沈黙は金なり(皆様冷静に・・・)。
先週末から今週初めにかけて、光市母子殺害事件、懲戒請求煽動事件について、急展開があったようだ。
私は、当分の間、この話題に触れるつもりはなかったのだが、このような事態に至って全く触れないのも(今までの経緯からすれば)不誠実かと思い、少しだけ記事を書かせて頂く。
実は「今枝先生お疲れ様でした。」という記事を書きかけていたのだが、公開前に今枝先生が弁護人に復帰されることになった。
どうしてこんな事態になってしまったのか、弁護団と今枝弁護士にしか分からないことだろう。双方、公開できない事情も一杯あるのだろう。
だったら、一切書かない、あるいは時間の経過を待って(例えばこの事件が終了してから)書く、ということも選択肢にあったはずだ。
私のような経験不足のブロガーがいうのもなんだが、ブログは諸刃の剣であることを肝に銘じておいた方がいいと思う。これは今枝弁護士だけでなく橋下弁護士にも言えることだが(私も用心用心・・・)。
今回の騒動は、早速マスコミの格好のネタにされている。
光市事件方針巡り対立 元少年弁護団が分裂、迷走(J-CASTニュース)
[J-CASTニュース:2007年10月15日 20時55分]
山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団が分裂している。「赤ちゃんを床に叩きつけたのは『ママゴト遊び』」といった主張の表現などに、弁護団の一員である今枝仁弁護士が反発し、一人で弁護活動をするというのだ。今枝弁護士は、「弁護団から排除された」としており、弁護団は迷走の色を濃くしている。
このニュース、冒頭でいまだ「赤ちゃんを床に叩きつけたのは『ママゴト遊び』」といった主張の表現」と弁護団の主張を紹介しているのには、正直あきれた。
弁護団が「ママゴト」という言葉を使っているのは、ピンポンダッシュのような遊び(アパートを戸別に回り、玄関ブザーを押して、下水の検査に来たと言ってトイレの水を流させるというもの)についてである(更新意見書参照)。
なお、私は、個人的には、この「ママゴト」という言葉をどういう意味にせよ更新意見書に使ったことは適切ではないと思っている。この「ママゴト」という言葉が誤った報道により一人歩きしてしまった経緯をみても、やはり使わない方がよかっただろう。
しかし、このJ-CASTニュースが、いまだ「赤ちゃんを床に叩きつけたのは『ママゴト遊び』」などと弁護団が主張していると報じているのは、あまりにひどい。
弁護団は、被告人が赤ちゃんを床に叩きつけた行為自体を否定しているのである。どうしてそれを「ママゴト遊び」などと言えようか。
私が、弁護団にしてほしいと思ったのは、こういう誤った報道を訂正するための情報公開であった。もちろん、それは弁護団が守秘義務との関係で公開できる範囲のもので十分だ。
今枝弁護士のブログの目的も最初の頃はそうだったはずだ。それが、橋下弁護士のブログの影響もあったのか、徐々に変わってきてしまったように思う。
ところで、このJ-CASTニュースの中には、なんとモトケンさんのブログ元検事弁護士のつぶやきに寄せられたコメントまで引用されている。
私のブログも今枝弁護士のブログにリンクされているので、私も要注意だが、コメントを寄せられる方もどういう形で引用されるか分からないのでご注意下さい。
追記:10月15日の朝日放送の「ムーブ!」で
アナウンサーが、
「ドラエモンが何とかしてくれると思った。
強姦は死者を復活させるための儀式。」
という被告人の供述について、
弁護団は「こういった証言を裁判でさせることで、責任能力の有無を焦点にしています。」
と説明していた。
しかし、弁護団は被告人の責任能力を争ってはいない。
このアナウンサーの説明では、弁護団が責任能力を争うために被告人に「ドラエモン云々、復活の儀式云々」と言わせ、それを今枝弁護士が反発して弁護団と対立したかのような誤解を与えてしまう。
おまけに、キャスターも今枝弁護士のことを「元裁判官」(実際には「元検察官」)と何度も繰り返していた。
もう、いいかげんにしてほしい。
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しかし、弁護団は被告人の責任能力を争ってはいない。
このアナウンサーの説明では、弁護団が責任能力を争うために被告人に「ドラエモン云々、復活の儀式云々」と言わせ、それを今枝弁護士が反発して弁護団と対立したかのような誤解を与えてしまう。
↑
マジで質問なんですが、責任能力を争うつもりが無いんなら、弁護団からドラえもん云々の話が出てくるのは何故ですか?はっきり言って、それこそ世間一般の、加害者や弁護団への反発を生んだと思うのですが?
投稿: めたるK | 2007年10月17日 (水) 00時48分
めたるKさんへ
めたるKさんは、おそらく弁護団の更新意見書を読んでおられないと思いますので仕方がありませんが、弁護団は更新意見書を記者らに配布しておりますので、テレビ局であれば弁護団の更新意見書を入手しているはずです。
弁護団が責任能力の有無を争っていないことは、更新意見書を読めば直ぐに分かることです。
復活の儀式、ドラエモン等は、弁護団が被告人に言わせたことではなく、被告人が自ら述べたことです(法廷でも供述していました)。
弁護団は、どうして被告人がこういう供述をするのかについて、心理鑑定、精神鑑定に基づき精神発達の未成熟によるもの、としています。
もちろん、これをどう評価するかは、裁判官に委ねられていますが。
被告人が「死姦の理由を復活の儀式云々」「遺体を押し入れに入れた理由をドラエモン云々」と述べて、「これが本当のことです。」と弁護団に言っているのに、弁護団が「それはウソでしょう。そんなことを言ったら遺族の方々が傷つくでしょう。言ってはいけません。」と被告人の供述を封じたり、その供述内容をねじまげることは、弁護団には許されていません。
投稿: M.T. | 2007年10月17日 (水) 07時51分
>M.T.様
お返事ありがとうございます。
>復活の儀式、ドラエモン等は、弁護団が被告人に言わせたことではなく、被告人が自ら述べたことです(法廷でも供述していました)。
ですが、これは少し言い分としては情けないものではないでしょうか?「言わせた」「言わせてない」などは、第3者には全く知る事は出来ませんし。
もしそのようなおかしな供述をし出したら「戦術上そのような事を言うと裁判官や世間の心証を悪くするよ」と止めるものでしょう。弁護団がその努力をしなかったとあれば「弁護団はこうした異常な主張を被告にさせて、責任能力の無さをアピールし、死刑判決から逃そうとしているのだ」と疑うのが当然だと思います。
>被告人の供述を封じたり、その供述内容をねじまげることは、弁護団には許されていません。
この論理が通用する、と思ったしまうような弁護団に対して「何かおかしいぞこいつ等は」と思うのが世間一般の感覚で、だからこそ橋下弁護士の扇動に乗ったんじゃないですか?私は橋下弁護士の行動は素人を危険な目に合わせて何のフォローもない酷いものだと思いますが、だからと言ってこの光市事件の弁護団の弁護士の方々がまともだとは到底思えないのです。
投稿: めたるK | 2007年10月18日 (木) 23時37分