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2012年9月15日 (土)

あなたなら誰を助けますか?・・・育児中会費免除問題

 弁護士会の掲示板に投稿したものだが。

 あなたが旅をしていました。その道中で、

1 赤ちゃんを連れた夫婦者の旅人に会いました。
  夫が赤ちゃんを抱きかかえずに、先をどんどん歩いていってしまうので、妻は夫に赤ちゃんを抱いて欲しいと頼むのですが、夫は妻の願いを聞いてくれません。妻はふうふう言って苦しそうです。
  水は2人分持っていますが、あなたに水がまだ足りないので水を分けてほしいと頼みます。

2 病人の旅人に会いました。
  顔は青ざめて、なんとか歩いてはいますが、よろけて倒れそうです。
  水はあまり持っておらず、喉が乾いている様子ですが、あなたに何も頼みません。 

3 年老いた母親を背負った旅人に会いました。
  旅人は、母親が重いので、よろけて倒れそうです。
  水は1人分しか持っていませんが、あなたに何も頼みません。

 あなたも十分な水を持っていないので、このうちの一組の旅人に水を分けることしかできません。
 あなたは、どの旅人に水を分け与えますか?

 私なら2番である。

 病気で経済的に困窮することは、誰にでも起こりうることである。

 弁護士はストレスの強い職業の一つだと思う。仕事の性質上、肉体的にも精神的にも負荷がかかりやすい。生活が不規則となるため生活習慣病にもかかりやすい。しかも弁護士過剰のため競争も激しい。自殺者も他の職業に比べると多いのではなかろうか。

 そして、弁護士であり続けるには、弁護士会に必ず登録して高額な会費を毎月支払い続けなければならない。会費を滞納すれば、懲戒される。

 たとえ弁護士会執行部の発表する声明や政策に反対であっても、会費だけは払わざるをえない。人間として大変好ましくない人物が理事者になっても(事実上派閥の推薦で決まってしまい選挙によって選ばれるわけではない)、会費だけは払わざるをえない。

 愛知県弁護士会の場合、病気で会費が免除されるのは、

本会在会5年以上の会員にして、長期加療を要する疾病のため弁護士業務を執ることが不可能又は著しく困難となり、経済的に会費の継続的納入が窮迫したと認められる者及びこれに準ずると認められる者

のみである。

 5年未満の会員は、重病になって経済的に困窮しても、会費は免除されないのである。

 若いから重病になることはないだろうという推定のもとでの規則かもしれないが、実際には若くても「くも膜下出血」などは発症する。

 そして、病気や介護のためにもっと働きたくても週35時間未満しか働けない会員は一杯いるだろう。

 育児中の会員は育児はつらい(子育てを幸せとは思えないのだろうか?)というが、重病人や老親の介護の方がもっとつらいと思う。介護については会費の減免規定は全くない。

 この病気や介護についての規則は改正することなく、たいして会員に利用もされていない(見捨てられている?)会館を大規模リフォームしたり、たいして経済的に困窮しているとも思われない育児期間中の会員に対して「男女共同参画」という政策のアピールのために会費を免除したりしている場合かと思う。

 会費というのは、強制加入団体においては最も基本的な会員の義務である。

 そして、私は、弁護士にとって、「公平」「平等」というのは絶対的価値のあるものだと信じてきた。

 それをこのように強引なやり方で、公平・平等をないがしろにすることに対して、私は今までにない憤りを感じている。

 この規則改正が臨時総会を通過したなら、私はもう弁護士会は強制加入団体としての基礎を失うと思っているので、弁護士会を任意加入団体とする社会の動きに対して反対をしないつもりだ。

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コメント

 出産は基本的に自分が好んですることですものね。突然ふりかかってくる病気や怪我とは違います。
 私は高齢出産をしてから会社の運営は人に任せておりますので年収は大幅ダウンしましたが、それも自分の選択です。産まないという選択もできました。
 いつかは年老いて死んでいく身である以上、そういう自分たちを背負ってくれる未来の人類を産み育てることは、社会全体で考えるべき重要な課題かもしれません。でもまだ最優先事項ではないでしょう。現に生きてる人間の病気や深刻な困窮などの救済が先です。こんなに貧困が進んでいる時は尚更で、弁護士業界ももちろんそうですね。知り合いからたまに聞こえてくるだけでもかなり酷い状況らしいのに、また2100人も合格させちゃって致命傷にならないでしょうか。。。 

るりさんへ
 本当におっしゃるとおりです。

>いつかは年老いて死んでいく身である以上、そういう自分たちを背負ってくれる未来の人類を産み育てることは、社会全体で考えるべき重要な課題かもしれません。でもまだ最優先事項ではないでしょう。

 まさか弁護士会の少子化対策ではないでしょう(弁護士2世を増やしたいというわけではないでしょうからね)。「男女共同参画」が目的らしいのですが、私ははっきりいってどうして育免制度が男女共同参画になるのか分かりません。報償を与えれば「イクベン」が増えるんでしょうか。男性の育児ってその程度のものなんでしょうか。

 それに、仮に「少子化対策」であるとしても、会員の公平・平等に反することには絶対反対です。今回は経済的要件が全くありませんので、実質的平等にも反しています。

 
>こんなに貧困が進んでいる時は尚更で、弁護士業界ももちろんそうですね。知り合いからたまに聞こえてくるだけでもかなり酷い状況らしいのに、また2100人も合格させちゃって致命傷にならないでしょうか。。。 

2100人も合格させたのは法務省であって日弁連ではありませんので。まあ、日弁連執行部にはそんな力がなかったということです。
 愛知県弁護士会の会長は法曹人口問題に積極的に取り組んでこられた方ですので期待していたのですが、どうして男女共同参画やイクベンの方に向かっちゃったのでしょうか。

 法曹人口問題については、もう諦めムードということはないでしょうか。日弁連が1500人にすべきと緊急声明を出してましたけど、何の効果も無かったようですし。もともと法曹大増員には日弁連も賛成していたのだし、そして法科大学院が既にあんなにいっぱい出来ちゃってるし、仰る通り現在日弁連には合格者数を決める権限も無いし、仰々しく「声明を出した」を何回やっても無駄のような気がします。
 ただ、だからといって、所得70万の人が倍々ゲームで増えて行くような状況を放置していいわけはないですよね。法曹増員を止めることがもう無理であるのなら、新人の受け皿を増やすよう、現在は赤字の仕事に国家予算を組ませるような努力が必要じゃないでしょうか。例えば学校でのいじめ問題もそうだろうと思います。
 少子化対策も、何も問題の無い順調な時なら別に悪くもないのでしょうが、こんな時に言い出すといかにもスットコドッコイに見えますね。 

>法曹増員を止めることがもう無理であるのなら、新人の受け皿を増やすよう、現在は赤字の仕事に国家予算を組ませるような努力が必要じゃないでしょうか。例えば学校でのいじめ問題もそうだろうと思います。
 少子化対策も、何も問題の無い順調な時なら別に悪くもないのでしょうが、こんな時に言い出すといかにもスットコドッコイに見えますね。 

 おっしゃるとおりです。「スットコドッコイ」です。
 しかし、これも法曹人口問題の一つだと思います。結局、育児期間中の会費を免除してほしいという声が上がってきたのも、弁護士過剰によって収入が減っているからでしょうから。
 会費が高すぎる!という声が上がっているのも同様です。

 弁護士会の法曹人口策や業務拡大策にはもう期待できません。期待するだけむなしいだけです。
 個々の会員が、生き残れるようそれぞれ努力するほかないと思います。

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