小林正啓弁護士の民主党法曹養成PTでのスピーチ。(追記あり)
この小林弁護士のスピーチは傑作だと思う(某会長候補の応援演説をされた方とは同一人物とは思えないほど)。
法曹人口問題、破綻した法曹養成制度、司法の使命について (花水木法律事務所)
私は、このスピーチの内容については、この箇所以外は、全面的に大賛成です。
これらの事実から、法曹はすでに、人材の吸引力を失ったことが分かります。法曹養成制度の入口に人材が来ないのに、出口の人数を議論するのは、とても虚しいことです。
出口の人数を議論することは確かに虚しいかもしれないが、議論せざるをえないだろう。
なにしろ、入口に人材が来ないために、このままでは数年のうちに「法科大学院卒業人数≦司法試験合格者数」となることが目に見えているのだから。
法科大学院に入学することも卒業することも、現在のところ(高額な学費さえ納めることができれば)難しいことではない。
そして、法曹志望者の現状は、小林弁護士がこのようにおっしゃっているとおりなのである。
大学法学部の受験生は、昨年の1割以上減となりました【資料[ix]】。受験予備校の分析によれば、成績上位層での志望者減少が目立ちます【資料[x]】。不況により公務員を志望する法学部受験生が増えていることを勘案すれば、法曹志望者の激減と学力低下は明らかです。
その結果、日本の法曹の質(出身の社会層も含む)がどうなるかは、ちょっと想像力を働かせば直ぐにわかることである。
そもそも、今のままの司法試験合格者数であれば、司法修習生の就職難は更に激化し、即独、ノキ弁は増え、弁護士という職業の魅力は激減し、ますます優秀な法曹志望者の足が遠のく、という負の連鎖が永遠に続くだろう。
これ以上の犠牲者を出さないためにも、迫り来る日本の司法の崩壊をなんとか食い止めるためにも、私たちは政治家の方々の一刻も早い英断に期待するほかない。
(追記)
小林弁護士のスピーチの中の
最後にご紹介したいのは、この座談会にも参加した内藤頼博判事【資料[xii]】です。戦後の司法制度改革に参加し、現行裁判所法を起草して、統一修習や給費制を創設したのが、内藤判事であることは、給費制運動を展開した日弁連幹部でさえ、誰も知りません。しかし、内藤判事は、大蔵省の反対に対し、「弁護士の地位も、国家機関的なものであり、弁護士も判事や検事と同様、国家事務を行うものだ」から、給費制は当然と押し切りました【資料[xiii]】【資料[xiv]】。法曹三者は、同じ国家事務を行い、同じ使命を共有するのだという確信が、この主張の背後にあります。
この箇所の内藤判事のご意見は、弁護士も「司法」において重要な地位を有する、という意味では賛成だが、あくまでも「在野」においてであり、「国家機関」というのはちょっと違うと思う。
ただ、国民に対して裁判官や検事と同様に「司法の担い手」という立場にあり、ここに給費制の根拠がある、ということには賛成だ。
その後の、小林弁護士の
私はここで、給費制を復活しろと言いたいのではありません。戦後に法曹養成制度を設計した日本人は、法曹養成制度を設計するにあたり、司法の使命を明確に見定めていた、ということを申し上げたいのです。
の趣旨はよく分からない。
上記内藤判事の話の引用からすれば、小林弁護士も当然「給費制の復活」を主張されるべきだろう。私は、内藤判事がしっかり「弁護士の給費制は当然」と押し切った姿勢は立派だと思うが。
小林弁護士は、「金」の問題に矮小化するな、と言いたいのかもしれない。
しかし、給費制の問題は金の問題だけではないし、金の問題としても国民にとっても修習生にとっても生活に関わる重要な問題だと思うのだが。
よって、冒頭の「傑作」はちょっとほめすぎましたので、撤回します。
でも、白浜徹朗弁護士の提供されたデータに基づき「司法の危機」を訴えられたのは、とてもよかったと思う。
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