全国の弁護士を対象とする裁判員制度のアンケート結果が出る。
裁判員制度の是非について全国の弁護士に問うたアンケート結果が出た。
この結果についてはマスコミもたくさん報道してくれたようだ。
裁判員制度、全国の弁護士に一斉調査(TBSテレビ)
裁判員制度について約7割の弁護士が反対 制度廃止求める弁護士有志のアンケート調査で(フジテレビ)
7割が裁判員制度に反対 弁護士有志の調査(日テレ)
裁判員制度に反対の弁護士多数 有志の弁護士が調査(ANNニュース)
裁判員制度に反対の弁護士多数 有志の弁護士が調査(広島ホームテレビ)
【迫る裁判員制度】弁護士の68%「ノー」(産経ニュース)
回答者の68%が裁判員制度反対 弁護士有志の全国調査(中日新聞)
私も有志の一人として参加し、少しだけアンケート項目の作成や集計作業をお手伝いした。
このアンケートは裁判員制度に反対の弁護士有志によるものであるが、アンケート項目の立て方、実施方法、集計はあくまでも公平に行った。
残念ながら回収率は1割程度と高くはないが、弁護士に対するアンケートの回収率は大体においてこんな程度であるし、むしろ年末の忙しい時期によくこれだけの回答があったものと思う。
アンケートにお答え下さった方々には大変感謝しています。
このアンケート結果は、弁護士の裁判員制度に対する意見をよく反映していると思う。
刑事弁護の実態を一番よく知っているのは刑事弁護人となる弁護士だ。刑事弁護に一生懸命取り組んでこられた私の尊敬する先輩方は皆裁判員制度の導入に反対している。
そういう弁護士の意見を全く無視していいのか。
政治家も国民の方々もよくお考え頂きたいものだ。
なお、このアンケートは有志の弁護士が経費と労力を負担して実施したものだ。私の集計の割当は多くはなかったが、正直、師走の忙しい時期に短期間で集計作業をするのはきつかった。
本当はこういうアンケートは、国会で裁判員制度の導入が議論になった当初に、日弁連が会費を使って実施すべきであったと思う。
纐纈先生、打田先生、本当にお疲れ様でした。
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» 裁判員制度 回答弁護士の3分の2強が否定的 [ろーやーずくらぶ]
愛知県弁護士会の纐纈和義弁護士ら有志が行った裁判員制度に関する弁護士アンケート(回答率10%)で、延期・廃止を求める回答が68%にのぼることが明らかになりました。共同通信
反対理由として多かった回答は、「審理が十分できず被告人の権利が侵害される」、「短期間での連日開廷のため弁護活動を十分できない」など、被告人の防御権保障に問題のある裁判員制度の欠陥を浮き彫りにしています。... [続きを読む]
> そういう弁護士の意見を全く無視していいのか。
> 政治家も国民の方々もよくお考え頂きたいものだ。
はじめまして。
上記の記事の意味がよくわかりませんでした。
裁判員制度の法律が出来た経緯は、
国民の希望がまず始めにあり、その国民の希望を元に政治家が法案化したという事をおっしゃりたいんでしょうか?
---------------------------
1994年に経済同友会が「現代日本社会の病理と処方」と題する文章で、法曹人口の大幅増員を求めました。97年に自民党の安岡興治代議士(後の法務大臣)が党司法制度特別調査会を立ち上げたのを切っ掛けに法務省が「改革の流れを利用し、司法に関わる人員の大幅増員を勝ち取ろう」(朝日新聞)と同調し、それに最高裁と日弁連が加わり、99年に司法制度改革審議会が設置されたというのが流れです。この一連の司法制度改革のなかに裁判員制度が入っていたわけですが、元はと言えば法曹界の人口を増やすことを目指すことが目的で、裁判員制度はその口実だったと言われています。
法曹界の人口を増やす=国の予算や、法曹界の売り上げを伸ばし、勢力の拡大を目指すと言うことです。
また、直接的には裁判員制度のための巨額の広報費用が政府予算で付けられ、それが利権となっているようです。最高裁と電通および新聞社の癒着、怪しい予算の使い方や世論形成のためのさくらがいるタウンミーティングを開催したなどが一部報道されました。
この辺りはこの本の第6章に詳しいです。
「官僚とメディア」魚住 昭、角川書店
投稿: | 2008年12月26日 (金) 18時41分
>裁判員制度の法律が出来た経緯は、
国民の希望がまず始めにあり、その国民の希望を元に政治家が法案化したという事をおっしゃりたいんでしょうか?
違います。
国民の希望によるものでもなく、大半の弁護士の希望によるものでもありません。
でも、国民が選挙で選んだ国会議員によって裁判員法が可決されたのです。
今となっては、裁判員制度を延期ないし廃止に追い込むのは、裁判員制度に反対する国民の力によるほかないと思います。
選挙の争点になったときに選挙権を行使する、「裁判員制度はいらない」等の市民活動に参加する、請願書を提出する、などできることはあると思います。
投稿: M.T.(管理人). | 2008年12月26日 (金) 21時42分
弁護士先生たちの回答率が一割程度というのが信じられない、こんな重要な案件なのにこのていたらく。
このアンケート調査には協力するなという圧力のようなものがあったというようなこと聞いてないですか。
そうでもなければ信じられない回答率です。
投稿: S.H. | 2009年1月 1日 (木) 15時41分
>弁護士先生たちの回答率が一割程度というのが信じられない
弁護士のところには、弁護士会などから次々といろいろなアンケート用紙が配布されます。それに全部答えていたら大変ということもあるのです。
回収率が低いのには、そもそも裁判員制度に対する弁護士の関心が薄いということもあると思います。
(私の前の記事「裁判員制度に対する司法関係者の本音」をご覧下さい)。
回答に協力するなという圧力がかかったという噂は聞きません。
むしろ裁判員制度の導入に積極的だった一部の弁護士は、「賛成する」にまるをつけてしっかり回答されたのではないでしょうか。
残念ながら、裁判員制度で弁護人をやらないつもりの弁護士にとっては、国民と違って裁判員に選任されることもありませんし、裁判員制度が導入されても仕事や日常生活には影響がありません。
このため反対運動の動機付けが弱いということがあると思います。
政治家や国民の方々に頑張って頂くほかないと思います。
投稿: M.T.(管理人). | 2009年1月 1日 (木) 16時47分