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« 諸外国の国選弁護の報酬額ー弁護士人口を比較するなら、国選弁護報酬額も比較すべき。 | トップページ | 「弁護士の年収1600万円」は本当なのか? »

2008年2月15日 (金)

もう中日新聞(東京新聞)は取らない。

 私は今日決意した。

 20年以上取っていた中日新聞(東京では東京新聞)を来週早々お断りすることにした。

 その後、どこの新聞を取るかまだ決めていないが、おそらくどこの新聞も取らないだろう。インターネットの発達した今の世の中、別に新聞を取らなくても困らないし。長年お世話になった販売店には悪いけれど他に選択肢はない。

 理由は次のとおり。

 2月13日の社説は、多くの弁護士の怒りを買っている。

  私が知っている弁護士ブログだけでも、これだけの批判記事がある。

  すごいね、東京新聞もがんばるね。(PINE's page )

  日弁連新会長 改革後退は許されない (弁護士落合洋司の日々是好日)      

  東京新聞の論説委員は、自らの号令によって、どれだけの数の弁護士が、人権活動のために人生を捧げると予想しているのでしょうか。

 安定した暮らしを保障して欲しければ

 「都会で恵まれた生活」どころの話ではない。

    (以上 la_causette 小倉秀夫弁護士)

 余裕があるからするのでは人権活動と呼ぶには値しない(ろーやーずくらぶ)

 余裕があるからするのでは人権活動と呼ぶには値しないのか?(元検弁護士のつぶやき)

マスコミと弁護士人口問題 史上最悪の社説(坂野智憲の弁護士日誌)

  特に多くの弁護士の怒りを買ったのは、次の2文。

 日本弁護士連合会の新会長を決める選挙では、「安定した生活をしたい」という多くの弁護士の本音が噴出したようだ。

 「生存競争が激化し、人権擁護に目が届かなくなる」ーこんな声も聞こえるが、余裕があるからするのでは人権活動と呼ぶには値しない。

 (太字は私が付した。)

 私は、他の文章については(他の新聞も似たり寄ったりであったので)まあいつもの現実無視の理想論をふりかざした弁護士バッシング記事かと読みとばすこともできたが、この2文だけは断じて許すことができなかった。

 この2文によれば、

  弁護士は、安定した生活をしたいと望んではいけない

  弁護士は、生存競争が激化して余裕がなくなっても、人権活動をしなければならない

 ということである。

※ これは「弁護士の報酬は(僧侶の)お布施と同じ」( by 中坊公平氏)以来の驚きであった。

 私の知人の弁護士は、会長宛に「このような無理解な社説がまかり通っていいものなのでしょうか。これでは、今後、弁護士になる人はいなくなると考えます。」という上申書を提出したほどである。

※ 私はこの社説のせいで弁護士になる人が減るというよりも、弁護士のところに嫁に来たいという人が減るのではないかと思った。何しろ「安定した生活が許されない」職業だそうだから。私がこの社説を読んだ親なら「娘は弁護士の嫁にだけはしたくない」と思うだろう。

 どこを探したらこのような暴論がまかりとおる近代国家が見つかるのだろう。

 弁護士増員の際に必ず引き合いに出されるアメリカか。アメリカの弁護士は、競争よりも人権擁護活動を優先しているのか。

 ボランティアにばかり精を出して生活費を得るための本業(きびしい競争にさらされている本業)を二の次にし生活がままならない人に対し、誰でも「ボランティアはほどほどにして、本業に身を入れなさい。」とアドバイスするだろう。弁護士だってそうアドバイスする。

 しかし、弁護士自身はそうすることが許されないわけだ。 

               Buranko

 この社説は、

  法曹の一翼である弁護士会の路線変更は国民待望の司法改革を危うくする。

 とか、

 しかし、四月に正式発足する日弁連の新執行部が増員に急ブレーキをかけるなら、弁護士会の信頼は失墜し、司法改革が頓挫しかねない。それは国民にとって不幸であり、避けなければならない。

 と述べている。

  へぇー、東京新聞(中日新聞)に読者から「弁護士が増員見直しを主張している。これじゃ、私たちの司法改革があぶない。何とかしてくれ。」という投書が殺到でもしたのか。

 そもそも司法改革の目玉とされる裁判員制度を「待望」している国民がそんなに多いのか。むしろ、廃止を望んでいる国民の方が多いだろう。

 大体、私の知る限りでは、弁護士人口問題とかロースクール制度とかに関心のある一般の方(財界やロースクール関係者は除く)は少ない。

 法テラスや過疎地問題だって、実際に法テラスを利用したり利用しようとしたりする方や交通の不便な地域に住んでおられる方は関心があるだろうが、そうではない方(ロースクールと法テラス関係者は除く)がそれほど関心を持っておられるとは思えない。

             Houki             

 私一人が中日新聞の購読をやめたところで(ついでに毎年3、4回出している名刺広告もやめるからね。少なくとも12,3万円程度の売上減少にはなるだろう。)、天下の大新聞社は痛くもかゆくもないだろうが、私のできるせめてもの抗議である。

 なお、これからは、新聞社がその維持にやっきとなっている再販制度(あまりこの問題については一般の方々はご存じないだろう)についても、時期をみて記事を書くつもりである。

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コメント

社説のどこを読んでも
「弁護士は、安定した生活をしたいと望んではいけない」
とは書いてないと思いますが。

単に自分たちの踏み出した一歩に少し責任を持てと言っているだけでは?

ある国民の感想でした。

じぇいさんの意見に賛同です。自分の生活の安定の為なら、例え間違った裁判結果であっても自分の担当した側が勝てばそれで良いという弁護士が増えているのが現実でしょう。私自身そういう弁護士何人かに会い、大変不快な気持ちにさせられました。

「じぇいさんに1票」さんへ

>自分の生活の安定の為なら、例え間違った裁判結果であっても自分の担当した側が勝てばそれで良いという弁護士が増えているのが現実でしょう

「自分の担当した側が勝てば」って、それは依頼者の期待に応えた有能な弁護士ということで、賞賛されるのでは。

 「間違った裁判結果」というのは、相手方だからこそ思うのであって、その弁護士の依頼者は「間違った」とは思ってはいないのでしょう。

 市場原理からすれば、あなたがきらっている弁護士はむしろ賞賛され、競争に勝ち抜くでしょう。
 
 私は弁護士が「依頼者の言うなりになる」ことを肯定しているわけではありませんが、違法でもない限り、そういうことで競争に勝ち抜いていくことを、弁護士を増やして過当競争させ「事前規制」より「事後規制」(裁判で決着をつければよい)とする司法改革は、むしろ推奨しているのではありませんか。

 

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