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2007年10月26日 (金)

日弁連監修・発行のマンガ「裁判員になりました」を読んで・・・唖然!?

 先日の中部弁護士連合会の定期大会に出席したら、どさりと様々な資料を頂いた。

 その中に、

  「裁判員になりました」ー疑惑と真実の間でー 原作:毛利甚八、作画:幡地英明 

 というマンガ冊子があった。

  これはPart1で、好評につき第2弾として「裁判員になりましたPART2-量刑のゆくえ-」を10月20日に発行したそうな。

  1冊100円で購入できる

 さすがにプロのマンガ家によるものだけあって、絵はうまいし(当然か)、主人公をはじめとする裁判員らのキャラも立っている。

 しかし・・・・。

 こんなストーリー、日弁連が監修・発行しちゃっていいの?

 ※ ネタバレになるので、これから買って読もうという方は下記は読まないで下さい。

1 公判前整理手続は、どうなったの?

2 被告人が購入したナイフの銘柄や価格、購入の動機など、料理人の裁判員が尋問しなくたって、警察官が取り調べているでしょ。弁護人だって、被告人質問で質問してないの?

3 被告人が右利きか、左利きかも調書にないの?目撃証人が「右手で刺したのを見た」と証言しているのに・・・。主人公の裁判員が評議の際にはじめて気づいて無罪の評決となったらしいけど、弁護人は気づいてないの?弁論要旨はどうなっているの?

 このマンガで強調されているのは、

  (目撃証人の思い込みを見抜けない)無能な弁護人、(被告人は嘘をつくという)偏見を抱いた裁判官、強引な取り調べをする警察官

  対する裁判員の優秀さ(なぜか裁判員の中には刑事裁判に詳しい裁判官の息子までいる)

 ではないのか。

  こんな弁護人の無能ぶりを描いたマンガを日弁連が発行してしまっていいのか?

 というのが私の素朴な感想でした。

 (どうせ、このマンガ冊子の発行にも日弁連の会費が使われているんだろうな。ブツブツ・・・。)

追記:

 24日(水)に放映されたテレビドラマ「相棒~シーズン6 スタートスペシャル 複眼の法廷」も裁判員制度を扱っていた。

 こちらの感想は後日(こちらも、つっこみどころ満載)。

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刑事弁護」カテゴリの記事

コメント

 日弁連のキャンペーンや、一連の模擬裁判員裁判での決定的な誤りは、裁判員が事実探求者であるかのように描いていることです。裁判員制度に司法の民主化(国民の司法参加)の意味があるとすれば、司法権の行使が適正になされているかどうかをチェックさせるということにあるはずです。裁判員に期待されているのは、「合理的な疑いを差し挟む余地がないほどに、被告人が・公訴事実を行ったと検察官が立証したかどうか」を検証することであり、「違法な捜査・公判活動がなされていないかどうか」を監視することです。裁判官といっしょに犯人捜しをすることではありません。

増田尚先生
 いつも迅速な情報発信ありがとうございます。
>合理的な疑いを差し挟む余地がないほどに、被告人が・公訴事実を行ったと検察官が立証したかどうか

  一応このマンガでも一般論として説明はしています。

>裁判官といっしょに犯人捜しをすることではありません。

このマンガを読んだ方が、裁判員って「謎解き」ができて面白いな、ついでにかわいい女の子と知り合いになれるかも、と思うのじゃないかと心配です。

他の点はともかく、弁護人の無能ぶりが描かれているのは過去の冤罪事件において弁護人の能力不足が誤判の一因であったことに対する日弁連の真摯な反省の反映であると思っています(笑)

>日弁連の真摯な反省の反映であると思っています(笑)

残念ながら、日弁連はそういう自覚を持ってこのマンガ本を発行していないと思われます。

 なお、このマンガのストーリーでは、弁護人だけではなく、目撃証人が「右手で刺したのを見た」と証言しているのに、左利きの犯人を逮捕、起訴した警察官と検察官も無能だったということになります。

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