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2013年2月22日 (金)

弁護士会の人権侵犯救済における理想と現実。

 今、愛知県弁護士会では、人権擁護委員会に設置されている人権調査室(室員ーもちろん弁護士ーには一定額の報酬が払われている)を常設とするか否かの議論がされている。

 刑務所や拘置所における拘禁者が、医療処遇について、人権侵犯救済を申し立てる件数が平成14年頃から激増したため、委員だけで調査を行うことが事実上困難になり、平成22年に3年間の期限付きで有償の人権調査室が設置された。

 名古屋刑務所における刑務官による暴行容疑事件を契機として、拘禁者からの申立件数が一挙に増えたものらしい。

 今や愛知県弁護士会への人権侵犯救済の申立件数の90%近くが、拘禁者によるものである(もっとも、申立事案のうち弁護士会が警告・勧告等を行ったのは5パーセント程度にすぎない)。

                  

 拘禁者の人権侵犯の調査は、刑務所に面会に行ったり、医療に関わる問題については医師などの専門家の意見も聴かなければならないこともあり、実に大変な調査のようである(私も医療過誤事件をやっているので、その困難さについては容易に想像がつく)。

 調査室の室員に払われる報酬も高くはない。

 若手弁護士の人権擁護委員会への配属希望は激減しており、64期の配属希望者はわずか1名だったそうだ。

 人権擁護委員会の委員の負担を減らし、調査室の室員の加重な負担に対し会から報酬を支払っていこう、というのが人権調査室の常設化・有償化を訴えている方々の論理である。

                 

 ・・・・・しかし、である。

 私は、現在のように、司法修習生の給費制が廃止され、司法試験合格者数の激増により弁護士が過当競争にあけくれ、年収70万円以下の弁護士が激増しているという状況下で、弁護士がいわばポケットマネーから支払う会費を財源として、このような人権侵犯救済を弁護士会が無償で行わなければならないのか、大いに疑問を持っている。

 確かに、人権侵犯救済は立派な行為である。

 無償で行っている、またわずかな報酬で行っている委員会や調査室の弁護士の方々には頭が下がる。 

 でも、それを国民は評価してくれているのか?

 (朝日新聞の渡辺雅昭論説委員は、こういう活動のことをどう思っているのだろうか?私は聞いてみたい。)

 また、年収70万円以下しかない人間が、こういう活動を身銭を切って支えなければならないものだろうか?

 本来は、こういう活動は、国民の寄付などを財源とするNPO法人などで行ってもいいはずだ。実際にも監獄人権センターというNPO法人がある。 

 また、そもそも人権侵害は法律問題なのだから、侵害を受けたと主張する者は弁護士に法律相談をし、場合によってはその被害の回復を弁護士に依頼すべきだろう。

 弁護士が「仕事」として(つまり、報酬をもらって)人権侵害の救済行為をするのなら分かる。弁護士の報酬を払うだけの資力のない人なら、法テラスで弁護士報酬を立て替えるべきだろう。

 それが、なぜ、弁護士会がその費用を全部負担して(結局、弁護士個人が払っている会費が財源なのだから、弁護士個人が負担して)、このような活動を行わなければならないのか。

 国民が、このまま「弁護士は個人の資格にすぎない。司法修習生の給費制なんて必要ない。」「弁護士はもっと過当競争せよ。弁護士にも市場原理を適用せよ。」とおっしゃるなら、私はこのような人権侵犯事案を弁護士がその費用も労力も負担して救済しなければならない責務はないと思う。

 そして、給費制廃止以降に司法修習を受けた弁護士が、人権擁護委員会に入りたがらないのも仕方がないことだと思う。

 借金漬けになって自分自身が食べていくのがやっとという人間に対して、他人の人権を無償で救済せよ、あるいは救済の資金を出せなどと、まさか国民も要求しないだろう。

 無償で人権救済します!というのはカッコいいことこの上ないが、それはそういうことができる余裕のある方々だけでやって頂きたい。

 ・・・・・もっとも、こういうことを言うと、弁護士会では「(何をおいても)人権擁護は弁護士の使命」と主張する方々から「バチアタリ!」とお叱りを受けるのである。 

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コメント

未だに、特別会費で当番弁護をやっていることが理解出来ません。
これを全てなくすことで会費は半分以下になるのです。
放っておいても弁護事件の欲しい弁護士が当番弁護に無償で応募するでしょう。
そこまで貶めたのは、「人権派」の弁護士なのですから。
バチがあたる程度で済むなら、人権救済手続なんか辞める方が得策ですね。

私も同じ考えです。ホンネでは誰もやりたくありません。でも弁護士としての矜持でやってきたのです。
しかし、弁護士は、経営を優先し、矜持をある程度棄てろ、国民の理解を得られないことはするな、というのが今の司法制度改革の趣旨です。都合の良いところだけ「弁護士さんお願いね」なんてことはスジが通りません。
会を挙げてやる理由はどこにもないでしょう。

>都合の良いところだけ「弁護士さんお願いね」なんてことはスジが通りません。

本当にそうですね。

「どんどん競争して良質の法的サービスを安く提供せよ」と求められる以上、こういう活動にのめり込んでいたら競争に負けてしまいます。

 担い手が減るのは当然ではないでしょうか。

 また、こういう活動をするのが弁護士の使命であるとしても、その資金を弁護士にポケットマネーから全額負担せよ、というのは筋違いだと思います。

 かつては弁護士も「裕福な地方の名士」だったので、このようなムチャな要求を文句も言わずにのんでいたのですが、今は単なる「サービス業」と貶められているわけですから、その乏しい懐から資金も出せというのはもうとおる話ではないでしょう。

 でも、愛知県弁護士会では、有償の人権調査室の常設が常議員会を通過しました。今度の総会にかけられます。

 これから弁護士会の会務が次々と有償化されていくでしょうね。
 会費や民事負担金の値上げ話もきっと出てくるでしょう。

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