会費減免の不思議。
愛知県弁護士会の弁護士は、病気になって週35時間以下しか働けなくても、会費を払い続けなくてはならない。
減免されるのは、極めて限られた場合、即ち、
「本会在会5年以上の会員にして、長期加療を要する疾病のため弁護士業務を執ることが不可能又は著しく困難となり、経済的に会費の継続的納入が窮迫したと認められる者及びこれに準ずると認められる者」
のみである。
また、家族の介護のために週35時間以下しか働けなくても、会費を払い続けなければならない。
私も父が入退院を繰り返していたときは、かなり仕事をセーブせざるをえなかった。しかし、会費は払い続けてきた。
皆、苦労して会費を払っている。
年間70万円以下の収入しかないという弁護士も増えてきているということだが、そういう人たちも払い続けているのだ。
確かに男女共同参画の理念は立派であるが、育児をしている弁護士のみ「週35時間以下しか働いていなければ」会費を免除するだけの合理性はあるのだろうか。
会費減免によるイクメン弁護士育成の実効性が期待できないことは今まで書いてきたとおりである。効果よりもアピールが目的とすれば、無意味なアピールだろう。弁護士会の会費規定などに興味のある国民は殆どいないだろうから。
アピールするなら、男女共同参画の実現のために男性の意識を変えるにはどうすればいいかをテーマに、家族問題に詳しい精神科医などを呼んでシンポジウムなどなさったらどうか。しっかり育児をされてきたイクメン弁護士がパネラーになってパネルディスカッションでもされたらいい。その方がはるかにアピールになるだろう。そういうことに会費を使うのであれば、文句はない。
しかし、育児をしているというだけで会費が免除されるのは、前記の病気や介護のために働けない弁護士との関係でいかにも不公平である。
女性弁護士が育児のために仕事や弁護士会の会務ができないことを回避するのに、お金(会費免除)はあまり役には立たないだろう(シングルマザーなどは別として)。配偶者がいる場合は、その収入もあるのだから、共働きの弁護士はかなり裕福だ。
それよりも配偶者の育児参加が不十分なためであったり、勤務先のボス弁の理解が足りないことの方が原因だろう(但し、弁護士過剰のためにボス弁の方に経済的な余裕がないことも原因の一つだろう)。
彼女らが必要なのは、お金よりも「時間」なのに、一部の会員が「会費を免除すればいいだろう」というのは、お茶を濁して逃げているだけだと思う。
お金の問題ではないところに会費免除をして、お金の問題である病気や介護については無視するというのは、弁護士会の「会費減免の不思議」である。
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