育児減免制度の問題点(その3)
常議員会の議論の中で、女性弁護士の窮状の例として、他の地方から名古屋に移ってきた育児中の女性弁護士が、就職先を探しても見つからず、また就職しても「事務所に迷惑をかけるから」と就職を諦め、開業しても「会費を払っていく自信もない」ために、弁護士登録を断念した、というケースが紹介されていた。
常議員は、このケースを知って「キャリアが無駄になってしまい、もったいない」とショックを受けた、とおっしゃっていたが、女性の私からすれば「何をいまさら」と思っただけである。
こういう女性弁護士は、日本中に一杯いるだろう。そして、これからもどんどん増えるだろう。ペーパードライバーのように司法試験に合格しても弁護士登録をしない女性はどんどん増えるだろう。
医師はまだ不足している分野(特に産婦人科等)がたくさんあるので、出産・育児により辞めてしまった女性医師に対して積極的に復職を勧誘しているが、弁護士の場合余りすぎているので、そのような勧誘などまずありえない。よって、出産後に復職できない女性弁護士はどんどん増えていくだろう。
これが、法曹の人材の多様化をはかるため、国が巨額の補助金を投入し続けている法科大学院を巣立った女性の司法試験合格後の姿なのである。
しかし、愛知県弁護士会の会費2万円程度を免除して、この女性弁護士が救えるのか?
(一番救える方法は、その常議員の方が雇用してあげることだろうが、そんなお気持ちはなかったようだ。)
その女性弁護士が就職先を見つけられないのは、先の私が書いた記事のような事情によるものだし(確かに就職しても事務所には迷惑をかけるだろうから、それを覚悟で受け入れてもらえる事務所を探すしかないが、そんな事務所はまずないと思う)、開業するにはよほどの覚悟が必要だ(但し、それでも頑張っているシングルマザーだっている)。弁護士会費2万円どころではない経費がかかるのだから。
現時点で、登録をしなかったのは正しい判断ではないかと思う。
育児が一段落してから、就職先を探すか、開業を考えた方が安全だと思う。
いずれにせよ、こういう女性弁護士を、会費免除程度のことで救済できるはずがないのは、誰が見ても明らかなことだ。
会費を免除すれば、この女性の就職先が見つかるのか?開業できるのか?と言いたい。
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