今枝弁護士の話ーその5
引き続き今枝弁護士の話
被告人が4~5歳の発達レベルで(問題の)手紙を書いたというのかという批判のコメントに対して
それから、弁護団は、「被告人の発達レベルが4、5歳程度」という主張はしていません。
これは、「家裁の記録にはそう書かれている」、という指摘です。弁護団ではなく家裁調査官が言ったことです。弁護団としては、「4、5歳というのはあまりに言い過ぎだが、状況的に見て、事件当時は11~12歳レベルの発達だったのではないか」と主張していいます。
逮捕後の被告人の写真を見ても、中学1~2年生かと思うような幼稚な風貌です。
皆さんは、非行を繰り返した挙げ句の凶悪少年をイメージしておられるでしょう。私もこの事件に入るまではそうでした。
そうすると、これを前提に類推すると、「不謹慎な手紙」を書いたころの発達レベルは、14~15歳前後レベルという推測になるでしょうか。
そうすると、手紙の内容と発達レベルがおおむね合致してくるのではないでしょうか。「4~5歳レベルであの手紙を書いたというのか」という批判が論理的でないことは理解頂けましたでしょうか。
なお、精神鑑定医は、「被告人は、父親の暴力から互いを守り合う母親との母子の精神的分離が未熟だった上、13歳のときに母親が自殺しそれを目撃したショック等で発達が停滞していた」とし,通常の18歳の少年と同等の責任を問うのは厳しい、と鑑定しています。
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コメント
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こういうふうに解説してもらえば分かりやすい、わかりやすすぎる。
マスコミを批判するなら、自分らで情報開示すればいいじゃないか、っていう橋下弁護士の主張には一理あると思うな。
まあ、説明義務とまでは言えないだろうけど、こういう方法ならキチンと説明した方が賢明だったんじゃないの。
21人もいりゃ「マスコミに期待するな。裁判が土俵だ。」「守秘義務がある。」等々、船頭が多くて実現できなかったんだろうけど。
世論が被告人に不利になっているという意味で、説明の努力が足りなかったと言われてもしかたない。
国民に対する説明義務は無いにしても、被告人の利益のために考えてやるべきだったんじゃないのかなあ。
投稿: うーん | 2007年9月 9日 (日) 01時06分
てっきり弁護団が「4~5歳レベル」と主張してるのかと思ったよ。
だって法廷で全部傍聴していた本村さんが言ったら誰でも信じるでしょ。
投稿: てっちゃん | 2007年9月 9日 (日) 04時01分
私も弁護団が「4~5歳レベル」と主張してるのかと思ってました。違ったんですね。
ただ、11~12歳レベルの発達だったというのは納得できませんね。ドラえもんの実在や、死姦が蘇生のための儀式だなんてことを信じている11~12歳なんて、弁護団の主張の中にしか存在しないとに思うんですがね。
現在の被告にしても14~15歳前後レベルではなく、むしろ、幼さを装った成人男性に見えて仕様が無いんですが。
また、何をもって「一般的な18歳の少年」と定義するのかがよく分からないんですよ。精神的な発達なんてある程度差があって当然なわけだし。
投稿: sf | 2007年9月11日 (火) 03時55分
>「被告人は、父親の暴力から互いを守り合う母親との母子の精神的分離が未熟だった上、13歳のときに母親が自殺しそれを目撃したショック等で発達が停滞していた」とし,通常の18歳の少年と同等の責任を問うのは厳しい
同じ境遇の方がみんな犯罪を起こしていますか?
そんなことありませんよね。
むしろ懸命に頑張って生きているのでは?
同じ境遇の方に失礼だと感じるんですが・・・。
で,ここでも「それは精神鑑定医の判断ですから」と逃げますか?
投稿: どうなんだろ? | 2007年9月12日 (水) 10時29分