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2009年1月30日 (金)

ある日のA弁護士とB弁護士の会話

 ずいぶん前のことだが、久しぶりに弁護士会館で依頼者と待ち合わせをした。

 弁護士会館は、弁護士大量増員が決定的になったときは、狭すぎるんではないか、打ち合わせ室が少なすぎるんではないか、などという心配の声もあったのだが、今ではたいてい閑散としている。もっとも、仕事に直結するような研修会が開かれるときには、「こんなに弁護士がいたの?」という位に顔も名前も知らないものすごい数の若手弁護士が集まるのだが・・・。

 普段でも委員会などは会館で開かれているのだが、弁護士の数が増えても委員会の出席者は減少しているため、たいてい閑散としているのだ。

 私が弁護士になった頃には、控え室でベテラン弁護士と若手弁護士が談笑している姿をよく見かけたものだが・・・。今ではめったに見ることはない。

 さて、話を戻して・・・。

 私がベンチで依頼者を待っていると、やはり事件関係で待ち合わせをしていたらしい弁護士会の重鎮であるA弁護士とB弁護士がこんな会話をしているのが耳に入った。 

 A弁護士「B先生、あんたんとこイソ弁取る気ない?プレッシャーかけられて困ってるのよ。」

 B弁護士「A先生んとここそ(イソ弁を)取ると思ってたよ。うちは(仕事が?余裕が?)なくって困っているんだ。」

 A弁護士は弁護士大量増員賛成派であった。今も3000人増員の積極的賛成者として有名だ。だから、弁護士会の司法修習生の就職あっせん担当の副会長からの「イソ弁を採用してほしい」というプレッシャーは相当きついものがあるのだろう。

 B弁護士は積極的な増員賛成派ではなかったようだが、表だって反対されたという話は聞かない。

 A弁護士のところにはたくさんイソ弁がいて、私は数年位前まではまだイソ弁の名前と顔が一致していたが、その後はたくさんのイソ弁がめまぐるしく出たり入ったりしているので、今ではどういう人がイソ弁なのか全く知らない。

 B弁護士はイソ弁が一人独立するとまた一人次のイソ弁を採用するという昔からのパターンのようだ。

 A弁護士のイソ弁がどうして次から次へと変わるのかについては、いろいろな噂が飛び交っているが、確かなところは分からない。

 でも、この会話を聞いて、こういうふうにA弁護士のところで採用されたイソ弁が大切に育てられていないだろうということだけは想像できた。

 先日FAXされてきた日弁連ニュースによれば、新61期の司法修習生のうち、まだ66名が弁護士登録できていないそうである。なんとか登録できた修習生の中にもかなりの数の即独やノキ弁がいるのだろう。そして、首尾良くイソ弁になっても思わぬ落とし穴が待っていたりするのだ。

 司法修習生の就職戦線はこれからますます厳しくなるだろう。しかし、どこでもいいから就職を、というのはやめた方がいいと思う。                    

※ このA弁護士とB弁護士にはモデルはありますが、どちらも実在の人物ではございません。

 なお、過去の私の記事「A弁護士とB弁護士」もよろしかったらお読み下さい。

 私は、このA弁護士とB弁護士をシリーズ化しようと密かに思っていたのですが、挫折してしまいました。でも、また司法修習生の就職シーズンなので、ちょっと書いてみました。

 

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弁護士」カテゴリの記事

コメント

ノキ弁、イソ弁。
素人には、意味がさっぱりわかりません。なぜ、素人には分からない略語を使われるのですか?
素人は分からなくていいというメッセージでしょうか?

通りすがりさんへ
 ノキ弁、イソ弁について、興味をお持ちでしたら、右サイドバーの検索で「ブログ内検索」を選択し、ノキ弁、イソ弁を入力して下さい。
 一杯出てきます。

ブログ内に意味が書いてあると、どうやって知れば良いのでしょうか?
常連さんへのメッセージだったのでしょうか?

法曹関係者が素人には分かり難い裁判をするから、裁判員制度が導入されたという意味が分かりました。

反対運動している弁護士さん自身が、素人の国民がわからない裁判用語を使うのでは、救いようがありません。

通りすがりさんへ
>反対運動している弁護士さん自身が、素人の国民がわからない裁判用語を使うのでは、救いようがありません。

 「イソ弁」「ノキ弁」は「裁判用語」ではありません!

 なお、この言葉は既に新聞や雑誌でも取り上げられており、弁護士だけでなく、一般の方々もかなりご存じの言葉になっていると思います(ノキ弁などという言葉はあまり知られたくはありませんでしたが、日弁連の公認用語のようになっていますからね)。

 また、この記事は裁判員制度のものではなく、どちらかというと法曹関係者向けの記事です。
 
 更にいえば、私は、ブログ(有料のコンテンツを除く)を書いている人間が、そのブログに使用する言葉の意味を、全て読者に説明しなければならない義務はないと思っています。

 もし読者が本当にその言葉の意味を知りたいのなら、今はネット上でたいていの言葉の意味を調べられますからね。

※ なお、裁判員制度についても、裁判官に全ての法律用語の解説をせよというのは事実上不可能だと思っています。そんなことをしていたら時間がいくらあっても足りません。ある程度、裁判員になる方々も解説書などを読んで自ら理解する努力をされないと、裁判員裁判を短期間で終了させることなど無理だと思っています(裁判官が説明するだけで最低でも1日くらいかかってしまいそうです)。

追記:
>法曹関係者が素人には分かり難い裁判をするから、裁判員制度が導入されたという意味が分かりました。

 これは全くの誤解です。
 「素人に分かり難い裁判をするな」という素人(一般市民?)の声で、裁判員制度が導入されたのではありません。
 裁判員制度が導入された経緯については、このブログでも触れておりますが、詳しくお知りになりたい方には右サイドバーで紹介している「裁判員制度の正体」「裁判員制度はいらない」をお読みになることをお勧め致します。

皆さんが興味を持つであろう質問があります。

「ベテラン弁護士さんであるあなたが、他人に対して、自らの間違いを認めたのは、いつどんな時でしょうか?」

>通りすがりさんへ

 この記事と「」内の質問はどういう関係があるのでしょうか?
 それに、そんな抽象的な質問にどう答えろというのでしょうか。
 
 申し訳ありませんが、これ以上のコメント対応はしかねます。
(上のコメントの「通りすがり」さんが同じ方でしたら、「ノキ弁」等についてのご質問に対しては十分お答えさせて頂いたと思います。)

 また、私は、当分仕事に専念したいので、(おそらく半月くらいは)記事も書けませんし、コメントをブログに反映させるのも相当遅れると思います(コメントに対する回答もできないと思います)。

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