医師の増員と弁護士の増員
医師の増員や医学部の新設等について、今、大議論となっているらしい。
なんだか、司法改革で弁護士の大量増員が言い出された頃のことが思い出される。
しかし、医師会の方が弁護士会よりも、はるかに政治力があるなあ。
医師需給見通し「長谷川データ」を反省-文科省・医学部定員検討会で同氏(gooニュース)
文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」(座長=安西祐一郎・慶応義塾学事顧問)は1月28日、2回目の会合を開き、有識者ヒアリングを行った。この中で、長谷川敏彦・日本医科大主任教授は、自身がまとめた医師の需給推計(「日本の医師需給の実証的調査研究」2006年)について、「頭数の推計にすぎなかった」などとする「反省」を表明した。推計は「長谷川データ」と呼ばれ、厚生労働省の資料などに多く用いられてきたが、「現場の実態と異なる」などと批判されていた。
医師の需給については「長谷川データ」なるものがあるらしいが、このデータを作成した長谷川教授は、このデータが間違っていたと発表したらしい。
弁護士の需給見通しも大幅に間違っていたと思うが、間違ったあの人もこの人も全然反省などしていないのに比べて、長谷川教授は潔いと思う。それとも、何か「間違ってた」と言わざるを得ない事情があったのか?
医師会は、医学部の新設に反対しているようだ。
医学部新設に関する日本医師会の反論(pdf)
しかし、
医学部新設の是非、意見分かれる-文科省・医学部定員検討会(gooニュース)
ということらしい。
また、黒岩義之委員(全国医学部長病院長会議会長)は、医学部新設を求めた寺島町長の意見に関して、「医師が都市部に集中する偏在の仕組みを放置したままでは、数を増やしても実効性がない」とした上で、「医療者だけで解決できる範囲を超えている。行政の介入も必要だ」と述べた。中川俊男委員(日本医師会副会長)は「(将来の医師供給が過剰になった場合の)責任も持たなければいけない」とした。
過疎解消の議論も、よく似ている。
中川俊男委員(日本医師会副会長)は「(将来の医師供給が過剰になった場合の)責任も持たなければいけない」と述べたそうだが、当時、日弁連執行部にこういうことを言う人いたのかなあ。
本当に、今も、全然責任感じておられないんだろうか。
矢崎義雄委員(国立病院機構理事長)は、「既存の医学部定員増は(スタッフ体制などから)1.2倍が限度だ」と主張。さらに、新しい医学教育システムをつくってもいいのではないかとしながらも、日本では米国のような実習体制が取れないとの理由から「メディカルスクールは絶対反対」と強調し、「医師の育成や病院の在り方など、総合的な議論をしなくてはならない」と述べた。
というところも、なんだかロースクール制が登場した頃のことを彷彿とさせる。
医師増員、現役医師の意見は賛否二分 「単なる増員で地域・診療科の偏在は解消できない」との声も(日経メディカルオンライン)
なんてことになっているのも、そっくり!
しかし、医師の場合、
医学部の入学定員、23年度は77人増 総定員は3年連続最多を更新(産経ニュース)
なんて状態で、まだたった77人ですよ!
弁護士なんて、5万人をめざす(「実証的調査」なんてのもなしで!)、3000人司法試験合格めざす(500人当時と比べて6倍)、とさっさと司法審と閣議で決まってしまったのになあ。
この差は一体どこにあるの?!
過去の私の関連記事: 合格者数3000人になったのはなぜ?
(追記)
やっぱり、医師の方々は、弁護士大量増員の失敗を教訓とされておられるようですね。
医師増員は、医療崩壊を救うか?(ステトスコープ・チェロ・電鍵)
なぜ医学生は医師増員に反対するのか (Aut disce aut discede)
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私はお医者さんにはたびたび警告していますが,このまま医師団体が増員を小出しにしすぎていると,せめて日弁連のひまわり基金ぐらいには本気で過疎対策を考えないと,いつか世論が爆発して,弁護士のように医師団体が発言力を失い大幅増員を受け入れざるを得なくなるのではないか(外国医師の大量受け入れ,隣接医業の職域大幅拡大だってあり得ます。)と考えています。医師不足は,とても一般受けしやすい話題でもあり,医師がこのまま逃げ切れるとは私には全く思えません。
投稿: 某若手 | 2011年2月21日 (月) 11時17分