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2010年3月10日 (水)

宇都宮候補勝利!~こんな日弁連を変えられるか?

 本日の日弁連会長選挙(再投票)は、宇都宮候補が勝利した。

 平成22年度同23年度日弁連会長選挙(再投票)開票結果仮報告集計表

 比較として2月の投票結果はこちら

 平成22年度同23年度日弁連会長選挙開票結果仮報告集計表

 今回の再投票で最も驚いたのは、大阪で宇都宮候補が勝利したこと。

 これで都市と地方の対立構造ではなく、東京と地方の対立構造となったわけだ。

 (もっとも大阪が都市ではないというのなら別だが。新聞記事によれば名古屋はとうに都市ではないようだけど。)

                

 大阪は現会長のお膝元。派閥の力も強いところ。そこで、宇都宮候補が勝利したというのはすごいことだ。

 先回の投票と比べると、投票率が、

  大阪 65.63%→71.80%  と大幅にアップしているのに対し、

  東弁 78.80%→64.63%  と大幅にダウンしているのが興味深い。

 大阪でこれだけ投票率がアップした理由が何だったのかは分からないが、これが宇都宮候補に有利に働いたのは確かだろう。

 これに対して、山本候補の大票田の東京弁護士会の投票率が大幅ダウンしたのは、山本候補には痛かった。

.                

 私は、宇都宮候補の積極的支持者ではないが、少なくとも主流派(今はもう主流派ではないのかな?)として歴代の会長経験者をずらりと支持者に並べ、次のようなことを平然と述べられていた山本候補には会長になって頂きたくはなかった。

 週間法律新聞 平成22年(2010年)1月29日 第1838号 「日弁連会長候補アンケート」からの抜粋。

会内意見

 Q 会員の中に「日弁連執行部派と一般会員との間に意識の乖離がある」との見方があります(平成二十一年十月十六日「中部弁連決議」)。

 日弁連の会内民主主義の現状には改善すべき点があると考えますか。あるとすれば、どういった点ですか。

宇都宮 問題は、東京・大阪の会派の在り方です。会派の中で執行部派と一般会員の間に意識の乖離があるにもかかわらず、会派が組織決定をすると、それが弁護士会さらに日弁連に決定的な影響を与えることになる点です。

山本  執行部は常勤で会員のため会務に取り組む立場ですので、一般会員との間で情報量の点で圧倒的な差が出ます。これまでにも増して、できる限りの情報の迅速な共有化と意見交換の場を増やすということが必要だと考えます。

 山本候補は、質問に対して正面から答えていないのみならず、その回答には「一般会員は執行部と比べ情報量の点で劣っている。」「情報が少ないからそういう考えになるのだ。」「知らない一般会員よりも知っている執行部の意見の方が優先されるべきだ。」という傲慢さが伺われる。

 これは、「当面の法曹人口のあり方に関する提言」を、一般会員に対する発表からごく短期間のうちに、総会決議にもかけずに理事会決議で可決してしまった執行部の態度と共通するものである。

               

 私は、宇都宮候補のご意見に全面的に賛成するわけではなく、そのお人柄もよく知らないが、少なくとも宇都宮候補には「会内民主主義」を尊重し、一般会員の意見を汲み上げた政策を取って頂きたいと期待しています。

※ 表題の「こんな日弁連を変えられるか?」は、小林正啓弁護士の著書「こんな日弁連に誰がした?」(平凡社新書)の題名をちょっとパクらせて頂きました。小林先生、ご本をお贈り頂きましてありがとうございます。今読んでいます。

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弁護士」カテゴリの記事

コメント

執行部が情報量が多いのは当然のことだ。一般会員に対しては、報告書とか議事録とかで開示しても、そこに載らない情報は入手のしようがない。

一般会員にしても膨大な情報が送りつけられてきては、処理できず、見ずにゴミ箱行きだろう。環境に優しくない行為となってしまう。

一般会員の意見を吸い上げるにしても数が多い一般会員の意見をどう集約するというのだろうか。とりあえず争点は広告規制の問題だろうな。最終的には多数決で決めざるを得ないだろう。

>総会決議にもかけずに理事会決議で可決してしまった執行部の態度と共通するものである。

決定事項というもの、総会決議が必要なもの、そうでないものが、およそ会則で決められてしかるべきだ。例えば予算や決算は総会で承認を得るべき事項と思うが。そうなると、件の提言が、総会決議を必要とするものかどうか会則ではどう規定しているのか、法律家としての見解が待たれる。

情報公開の理念は,アクセスしようとした人が情報を入手できることにあるので,興味のない一般会員に膨大な資料を送りつける必要はない。

また,決定事項が会則に定められているかは,違法合法のレベルの問題であるが,今問題にされているのは,適当か不適当かの問題だと思います。不適当は,法(会則)に反していないので処罰の対象(違反)にはならないが,批判の対象にはなり得ると思います(裁量論を参照してください。)。そのうえで,批判はされるべきだと思います。

ところで,山本候補が「今回の結果は,司法制度改革の否定とは考えていない。」とおっしゃられたそうです。

都合の良いとこだけを抜き出すマスコミの記事なので文脈による解釈の齟齬はあるとはおもいますが,

この一言だけでも,今回宇都宮候補に投票した価値は十分あったと思っています。

>情報公開の理念は,アクセスしようとした人が情報を入手できることにあるので,興味のない一般会員に膨大な資料を送りつける必要はない。

誰が何に興味あるのかわからないとなりませんね。
HPにアップするもの一つの手ですが、当然もうやっているのでしょう? であれば、執行部と一般会員に情報量の差があるのは、そういった資料以外の情報もあるということでしょう。生情報は現場でしか入らないものも多いでしょうから。それが資料になればいいが、そげ落されたら、普通の会員は知る機会はないでしょう。

>決定事項が会則に定められているかは,違法合法のレベルの問題であるが,今問題にされているのは,適当か不適当かの問題だと思います。

で、何が不適当なんでしょうか?
不適当として、それではどうしろと?
総会決議にもかけずに理事会決議で可決してしまったことが会則上合法であっても、不適当というなら、会則自体が不適当と思われますが、そのまま放置してよいのか、それも会則を変えるのか。そういった話にもなります。また、同じ目にあいたいというなら話は別ですが。

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