「光市事件」報道を検証する会のHP紹介
ちょっと前のことになるが、光市母子殺害事件のテレビ報道について、NHKと民放でつくる第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会が、「刑事裁判の弁護人の役割に対する無理解や誤解、一方的な見解の表明が見られる」として、小委員会を作って意見をまとめることを決めたそうである。
光市母子殺害事件報道で調査委=BPO検証委
放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は11日、山口県光市の母子殺害事件の裁判報道で、一方的な弁護団批判や事実誤認、歪曲(わいきょく)があったと市民団体から指摘があった6放送局の18番組について、委員3人で組織する小委員会を設置し、調査に乗り出すことを決めた。
また、香川県坂出市で起きた殺人事件では情報番組での不適切なコメントや取材方法について視聴者から多数の抗議が寄せられており、5月をめどに犯罪や裁判の報道についてシンポジウムを開き、制作現場に注意喚起する方針を決めた。
これについては、 Because It' s Thereさんが
「放送倫理・番組向上機構」(BPO)、光市事件裁判報道の調査を決定
という記事で詳しく紹介されている。
また、風の精ルーラの囲碁と法律雑記さんが、
という記事で触れておられる(若者らしい正義感の感じられる文章だと思う)。
上記2つの記事は、多くの方々にぜひお読み頂きたい。
「「放送倫理・番組向上機構(略称=BPO、放送倫理機構)」の「08.01.07 放送倫理検証委員会、議事概要を更新」の、「第8回 2007年12月14日」議事概要には、
「光市事件」の報道を検証する会から、「光市事件の差し戻し審報道では、あまりにも弁護団へのバッシングがひどく、事実関係についても間違いや歪曲がある。また、制作姿勢としての作為や、いわゆる演出過剰、再現映像でも事実に反した部分もあって非常に誤解を与えている。当該局には、質問書を出したが、いずれも門前払いのような回答で、真剣に考えてくれない。裁判員制度導入を間近に控えて、こういう裁判報道のありかたについて、6局18番組を取り上げて、委員会で検証して欲しい」と申し入れがあった。
という記述があるが、
このBPOに申立てをした「光市事件」報道を検証する会のHPでは、BPOへの申立書や添付資料も読むことができる。
その中には、6局18番組(ニュース番組やワイドショーなど)のキャスターやコメンテーターの発言を一部反訳した資料(PDF)もある。
私は、例の「たかじんのそこまで言って委員会」しか見ていなかったのだが、それ以外にもこんなにたくさんの問題番組があったのかと驚いてしまった。
BPOにはきちんと検証して頂きたい。そして、テレビ局は大いに反省し、報道機関としての良心を取り戻してもらいたいと思う。
最近、こういう本が出版された(右サイドの「本の紹介」にも追加)。
「光市事件報道を考える」現代人文社編集部
「光市母子殺害事件」裁判が投げかけている問題について、論者がさまざまな角度から切り込む。被害者感情に傾いた世論や弁護団バッシングの中、もう一度、冷静な視点に立ち返る方向を提示している。
逆風的な報道の中で刑事弁護がマスコミ対策や一般市民に理解を得ることを、被告人の正当な権利、利益よりも優先しなければならなくなる状況の危険性を指摘している。
(2008年2月1日 週間法律新聞 新刊案内より)
ちょっと時間ができたら読んでみようと思う。
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こんにちは。BPO放送倫理番組向上機構の「意見」が出たようです。
光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見
http://www.bpo.gr.jp/kensyo/kettei/k004.html
投稿: Sezemonie | 2008年4月15日 (火) 22時52分