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« 江川紹子さんの意見「刑事弁護を考える~光市母子殺害事件をめぐって」 | トップページ | 今枝弁護士の話ーその9(コメントの質問に対する回答) »

2007年9月12日 (水)

産経新聞福富記者とフリージャーナリストの綿井さんの記事

 橋下弁護士がらみの場外乱闘に気を取られていたら、

 もう光市母子殺害事件の公判期日が迫っている。

 そのせいか、ジャーナリストや司法記者らのブログも更新されている。

 かねてから注目していたお二人のブログも更新されている。

 その一人は、産経新聞記者の福富正大記者のブログ

   にしてんま傍聴日記

 もう一人は、フリージャーナリスト綿井健陽氏のブログ

   チクチクPRESS

 このお二人とも、先回の公判のときの被告人の服装(タンクトップに軍パン)を取り上げているのが興味深い。

  福富記者の7月25日の記事はこちら

     月日はめぐれども

 別に被告がどんな服装をしようが決まりはないんだが、やっぱりタンクトップってのはこういう場でこういう立場でいかがかと思う。ちなみに遺族の本村洋さんは、どんなに暑かろうが法廷ではダークスーツを着ている。もちろん、ジャケットを脱ぐこともない。

 私もこのブログの記事を読んだときに、えーっと思った。弁護人は被告人に最低限「不謹慎と思われるような服装は避けるように」と注意するはずだ。ただでさえ被告人に対する眼が厳しいのに、どうしてこんな服装をさせてしまったのだろう、と思っていた。

  そして、綿井氏の9月12日の記事はこちら

     ランニングシャツ

 この服装に対して、傍聴していた記者たちの間でも様々な「推測」から「憶測・思い込み」までが飛び交った。「戦闘モードに入った」「調子に乗ってきた」などなど。その後のメディア報道でも同じだ。その服装に対して「ここに反省の情のかけらも見ることは私にはできません」とまで結びつけるテレビキャスターまで。毎回裁判の傍聴記を書いている人たちは、「猛暑とあって…」「梅雨明け直後の広島が暑かったこともあるだろうが…」と単純な想像をしていた。

 さて、実際にはこのランニングシャツの向こう側にどんなことがあったのだろう。なぜ彼はそんな服を着ていたのだろうか? いまヤフーにアップされている弁護団会見映像(7月分)の1回目を見てほしい。

 この被告人の服装の話は、今枝弁護士の話の中にも出てくるし、ヤフーの動画の弁護団の記者会見で安田弁護士も詳しく説明している。

 今枝弁護士によれば、

 さらに被告人が「午後からタンクトップのラフな格好で出廷した」と非難されていますが、その実態は、昼休みに護送車に乗った際、他の被告人の汚物が服に付き、着替えが無かったためです。弁護団は即日マスコミに説明しましたが、まったく報道されていません。

ということらしい。

 福富記者はこの記者会見を聞いていなかったのだろうか。もし聞いていたのなら、報道してもよかったのではないか。あるいは、産経新聞の記者も誰かは記者会見に出ていたであろうから、新聞記事やブログの記事に一言書いてくれてもよさそうなものなのに。

 被告人の服装というのは、裁判の内容に影響するような事実ではないが、こういうところからもいろいろな憶測や誤解が生ずるのである。

 綿井氏は、

 被告の元少年の法廷での表情・顔つき・目線・態度・容姿も含め、「一挙手一投足」にメディアが注目するのは気持ち的にはわからないでもない。しかし、ある細部の事柄から原因や胸中までを結びつけたり、ある事実にむやみに飛びついて勝手に推測するのは、ジャーナリズムや報道とは違うと思う。これでは「小さな事実から、間違った憶測」しか導かない。それがメディアを通じて「社会」や「世間」に拡散する。橋下弁護士の指し示す「社会」や「世間」とはそれで成り立つような世界なのだろう。

 と言われている。

  これは今枝弁護士の言う

 報道で言われていることというのは、ふたを開けてみれば意外な理由や状況であったりすることが多いのが、生の事件というものです。
 報道で分かるのは、実像の1パーセントにも至りません。

現在までの報道のほとんどは、枝葉だけを取り上げて根幹は紹介せず、「枝葉が腐っているから木ごと切り倒せ」というようなものと認識しています。

 に相通ずるものがある。

 もっとも、福富記者は大変良心的な記者だと思う。

  9月12日のブログの記事で

  弁護側の更新意見書の要旨と検察側の意見書要旨をしっかり掲載してくれている。あくまでも要旨だが、報道されているものの中ではかなり詳しい方だろう。

  本件に興味を持たれて、もっと情報がほしいと思っておられる方は、ぜひお読み下さい。

 

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刑事弁護」カテゴリの記事

コメント

いつも、さまざまな情報をありがとうございます。
私もかねてからメディアで乱用されている印象言語に疑問を感じていました。「ふてぶてしい」「反省もない」「挑戦的な」などなど、一記者の印象にすぎない言葉は報道ではとりあえず封印すべきだと思います。

はじめまして。地獄修習生と申します。
光市事件といえば、今週のAERAの記事にはいささかがっかりでした。
橋下弁護士の言い分をほとんどなぞっているだけ。
おまけに弁護人が、死刑廃止論を裁判の中で主張しているかのようなヤメ検弁護士のコメントまでつけている。
単に一般的イメージを追認するだけの記事など有害だと思いました。

事実を知りたい場合には媒体を選択する眼を養わなければならないと常々思っています。
それぞれの記事を誰がどういう立場で書いているか、洞察力が必要です。

橋下弁護士のブログは品性下劣な悪文で弁護士としての品格を疑うものでしかありません。何故同調する方々がいるのか理解できません。

社~士さん
 橋下弁護士の人気については、
 右サイドバーのリンク集にある津久井進弁護士の「橋下徹さんにポピュリズムの危うさを感じる」が当を得ていると思います。なかなか手厳しいので、批判はあるでしょうが。
 
 「赤信号みんなで渡れば怖くない」「無理も通せば道理がひっこむ」みたいな・・・
 

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