、かつ当面の目標としてこのくらいということ。そうすると、大学の学生は4,000人くらいになるだろうということを想定して、この間私は5万人から6万人ということを弁護士改革のときに言ったのであります。だから、今、北村さんの御心配いただくことは、3,000人という数はむしろ一番少ないところで勘定して、私らはこのときにはこの世にいないわけです。だから、あなたの言われるように弁護士さんは70歳で辞めている。だから私も4月25日のこの審議会で決まったときに、私が数というものについてかなりこだわったのは、そういうふうに審議会というものが国民に対峙しておるときに、我々が今それを言うべきかということは、確かに北村さんもおっしゃいました。私は場合によっては訂正しますがなと言うておいたけれども、今この審議会というものは国民に対してどう返事をするかということが差し迫っているんで、3,000人という数は、決して、今言うように、下げなければいけないという数字にはならない。必ず将来は増えてくる。そして、統合して、私は本来言えば、一つの職業として、司法として独立したものの中に、あらゆる業種が、アメリカと同じように弁護士さんがタックス・アトーニーにもなるようにもっていかないと、これは日本全体の司法制度がうまくいかない。

 だから、決して北村さんのおっしゃるように3,000人という数は多い数ではなしに、一番少ない数字を言って3,000人ということです。

 中坊氏は、簡単に「隣接士業の統合」などと言われるが、そんなに簡単にいくものではないことは当時から分かっていたことだ。

 さて、井上委員は、

【井上委員】北村先生が心配なさっているのは、最初の3,000という数が多いということよりは、そのままずっと増えていって、どこまで行くんだろうか、それを懸念しておられるのではないでしょうか。

 もう一つ、ロースクールとの関係なんですけれども、3,000人にしたらロースクールの総定員は4,000人とおっしゃいましたけれども、最初から一挙にそうなるわけではなくて、将来ロースクールに一本化するとしても、当分の間は経過措置として現在の司法試験も残さないといけないわけです。

 他方、質の維持という点で、余り質を言うと叱られるかもしれませんけれども、ロースクールのレベルを維持するためには、少なくとも学生と教師の割合というのはきちっと決めないといけませんし、その教師に一定の資格要件というものを課するとすると、現実問題として、最初から一気にそれだけの数を育成できるだけのロースクールが設立されるものかどうか。その辺は予測の問題ですが、私は、現実的には、もう少しステップを切って、増やすとしても、5年ごとに増やすとか、あるいは2年ごとに増やすとかいうことを考えていかないと、滑り出しのところで、わっと広げたけれども、お客さんが来ないということになるかしれません。あるいは逆に非常に乱立してしまうという恐れもあるので、その辺は慎重に制度設計をした方がいいかなという感じがします。

 井上委員は、ロースクールの数は徐々に増えていくものと予想していたようである。最初から3000人とぶち上げると、ロースクールが乱立し、学生の質も教師の質も下がってしまうことを心配している。

 この井上委員の心配は、北村委員の心配と同様に、現実のものとなってしまったわけだ。

 井上委員も、中坊氏に比べれば、はるかに慎重である。

 法曹養成制度検討会議の議事録を読んで抱いていた井上教授に対する悪感情が、この議事録を読んでからはかなり緩和されました。 

 その後、 

【鳥居委員】さっき山口さんが説明してくれた73ページの資料22は精密にできています。私、実は明日御報告しようと思っていたのですが、日本では医師1人に対して国民が大体520人なんです。弁護士1人につき国民7,230人なんです。これに対して、アメリカは医師1人につき国民336人、弁護士1人につき国民は307名です。ですから、アメリカを一つのメルクマールと見たときの目的値になるんですね。

 しかし、それはどう考えても無理で、もっと手前で考えなきゃいけないわけで、弁護士1人当たり国民7,230人を、どのくらいまで持っていくのかということを考えてみます。約5万人の弁護士を想定したらどうかという試算をしてみますと、弁護士1人につき国民2,450人です。資料22では、一番右端の列を上からずっと見てきますと、2013年のところに2,455という数字が出てくるんです。これは、3,000人の司法試験合格者を想定していった場合に、2013年で目的が達成されるということを示しており、要するに、この数字がポイントだと思います。2010年から2013年、つまり今から大体10年計画で5万人の弁護士を作るという数字と整合的なのです。この表の一番上の左端を見てみますと、この審議会の議論が平成13年に終わった後、諸々の制度改正が行われて、平成14年にロースクールの設置申請を受付けて、平成15年の4月1日から開校となりますと、最初の卒業生が出るのが平成18年になります。平成18年から3,000人ずつ増やしていくか、あるいは段階的に10年後に3,000人のレベルに持っていったとすると、弁護士1人につき国民2,450人になるわけです。この表は非常にいいところを、期せずして示していると私は思うんです。

