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« 裁判員の質問を今か今かと待ちかまえるマスコミ・・・Twitterもどき(8月4日午後6時20分) | トップページ | 江川紹子さんの裁判員裁判第1号の傍聴体験記 »

2009年8月 7日 (金)

セレモニーが終わって(よい人生経験?)・・・Twitterもどき(8月7日午前7時10分)

 お盆前なので、やることが一杯。

 裁判員裁判第1号の記事は、産経ニュースとNHKの同時進行裁判員裁判だけはほぼ読んだり見たりした。

 思ったことはたくさんあるが、ブログの記事にする時間的、精神的余裕はない。

 少しだけ感想を。

 量刑が厳しくなるだろうことは予想されていたこと。感想はこの方と同じ。

   【裁判員 判決】「重くなること予想できた」安冨潔・慶応大教授

                           産経ニュース       2009.8.6 15:14

 事実認定は職業裁判官だけの判断でもこうなっていたと思う(裁判官は即刻判決文を作成しなければならないので、予め下書きを作っておいたのではないかと疑ってしまう。)

 NHKなどは裁判員の質問内容から裁判員の意見が取り入れられた結果だと評価していたが、そうだろうか。

 裁判員の質問(やはり裁判員はマスコミが「質問はまだかまだか」というのでプレッシャーを感じていたらしい)は、堀田力氏らが絶賛するほどのものだったかは疑問。おそらく質問のほとんどは、被告人が捜査段階で聞かれているものであり、供述調書にも記載されていることだろう。

 たとえば「なぜ直ぐに救急車を呼ばなかったのか」なんて警察官も検察官も、もちろん裁判官も当然気づいている。もちろん弁護人も。

 そんなに大騒ぎすることか?

 もともと情状面で不利なことが多い事件だったのだ。

 しかし、被告人が犯行態様を争っているので、遺体の傷はもっとも重要な客観的証拠だったはずだ。

 裁判官は裁判員に「辛かったら無理に見なくてもいい」と言ったらしいが、そんなことでいいのか?実際にも目を背けていた裁判員もいたという。

 裁判所と裁判官が相当裁判員に気を遣っていたことが裁判員の記者会見の内容からもよく分かった。

 裁判員は大切な「招待客」。裁判所としては、分かりやすいよう、飽きないよう、疲れないよう、休憩時間もたくさん入れて接待しなければならない。

 裁判員の印象もよかったようであるが、記者会見の場で接待してくれた先を悪く言うわけにはいくまい。

 裁判員は「よい経験だった」「よい社会勉強だった」と述べられていたが、裁判は人生経験の場を提供する場所なのか?

 評議は「ゼミのようだった」という感想を述べられた方がいたが、おそらくそうだったのだろう。とすれば、裁判長はチューターか?講師か?評議は教育の場なのか?

 おそらく裁判員は裁判官が入手している情報すべてを入手していないのだろう。鑑定書を読んだかどうかも不明。供述調書も全部ではなくダイジェスト版なのかもしれない。

 殺人事件にしては争点がそれほど多くなかったこの事件でも、全部の情報を入手して検討するのには3日や4日では無理だと思う。

 弁護人の方々は国選弁護人だったのだろうか?私の読んだ記事からは分からなかったが。

 裁判員裁判第1号を担当するということは大変だっただろう。

 「分かりやすさ」を追求するための、モニターの図面などを作成するのは誰がやったのだろう?その費用はどうしたのだろう?

 検察官は国費から出るし、モニターの図面などを作成してくれる人もいくらでもいるだろうが、弁護人側はどうなのか。法テラスはそういう費用を出してくれるのか?

 今後はCGなども多用して裁判員に分かりやすいように画像を作成しなくてはならなくなるかもしれない。より分かりやすく精度の高いCGを作成した方が勝ちなんてことになったら、私選弁護ならともかく(依頼人に負担してもらうほかないが)国選弁護でその費用は出るのか?

 ・・・・・裁判員裁判第1号を「大成功」と評価している方々もおられるようだが、私の疑問と不安は尽きない。

 最後に、この事件は被害者も被告人も証人も皆隣人。

 犯行の動機も争点の一つだったため、被害者の人となりも審理の対象となった。

 裁判員裁判第1号であっためにそれが大きく報道されて、被害者の遺族は大変お気の毒であった。

 証人は今も近所に住む被害者の遺族の面前で被害者について悪いことが言えるだろうか?被害者の遺族の面前で証言して、それがまた報道される証人もお気の毒であった。

 裁判員裁判第1号となったばかりに、こういう事態を受容せざるをえなくなったこれらの方々には本当に同情する。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

始まったばかりの制度に対して、細かい不備ばかりをついても仕方ないと思うのですが。

「被害者の遺族は大変お気の毒」って、被害者が裁判員制度を迷惑に思っている証左はあるのでしょうか。むしろ、裁判員制度で厳罰が下るのであれば、歓迎しているのではないでしょうか?

RQさんへ
 >始まったばかりの制度に対して、細かい不備ばかりをついても仕方ないと思うのですが。

 細かい不備どころではありません!
 詳しくご説明する余裕はないので、ぜひ「裁判員制度の正体」(右サイドに紹介)をお読み頂きたいと思います。

>「被害者の遺族は大変お気の毒」って、被害者が裁判員制度を迷惑に思っている証左はあるのでしょうか。むしろ、裁判員制度で厳罰が下るのであれば、歓迎しているのではないでしょうか?

 裁判員裁判であろうとなかろうと、本件は被害者の人柄なども審理の対象となったでしょうが、第1号だっためにマスコミが大々的に報道したことがお気の毒だということです。
 結果として厳罰だったのは被害者遺族の希望にかなったのかもしれませんが、裁判員裁判第1号になってこういう報道をされることは歓迎されていたんでしょうか・・・。

検察審査会制度も同様なことを行っているのですが、ご都合の悪い事実は無視ですか?

>検察審査会制度も同様なことを行っているのですが、ご都合の悪い事実は無視ですか?

同感です。一般に弁護士の方は、一方当事者の立場から主張するのに慣れていますが、左右両方を見てバランスよく判断する力を養う機会に恵まれませんから。

上の二つのコメントをお書きになった方へ
 意味不明です。
 私も検察審査会制度について意見がないわけではありませんが、司法のすべての制度についてブログで取り上げる余裕はありませんし、もともと個人のブログで何を取り上げるかは自由です。

 一応、検察審査会というのは、こういうものです。
→http://www.courts.go.jp/kensin/

 なお、今後は、コメント投稿にハンドルネームのないもの、意味不明なコメントは、公開しないこともあります。
    

この記事へのコメントは終了しました。

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