確かに面白い対談であった。
先の記事で紹介した論理学教授の話が面白かったので、ネットに上がっていた1月15日放送の「報道ステーションSUNDAY」の橋下氏と山口教授の対談というのを見てみた。
確かに面白い!
私の感想(まじめな感想でなくてゴメンナサイ。)
・ 橋下氏も山口教授も心底互いを嫌っているのがミエミエ。眼も合わせない。あまりの二人の険悪な雰囲気に長野キャスターも困り顔。
・ 立て板に水のごとく大阪都構想を語る橋下氏。時折口をはさむだけで、終始ムッツリ顔の山口教授。
でも、私、正直なところ、橋下氏の話、殆ど理解できませんでした。
ほんとにこれで財政は楽になるの?区割りされて行政サービスがかえって落ちない?山口教授の言われたように各区に対する財源の配分は誰がどういう基準で決めるの?などなどの疑問がわき上がるものの、橋下氏の剣幕に圧されて「そんなものかなあ・・・。分からない私がバカなのかも。」と思えてくる。
橋下氏があまりに早口で威勢良くしゃべりまくるので、なんだか思考が停止してしまうよう。
確かにこれは新興宗教の教義を聞いているようだ。疑問を抱くと「バチアタリ!」と言われそう。
そして、何かというと橋下氏は(さすがに山口教授の顔は見ないものの)「学者は現実を知らないから」「文句言っていればいいんだから気楽なものだ」などと例の
「通俗的イメージの濫用」
を発動する。
一体何回言っただろう。
私は、よく山口教授は席を立たないなあ、と感心した。こりゃ、橋下氏とは誰も対談したくなくなるはずだわ。
・ 教育基本条例案については、教育委員会のいいかげんさを強調する橋下氏。
そして、教師は親と生徒に評価させるべき、教育目標は首長が決めるべき、と主張。
今の制度下でもちゃんとした教育委員を選び教育委員会に金を出してきちんと仕事をしてもらうことは可能、教師のモチベーションを引き出すことの方が大事、という山口教授。
もちろん、ここでも、橋下氏の「通俗的イメージの濫用」は直ちに発動される。
私はこの問題をよく知らないが、教育委員会制度について (文部科学省HP)を見ると、「教育委員は、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命」とあるので、橋下氏がそんないいかげんなことしかやらない教育委員ではなく立派な教育委員を任命すればいいんじゃないの?とか、本当に親と子供に教師を評価させて大丈夫なのか?山口教授も言っていたがモンスターペアレントの問題はどうするのか?一体どういう先生が良い先生だったのかなんて、学生のときではなく大人になってからはじめて分かったりするものなんじゃないの?などなどの疑問がわき上がるものの、例のごとく「制度を変えなきゃどうにもならないんですよ!?」という橋下氏の剣幕に圧され、「そんなものかなあ・・・」という気になってしまう。
この問題は、とても短時間で結論を出せるような問題ではないように思うのだが・・・。
しかし、とにかく、聞いていると橋下氏の勢いに頭がまわらなくなってしまうのだ。
・・・・・なるほど、こういうふうに大阪の人たちは、橋下氏に洗脳されていったのか、と
よーく分かりました。
そういう意味で、とっても面白い対談(・・・になっていなかったと思うが)でした。
私は他県に住んでいるので、何も言う資格はないかもしれないが、
大阪都構想にせよ、教育基本条例にせよ、拙速にことを進めるのは要注意だと思う。
橋下氏はメリットばかり強調するが、デメリットがないはずがない。
(私が弁護士だから疑い深いのかもしれないが)メリットばかりが強調される話にはたいてい裏があるものだ。ついつい乗ってしまい後悔することが多いように思う。
(追記)
大阪都市構想のメリット・デメリットをまとめられた論文がありました。
大阪市政調査会HP がこの問題に詳しい。
