現役裁判官も弁護士増員に危惧!(追記あり)
ボ2ネタを見て驚いた。
毎日新聞 2009年7月11日 東京朝刊
末永総括判事は「弁護士のなかには(権利を意味する)訴訟物という法律用語すら知らない人や、訴訟物の存在を主張する一定の事実を正確に理解していない人もいる」と指摘。民事訴訟の長期化について、「裁判所にも遅延要因がないわけではありません」としながらも、「十分に事実を調査せずに訴状を提出する当事者(代理人弁護士)に多くの原因がある」とした。
「訴訟物という法律用語すら知らない」って本当か!
さらに、「我が国の裁判制度は、ある意味で、退化しているような気もしています」と懸念を表明。司法改革の一環で司法試験合格者を毎年、3000人程度に増員することについて「(弁護士の)質の低下が危惧(きぐ)されますし、現に私の法廷ではその傾向がはっきりと窺(うかが)われます。法廷で弁護士にいろいろと教示する必要がでてきている」とした。
「法廷で弁護士にいろいろと教示する必要がでてきている。」って、よほど腹が立つことがあったのだろう。
現役裁判官がこんなことを公に述べることにも驚いたが、それが一般紙の記事に載るのにも驚いた。
それにしてもロースクールの教育では訴訟物や要件事実をあまり重要視しないのであろうか。
司法研修所の研修期間も短くなり、しかも弁護士の就職難のために修習後期になると修習生は就職活動で忙しいらしいから、じっくり勉強する時間がないのかもしれない。
やはり、私は、今のロースクールによって短期間に大量の法曹を生み出すという制度には反対だ。
必要な数の合格者に対し司法研修所できちんと同レベルの教育をする、弁護士になってからも法律事務所で実務教育(OJT)を受けられるようにする、というやり方の方が合理的であり国民の利益(法的サービスの面からも、経済の面からも)にもなると思う。
今の司法試験合格者数の維持は、本当に国民のためになるのだろうか。もしロースクール維持のためにこれ以上合格者数を削減できないというのなら、本末転倒だろう。
法曹人口、法曹養成のあり方について、きちんと見直すべきときが来ているように思う。
追記:
末永進裁判官の同窓会HPに書かれた原文です。
函館ラ・サール高校同窓会ー同窓生・恩師からの手紙 「民事裁判はなぜ時間がかかるのか」
法廷がロースクールと化することもあります。
とまで言われています。
また、ロースクール制や弁護士大増員の弊害についても、かなり突っ込んだ内容を書かれています。
末永裁判官は、来年12月に定年退官されるそうです。なるほど・・・。
追記2:
読売新聞も記事にしていました。
末永判事は「我が国の裁判制度は、ある意味で退化している」として、弁護士の増加が質の低下につながる懸念を表明。弁護士の力量不足を裁判官が補うために「法廷がロースクールと化する」と指摘した。
法科大学院で多額の授業料を払う必要があることなどについても「裕福な家庭の子女でなければ法曹となれない」と法曹の門戸を狭くしていると言及した。
(2009年7月11日10時53分 読売新聞)
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