弁護士の会合は大変(話し出すととまらない)!+「こんな日弁連に誰がした?」のことなど・・・Twitterもどき(4月17日午前7時40分)
昨日は、司法問題対策委員会(第1回)に出席し、その後「とり料理屋」さんで司法改革関連の懇親会に出席した。更にスタバでコーヒーを飲みながら2次会。
懇親会にもベテラン、中堅、若手と15,6人もの弁護士が集まり、大変盛況であった。
法曹人口問題についての歴史をベテラン陣が語り始めると、とどまるところを知らない。
なにしろ、名古屋の弁護士有志の法曹人口問題に関わる闘争の歴史は長いのだ。それは、東京、大阪の派閥政治に対する「怨念」の歴史でもある。
もちろん、「こんな日弁連に誰がした?」(小林正啓弁護士著)も話題になりました。なにしろ、この本に実名が載せられている弁護士も参加していましたから。
私は、小林弁護士に送って頂いたこの本をいつもカバンに入れて、読み終わった後も時間を見つけてちょこちょこ見開いている。
まとまった感想はなかなか書けそうもないが、正直なところ見過ごせない事実誤認もあるのではないかと思っている。
特に、「法曹一元」の実現を大多数の弁護士が熱望していたため司法試験合格者3000人に賛同したというような事実はない。「法曹一元」を熱狂的に支持していた一部弁護士を黙らせる効果はあったかもしれないが。
また、増員反対派が強行に増員反対路線を貫いたために(妥協をしなかったために)、日弁連執行部が法曹人口問題についての発言力を失ってしまったという主張は、旧主流派が反対派を攻撃するためにかねてから言っていたことであり、著者もそれを採用しているが(著者は積極的ではないといえ旧主流派に所属していた)、これも誤りと考える。逆にあのとき変に妥協していたらどうなっていたか、考察してみる必要がある。いったん妥協の道を選んでしまうとズルズルと妥協をせまられることは(今までの旧主流派路線がまさにそう)日常交渉ごとにたずさわる弁護士であれば容易に推察できることだろう。
こういう誤認がまかりとおってしまうことは大変問題であるから、ぜひ闘争の歴史をつぶさに知っておられる名古屋の先輩方には(会合で多くを語られるだけでなく)反論書を書いて頂きたいと思うのだが。なかなかそういう時間は取れませんかね。
確かに小林弁護士の著書は読みやすい。しかし、逆にそれは危険でもある。
「左翼系弁護士」という言葉が頻繁に出てくるが、変な誤解を与えないためにも、著者による定義をしてもらいたい。著者の「左翼」に対する蔑視的な感情がかいま見られるようで(私は「左翼」「右翼」とひとくくりにするだけで評価してしまうやり方には反対)、たびたび不快になった。
また、「弁護士を増やすと戦争になる」などと反対派がバカなスローガンを掲げていたという文章があったが、これも間違い。これは、おそらく、経済的に困窮し「三百代言」とさげすまれた戦前の弁護士が、国民の人権擁護どころか戦争に翼賛していったという歴史的経緯を語ったことを指していると思われる。これは現代の弁護士もそうなってはいけないという歴史的な教訓として掲げられたものだ。
更に、「日弁連」という言葉があたかも弁護士全部を指す言葉のように使われているが、これも読んでいて腹立たしい。ほとんどが「日弁連執行部」(つまり「日弁連大本営」)を指しているように思う。そして、それは(著者も所属していたという)東京や大阪の大派閥の有力者たちが牛耳っていた組織である。当時は(というよりも、無派閥の宇都宮会長が当選するまでは)こういう派閥政治が続いていたのだ。この派閥こそ、そしてその派閥の方針に疑問を持つことなく盲目的に従っていた人たち(著者もその一人であるという)が「こんな日弁連」にした張本人であると私は考えるが、著者にはそういう視点は全くないようだ。
登場人物もあまりにステレオタイプに描かれていないか。特に、著者の中坊公平氏に対する評価はおそらく多くの弁護士のものとは違うだろう。
ともあれ、日弁連執行部と多くの弁護士たちの愚かしい歴史を、こういう書物という形で残されたことは大きな功績だと思います。
さて、こういうわけで名古屋の弁護士有志の怨念はすさまじいものがあるが、本当に「怒っているだけでは仕方がない」のである。
将来のある若手弁護士たちに、その怨念をぶちまけているだけでは逃げられてしまうと思うので、歴史を語る(できれば小林弁護士のような文章にして頂けたらなあ)だけではなく、これからどうするかも一緒に考えていただけたらと思うのだが、会合ではなかなかそこまで進まないのである。
大阪、兵庫、京都、名古屋の弁護士で集まったときに、法曹人口問題を語り合うための全国規模の弁護士のメーリングリストを構築しようという話になり、昨日の会合で10人ほどの弁護士に新たに参加して頂くこととなった。これは大きな成果であった。
そのほかにも、多分に感情的かつ攻撃的な新聞の社説によって一般市民が惑わされないように、分かりやすい法曹人口問題Q&Aをつくろうという話もあるのだが、なかなか着手に至っていないのが残念である。
弁護士会の派閥について書いた私の記事
« 佐藤幸治氏らの「法曹養成制度改革に関する提言」が法務省HPに掲載されていました。 | トップページ | 63期の就職状況(その2)・・・名古屋の場合 »
「弁護士」カテゴリの記事
- アディーレ法律事務所による説明(2017.10.20)
- アディーレの臨時相談窓口(2017.10.19)
- 大阪弁護士会のアディーレ臨時相談電話(2017.10.17)
- 本当にお疲れ様です。・・・Twitterもどき(10月17日12時45分)(2017.10.17)
この記事へのコメントは終了しました。
« 佐藤幸治氏らの「法曹養成制度改革に関する提言」が法務省HPに掲載されていました。 | トップページ | 63期の就職状況(その2)・・・名古屋の場合 »
コメント