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まだまだ大阪の大衆を買いかぶっておられるようです。
大阪の大衆は橋下氏の勢いに頭が回らなくなって洗脳されているのではないのです。
山口教授や先生のようにちゃんとした方は、橋下氏の話をちゃんと聞こう、その上でおかしなところはおかしいと指摘しようと思っておられます。そうすると、次から次に言葉を繰り出す、しかもどんどんと議論の対象を変えていく(それでも議論をはぐらかしているように聞こえないところは技だと思います。)橋下氏の勢いに頭が回らなくなります。橋下氏の次々に出てくる新しい発言の対応に追われ、反論したかった古い発言はどんどん頭から抜け落ちていきます。
でも、大阪の大衆は橋下氏の話を理解しようなんて最初から思ってません。頭が回らなくなってしまうのではなく、最初から頭を回そうとしてません。
ですから熱狂的な橋下支持者に橋下氏の政策や見解を問いただしても、ちゃんとした答えは返ってきません。
実際に私が橋下支持者と交わしたやりとりは以下のとおりです。
私 「で、橋下は何をしようとしてるねん?」
支 「大阪都構想やろ」
私 「大阪都構想って何すんねん?」
支 「二重行政の解消や」
私 「二重行政って具体的に何?」
支 「府と市と両方あったら片方いらんやろ」
私 「だから、具体的に何?」
支 「そんなもん、そこら中に無駄は一杯あるやろ」
大阪都構想、二重行政解消という漠然としたイメージしか持ってないのです。
つまり具体的な政策の内容ではなく「橋下氏は何かしてくれる」という橋下氏のイメージを支持しているのです。そのような人に橋下氏の政策はここがおかしいと難しい議論をしても聞こうともしません。
このような大衆が山口教授と橋下氏の対談を見たとしても、議論の内容ではなく、橋下氏が山口教授を論破したようにみえる外形を見て、「ほら橋下が正しい」という判断しか下しません。
新興宗教の信者が教義を理解して信者になっているのではなく、教祖を個人崇拝して信者になっているのと同じです。そんな信者に「教義はここがおかしい」と言っても糠に釘でしかないのです。
投稿: 大阪の弁護士 | 2012年2月22日 (水) 14時20分
大阪の弁護士さんへ
>新興宗教の信者が教義を理解して信者になっているのではなく、教祖を個人崇拝して信者になっているのと同じです。そんな信者に「教義はここがおかしい」と言っても糠に釘でしかないのです。
とすれば、どういう対策があるのでしょう?
投稿: M.T.(管理人) | 2012年2月22日 (水) 14時32分
対策ですか?
ありません。
今のところ。
色々思いつきはしますが、現実性がないものばかりです。
例えば、
1 マスコミが維新の会の活動を無視する。
2 橋下氏が黙ってしまったり、切れて席を立つような人物を橋下氏にぶつける。
3 橋下氏に汚職やわいせつスキャンダルが発生するのを待つ。
4 およそ知識人とはいえなさそうな庶民を大量動員して感情的非論理的なネガティブキャンペーンを徹底的に行う。
そもそも新興宗教と似ているのなら、その対策に成功した方の経験が役に立つのかもしれません。
私のコメントは、知識人のみなさんが橋本氏が大衆に支持されている原因を誤解していることを指摘したかっただけです。
原因を突き止めなければ適切な病気の治療はできません。原因を正しく認識してこそ、正しい対応策を考えるスタートラインに立てるのではないでしょうか。
多くの優秀な方が正しいスタートラインに立てたなら、有効な対策も出てくるのではないでしょうか。
それを期待してコメントするものです。
投稿: 大阪の弁護士 | 2012年2月22日 (水) 17時00分
大阪の弁護士さんへ
> 例えば、
1 マスコミが維新の会の活動を無視する。
2 橋下氏が黙ってしまったり、切れて席を立つような人物を橋下氏にぶつける。
3 橋下氏に汚職やわいせつスキャンダルが発生するのを待つ。
