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2011年7月 1日 (金)

総務省のヒアリングと裁判所というところ・・・Twitterもどき(7月1日午後4時35分)

 きょうは、午前中、総務省による愛知県弁護士会に対する法曹養成・法曹人口問題に関するヒアリング調査を傍聴する。

 これについては、時間がないのでまた後日書きたい。

 一言だけ。

 先輩方が大変立派な意見を述べて下さって感動しました。愛知県弁護士会では、大変有意義なヒアリングがなされたと思う。

 午後は医療過誤の裁判。

 こちらも一言。

 総務省に対するヒアリング回答の中で、日本の裁判件数が(過払金返還請求訴訟を除いて)減少しているというデータに触れられ、その理由として

 「裁判所が損害賠償事件や行政事件などで、市民救済に消極的な態度に終始している現状では、今後も市民が裁判所に救済を求めて需要が拡大するとは考えられない。」

というものがあった。

 これは実感としてよく分かる。

 国民の法的救済は、「事前規制よりも事後規制」によればいいとして、裁判所による紛争解決が期待され、弁護士の増員も必要とされた。

 しかし、実際の日本の裁判(過払金訴訟は除く)は、「金がかかる」「時間がかかる」「その割には判決で認めてもらえる賠償金額が少ない」という、被害者の救済には極めて不適なものとなっている。

 まず訴状に貼付する印紙が高い。

 そして、医療過誤訴訟でいえば、鑑定に要する費用、正式な鑑定のために裁判所に予納しなければならない費用はもちろんのこと、私的鑑定でも協力医に対して被害者は謝礼金を負担しなければならない。協力医から意見を聴取するにも謝礼金は発生するのだ。

 証拠として専門医の意見書の提出を求めてくる裁判官も多い。

 裁判所にはそういう被害者が負担しなければならない費用負担のことなど分かってはいないだろう。

 弁護士としてはできるだけ依頼者の経済的負担を減らしたい(たとえば協力医との面談回数を減らしたい)と思うのだが、そういうことは裁判所は知ったことではないというのは常に実感するところだ。

 結局、日本の今の裁判制度のもとでは、いくら弁護士を増やしても市民の法的救済というのは難しいと思う。

               

 司法改革の本来の理念を実現したいのであれば、裁判所、裁判官改革がまず先だろうと思う。

 しかし、心ある裁判官が処遇の面で冷遇され、とにかく事件処理が早い(適切な事件処理とは異なる)裁判官が優遇されるという状況は、全然変わっていないのではないか。

 むしろ、弁護士が過剰となったため裁判官が退職して弁護士となり生計を立てるということが難しくなっているため、見識のある裁判官が思い切った事件処理をするということがますます困難になっているのではないか。

 司法改革の目的はともかく、その改革の方向性は間違っているとしか思えない。

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