映画「BOX 袴田事件 命とは」を見て
きょうは、午前中、事務所で依頼者と打ち合わせをし、午後からは愛知県弁護士会主催の
に参加した。
「死刑を考える日」というのが弁護士会のテーマだったらしい。
でも、この映画は、「死刑制度」を考えさせるものというよりも、むしろ、「取り調べの全面可視化」と「裁判員制度」を考えさせるもの、だったように思う。
映画の中の袴田氏に対する警察官と検察官の肉体的・精神的な暴力はすさまじいものだった。
そして、熊本裁判官の苦悩も、相当リアルに描かれていた。
高橋監督の意図も裁判員制度を考えさせるものだったように思う。
過去の私の関連記事:
映画「BOX 袴田事件 命とは」 高橋伴明監督インタビュー のご紹介
どう考えても、この映画を上映するのであれば、「裁判員制度を考える日」という副題をつけるべきでしょう。
しかし、弁護士会主催の催しとしては、「裁判員制度」反対の立場から迫るのは無理だったんでしょうね。
でも、高橋監督も熊本元裁判官も、どちらも裁判員制度反対の立場を明かにしておられるのですが。
映画の上映の後、会場から「熊本裁判官は裁判官だから守秘義務がないので死刑判決に反対だったことを暴露できたが、裁判員には守秘義務があるから暴露できない。裁判員の守秘義務を撤廃する動きはないのか。」という質問があった。
やはり、熊本元裁判官の苦悩を映画によってリアルに感じれば感じるほど、裁判員になったとき自分だったらどうしよう、と思うのが自然だろう。
これに対して、主催者側から「日弁連も守秘義務撤廃を訴える活動をしている」という回答があった。
しかし、裁判員制度を廃止して国民の負担を除く活動こそしてほしい。
余談だが、映画としての出来を言わせていただくと、☆3つというところか。
熊本元裁判官と袴田氏とのイメージシーンがちょっと冗長すぎた気がする。
こういう映画は、やはり事実をリアルに淡々と描いた方が、胸に迫るものがあるように思う。
映画の後、弁護団の角替清美弁護士から袴田事件の説明があり、袴田氏の姉の袴田ひで子氏から家族の心情などが語られた。
袴田事件は、冤罪の極めて高い事件だと思う。
初期捜査も杜撰で、証拠の捏造も疑われるひどい事件である。
一刻も早く再審が開始されることを願います。
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