4 およそ知識人とはいえなさそうな庶民を大量動員して感情的非論理的なネガティブキャンペーンを徹底的に行う。
1は、ありえない。
2は、逆効果。
3は、100%ないとはいえない。
4は、ちょっとやったことがあるのでは。効果のほどは知りませんが。
私は、やはり橋下氏と堂々と渡り合えるような、そして橋下氏に負けないカリスマ性のある論客に期待します。
橋下氏はディベート術にたけていますから、その分野の能力も必要だし、政策についても勉強する必要があるでしょう(但し、既にたくさん研究者がおみえになるので、その方々に協力してもらえばいいと思います)。
中島岳志北海道大学準教授は適任ではないでしょうか。
弁も立つし、若いしルックスもいいから、特に女性票が得られそうです(ただし、大阪人の好みにあうカリスマ性があるのかは分かりません)。
仮に橋下氏がキツイことを言っていじめても、(山口教授と違って)同情票が得られそうです。
(テレビなら服装にも気を配り・・・。私は学者臭のしないラフな若者向けの格好がいいのではないかと思います。)
あの橋下氏を相手にするのはたいそう難儀なことでしょうが、ぜひ中島氏には頑張って頂きたいなあと勝手に期待しています。
(ホントは、大阪弁護士会からどなたか刺客に立って頂きたいところですがね。)
投稿: M.T.(管理人) | 2012年2月22日 (水) 22時47分
>やはり橋下氏と堂々と渡り合えるような、
>中島岳志北海道大学準教授は適任ではないでしょうか。
ん~、まだ理解されていないようです。
橋下氏と堂々と渡り合えるということは、橋下氏もいっぱいしゃべっているということですから、見てる人は「橋下ががんばっている」にしかなりません。イケメンだろうが相手は学者=世間のことを何も知らない人=悪者ですから。
そもそも大衆は議論の内容など理解できませんし、理解しようともしませんから、議論の中身で勝負しても無意味です。イメージで支持されているのですから、橋下氏のイメージダウンにならないと意味がないのです。
今の橋下氏は、大衆にとって「正義の味方」です。プロレスと一緒で正義の味方は悪役に一回くらい負けても人気は落ちません。「正義の味方」は虚像ですがテレビに実像は映りません。試合をしてテレビに流してもらっている間は、試合に負けたとしても人気は落ちないのです。
>橋下氏に負けないカリスマ性のある論客に期待します。
結局、橋下氏以上に大衆に人気がある人にやりこめてもらうしかないのでしょう。
しかし、そういう人がいますかねえ?
しかも激論ではだめで、黙らせるくらいにやりこめないといけないので、そこまでできる人はまず居ないんじゃないでしょうか。
投稿: 大阪の弁護士 | 2012年2月23日 (木) 15時31分
大阪の弁護士さんへ
橋下氏に対して嫌悪感を抱いている人も次第に増えているように思います(ネットで見る限りですが)。
あの山口教授との対談だって、(大阪人は知りませんが)あまりに無礼だろうと感じる人もおられたと思います。
橋下氏の政策や言い分に穴があることは(橋下氏のペースにのらずに)きちんと一つ一つ追求していけば視聴者に理解してもらうことは可能だと思います。
それを絵的にも表現する必要はありますが。
橋下氏も次第に自分に対する批判が強まっている(かつて賞賛していた方々も次第に橋下氏の本性に気づき始めて批判にまわっている)ことに、かなりあせりを感じているように思います。
きょうなんて、福岡教授にひどいことをツイッターで言いまくっていますよ。
(きっと大阪市の職員に対してもこんなふうな調子で怒鳴りつけているのではないでしょうか。)
こういう方はだんだん化けの皮がはがれていくような気がします。
時間はかかるかもしれませんし、犠牲者もたくさん出ると思いますが。
投稿: M.T.(管理人) | 2012年2月23日 (木) 15時48分