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2009年1月17日 (土)

裁判員制度あれこれ・・・(その2)。

審理「スピードより充実」・・・裁判員制度で最高裁が報告書 (読売新聞)

5月に始まる裁判員制度に向けて、最高裁刑事局は、4年間にわたり全国の地裁で行われてきた模擬裁判の成果を分析した報告書を作成した。

 国民の負担を減らすため、審理期間の短縮を目指して工夫を重ねてきたが、報告書は、有罪・無罪などを判断する基礎となる真相の解明を重視し、「必要な審理は尽くされるべきだ」とした。「スピード審理」より「充実した審理」の必要性を指摘したもので、裁判員裁判のあり方を示す参考資料として、活用される。

 今まで、「3日で終わる、終わる」と強調していたくせに。何を今さら。充実した審理のためには、1週間でも、2週間でも、いや1カ月でも、2カ月でも、審理を続ける必要があるというのであろうか。

[裁判員制度元年]モニターなど工夫、視覚化へ課題も (産経新聞)

検察側はモニター画面に被告によってバラバラにされた被害者の骨などを提示。刑の重さに争点が絞られていることから、被告の犯行の「凶悪」さを強調しようという意図で映し出したとみられるが、あまりの映像の“生々しさ”に、思わず目を背ける傍聴人が多かった。

 以前から、「素人である裁判員に遺体の写真などを見せることは、精神的な負担が大きい」と指摘する法曹関係者は多い。現在、最高検と日本法医学会で、開示する画像をイラストで代替できるかについて検討作業を進めている。

 写真をイラストで代替するのは反対だ。やはり証拠は生のままで見なければ正しい心証は得られない。

遺体切断、法廷で検察再現 3時間半、号泣の遺族退廷 (asahi.com)

マネキンの右足の赤黒い切断面がディスプレーに映し出された瞬間、傍聴していた遺族の女性が悲鳴を上げて泣き出し、裁判所職員に抱きかかえられるように退廷した。検察側は、被告が描いた絵も使い、遺体を切り離していった方法や順序、感触などを約3時間半かけて被告に質問。星島被告も動揺した様子で「絶対に死刑だと思います」と突然叫ぶなど、法廷は一時、騒然となった。

 東京地検は公判後、「遺族にも事前に立証内容を説明して了解をもらっていたが、精神的なショックへの対処などは、今後の検討課題にしたい」と説明。ただ、「裁判員もこのような画像を見てもらう、というメッセージでもある」と意義を強調した。

 東京地裁のあるベテラン刑事裁判官は「検察側は法廷で死体損壊罪を立証する責任がある。たとえ正視できない証拠でも裁判所は取り調べなければならず、市民も避けて通れない」と話す。(河原田慎一、向井宏樹)

 マネキンの足だけで、こういう事態になっては・・・。

 しかし、このベテラン刑事裁判官の言われるとおりだ。

 こういう事態になることは、刑事裁判の現実というものを知っていれば容易に予想できたことだ。裁判員制度の生みの親である司法制度改革審議会の委員は、こういうことを予想しなかったのだろうか。

 この審議会の特色の一つは、審議会13名のうち、法律専門家の数をあえて半数以下の6名とし、法律専門家でない委員のほうを多くしたことです。その功罪はいずれ明らかになるでしょう。とはいえ、訴訟というきわめて専門的、技術的な問題を扱うのに、ずぶの素人の委員を多くするというのは、ずいぶん無謀なことであったと思われます。特に、刑事裁判のあり方を大きく変えようというのに、委員のなかに刑事専門の裁判官がいなかったということが、裁判員制度などという無謀な制度(後に詳述します)が出てくる1つの原因になりました。

    「裁判員制度の正体」西野喜一著 講談社現代新書 53頁

 確かに、刑事専門の裁判官を1人も委員としなかったのは無謀というほかない。

 国会でもこういうことは充分審議されなかったのだろうか。国会議員の中にも法曹関係者はいただろうに。

 裁判員制度の施行は4カ月後にせまっている。こんなことで本当にいいのだろうか。

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