 それから、アメリカの弁護士が本当に増えたのは1970年から1980年の10年間です。この間は年率5.2 %で増えています。それ以前の時期は大体3%、少ないときは2%くらいで増えています。1980年以降は増加率は減速しています。年率4%くらいに減速しています。何が起こったのかを別の統計で見てみますと、犯罪は激減しているんです。アメリカは1990年代に入って今まで増えっぱなしだった犯罪が減っているんです。一方で民訴はもの凄い勢いで増えているんです。その兼ね合いで、結局、アメリカの弁護士の全体のニーズは、まだ頭は打っていませんけれども、増え方は減り始めている。日本もそれを目指すべきなんだと思うんです。刑事事件が減っていく時代を実現するために我々は司法を強化しているのです。今はとにかくこのくらいは増やさないといけないというところじゃないかと思います。

 詳しいことは明日御説明します。

 この鳥居委員というのは慶應義塾大学学事顧問(前慶應義塾長)鳥居 泰彦氏のことであるが、この方がおっしゃることは私にはよく分からない。どうしてアメリカの医師の数と比較しなければならないのか分からないし、アメリカの弁護士の増加率の減速と犯罪の減少との間に因果関係があるのかも分からない。それに、刑事事件を減らすには、弁護士を増やすよりも警察官を増やす方が効果的でしょう。

 これに対して、やはり水原委員は慎重だ。

【水原委員】私は決して増やすことについて反対しているわけじゃございません。増やさなければいけないということは大前提として共通の認識があるということを最初に申し上げました。ただ問題は、一気に合格者数を決めてしまうのか、それとも段階的に持っていくのかというところの違いがあるわけでございまして、先ほど来法曹養成のところでもお聞きしましたとおり、そう一気に年間何千人も合格が出るかというと、その組織を作るまでの間には相当な時間があるでしょうというお話でもございました。

 国民の立場に立って、良質の、信頼できる法曹、これを育てていかなければならない。今の制度とロースクールとでは、教育の違いはどんどん広がってくるんで、合格者の質は違ってきましょうけれども、今、1,000人を取るのに大変苦労しておる時代に、一挙に3,000人というものを持ってきていいのかということを私は申し上げる。やはり質の確保がどうしても大事だということでございますので、増員についての数値は私は申し上げなかったけれども、1,000名でいいとは思っておりません。勿論、多くしなければならないということでございます。

 水原委員は、「今、1000人を取るのに大変苦労しておる時代に」と発言しており、1000人でも質の低下が既に生じていることを実感しているのでしょう。

                               (つづく)

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弁護士」カテゴリの記事

コメント

寺本先生,毎回膨大な資料をダイジェストしてわかり易くしていただいてありがとうございます。
ここまでの私の大雑把で率直な感想は,「あれ,司法審って結構まともな人がいてまともなことも議論してたんだな」ということです。今A級として訴追の危機に晒されている佐藤,井上両氏にしたって,少なくとも今この業界で描かれているイメージとは全く違いますよね。
その中でやっぱり,というかただ一人輝いて(?)いるのはなんといっても故中坊氏です。彼の頭の中を想像するとこうです。「弁護士=社会のためになる人」,だから平たく言って多ければ多いほどいい社会。上限は定めてはならなず,下限も他の先進国より少なくていいわけがない。
他の委員も結局,「弁護士のことを委員の中で一番わかってて,自分の業績としても仕事を作った実績としても抜群の中坊さんが言うことに間違いはないだろう」ということで決まってしまったのかなと思います。佐藤氏も井上氏も,「自分たちはもともと慎重派だったのに,中坊さんがあそこにもっていったんだ。いまさら弁護士会から文句言われる筋合いなんかあるか」って怒ってるのだと思います。
しかし,この審議会で唯一感心するのは,こうして後日の検証にも資するように,審議過程を徹底的に公開し,各委員の発言を一言も漏らさず記録して保存したことです(宮本論文にもこのことが書かれてました)。このことも考えると,中坊氏はとにかく絶対的に自分の見立てが正しいと信じて疑わなかったのでしょう。

休業中Bさん
 議事録は、これからも少しずつ紹介していこうと思っています。確かに膨大な量なので、読んだり整理したりするのに時間はかかると思いますが。
 でも、ここが現在の不幸の出発点です。
 「責任なき戦場」にしてはいけないという思いから始めたことです。
 
 中坊氏という人は、極めて特異なキャラクターを有する方だったというのが、当時、(そして今この議事録を読んでも)私が抱く印象です。

 (中坊氏にとっての「司法改革」は、橋下氏にとっての「大阪都構想」、そして小泉元首相の「郵政民営化」のようなものだったのかなあと、今になって思います。)

 このような速記録のような議事録を作成することは日弁連の要請でもあったようですが、実際にネット上に公開し続けている政府はほめられるべきだと思います。

>ここまでの私の大雑把で率直な感想は,「あれ,司法審って結構まともな人がいてまともなことも議論してたんだな」ということです。今A級として訴追の危機に晒されている佐藤,井上両氏にしたって,少なくとも今この業界で描かれているイメージとは全く違いますよね。

私もそう思います。
 こういう議論を経ているので、今、あの方々が法曹養成制度検討会議であのような態度を取られるのも無理からぬことのように思えます。

 やはり、ここは日弁連側の人間に責任を総括して頂かないと、事は前に進まないのではないでしょうか。
  

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