育児減免制度の問題点(その4)
しかも、この育児減免制度には、とんでもない落とし穴がある。
「2歳未満の子の育児のため弁護士業務に従事する時間が1か月に週平均35時間以内の一定時間未満となる会員に対し、常議員会の議を経て、最大8か月間の会費の免除又は還付を認める制度」
とされているので、育児のために「週35時間以内の一定時間未満」の業務(会務も含む)しかできない会員が対象となる。
「週35時間以内の一定時間」が何時間となるかはこれから決まるのだろうが(当初の提案は35時間未満だったが常議員会で変更されたようだ)、育児のために仕事をセーブすることのできる弁護士はむしろ恵まれていて、実際にはそうゆう経済的な余裕がなく育児をしたくても仕事の方を優先せざるをえない弁護士だっている。弁護士の仕事の単価が低くなっているので、ますますこういう弁護士は増えるだろう。
たとえば、シングルマザーの女性弁護士などが開業している場合、週35時間以内の一定時間に仕事を制限していては、経済的にやっていけないため、育児も仕事も必死に頑張り、結局仕事を週35時間以上こなすこともあるだろう。
すると、経済的に余裕があって(配偶者の収入が高かったり、弁護士以外の収入があるような場合)育児に十分な時間が取れ、仕事をセーブできる弁護士は、会費免除を受けることができ、逆に、経済的に余裕がなく週35時間以上仕事をせざるをえない弁護士は会費の免除を受けられない。
これって、おかしくありませんか?
« 育児減免制度の問題点(その3) | トップページ | 育児減免制度の問題点(その5) »
「弁護士」カテゴリの記事
- アディーレ法律事務所による説明(2017.10.20)
- アディーレの臨時相談窓口(2017.10.19)
- 大阪弁護士会のアディーレ臨時相談電話(2017.10.17)
- 本当にお疲れ様です。・・・Twitterもどき(10月17日12時45分)(2017.10.17)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
いっそ,弁護士会の会費を所得に応じて減免するというのをそろそろどこかの単位会が導入しないでしょうか?所得を隠したいという欲求がベテラン弁護士に強いようですので,所得を隠したい人は高い会費を負担頂いて,低い所得を確定申告の控えやインハウスの場合源泉徴収票などを弁護士会に持参した人は,所得に併せて減免措置を受けられるようにする。
投稿: 某若手 | 2012年9月 9日 (日) 17時21分
某若手さんへ
私も会費の「累進課税方式」が採用されるなら、弁護士会がいろいろな社会的意味を持つ政策を取ろうとするのにも納得がいきます。
ただ、収入というのは、多かろうと少なかろうと他人には知られたくないものじゃないですか?(私の場合、後者ですけど)。
累進課税方式が現実に採用できないのであれば、形式的平等を貫くしかありませんので、会費は必要最小限の金額にして頂きたいと思います。
弁護士会は、今は登録会員が増えたため、「会費収入を何に使おうか」と困っているらしいですが、そんなことなら一律に減額してもらいたいです。その使い方を見ると他人の金を何と思っているのかと思うことが多々あります(特に大阪弁護士会の会員はよく我慢しているもんだと感心します)。
投稿: M.T.(管理人) | 2012年9月 9日 (日) 17時45分
収入を知られたくないと言うのは,私は金持ちの贅沢な考えだと思います。収入を弁護士会に提出しても,一般に知られるわけではなく,営業に影響は出ませんから何ともないはずです。私は真っ先に出すつもりです。
投稿: 某若手 | 2012年9月 9日 (日) 18時03分
某若手さんへ
そうですか。潔いですね。
私は、弁護士会も理事者も、(たぶん会費の減免は常議員会の承認を得ることになるでしょうから)常議員も、そこまで信用できません。
それに、こういう人たちが相手方代理人になったとき、互いに気まずいですしね。
投稿: M.T.(管理人) | 2012年9月 9日 (日) 18時11分
申告所得に応じて,減免の幅をあらかじめきめておけば,(例えば所得200万円以下は全額免除,400万から200万の間は半額免除など)常議員会にかけずとも自動的に減免措置がとれると思います。それを超えて特別な減免措置を求める場合のみ理事会や常議員会にかける仕組みにすればよいのではないでしょうか。また,理事者などが相手方代理人になった時,収入が低いことを出してくるようであれば,懲戒請求を申し立てたいと思います。
投稿: 某若手 | 2012年9月 9日 (日) 18時39分
>申告所得に応じて,減免の幅をあらかじめきめておけば,(例えば所得200万円以下は全額免除,400万から200万の間は半額免除など)常議員会にかけずとも自動的に減免措置がとれると思います。
規則を改正しなければなりませんね。ただ、会費負担均等の原則は厳しいので、常議員会の承認事項にはなると思います。やっぱり、常議員には知られるでしょうね。
>また,理事者などが相手方代理人になった時,収入が低いことを出してくるようであれば,懲戒請求を申し立てたいと思います。
そこまで考えておられるなら、所属の弁護士会で規則改正の運動をされてみたらどうでしょう。
若い先生方は、この不平等な現実を打ち破るために、団結して、反旗を翻してもいいと思います。
投稿: M.T.(管理人) | 2012年9月 9日 (日) 20時09分
そもそも会費が高すぎるのが何故だか全く分からないです。ニューヨーク州では2年間で350ドルです。日本円で3万円を切ります。そもそも強制加入制度がありません。
投稿: 会費が高すぎる | 2012年9月10日 (月) 06時30分
>弁護士会は、今は登録会員が増えたため、「会費収入を何に使おうか」と困っているらしいですが、そんなことなら一律に減額してもらいたいです。
そのとおりです。
でも管理者様のご意見は金持ちの論理ですね。若手の方の反論があまり説得力がないような気がしますね。
「若手が反旗を」、きっと近い将来やるんじゃないでしょうか。昔のサラブレッド先生方と違って毛並みは(中身は)なんだか分からないが結構血気盛んで怖いと思いますよ(仕事じゃなく二チャンネルとSNAに張り付いていたりして)。金も地位もなく人数は馬鹿に多いですからすごい改革をやってくれるのではとある意味期待しています。
まあ、いずれにしても根本的な問題なのは高すぎる弁護士会費ってことなんですよね。
投稿: | 2012年9月17日 (月) 02時37分