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2007年7月 1日 (日)

刑事裁判官の苦悩

 袴田事件で1審静岡地裁で死刑判決を書き、今年に入り「無罪の心証を持っていた」と告白した熊本典道元裁判官(69)は、「心にもない判決を書いたことを今でも悔やんでいる」と話しているという。

 「心にもない判決書いた」 袴田事件集会で元裁判官

 (中国新聞7月1日19時11分更新)

 3人の裁判官の中で熊本元裁判官はただ1人反対したが、結局多数決で有罪の死刑判決となったという。

 このことで、熊本元裁判官は40年も苦しんでこられたのだ。

 以前の記事でご紹介した「裁判官の爆笑お言葉集」(長嶺超輝著 幻冬舎新書発行)のコラム(p114)に 

 評議で意見が割れたなんてことは、公には一切明かされません。評議の内容は非公開。裏でどれだけ揉めたとしても、まるで何もなかったような顔をして裁判長は「全員一致」の結論として判決を言い渡さなければならないのです。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 判決内容に反対しているのに、多数決で強引に押し切られた裁判官は、せめてもの抵抗の意味で、判決文に自分のハンコを逆さに押すらしい・・・なんてことが、まことしやかに噂されることもありますが、あくまで都市伝説の類であって、実際にそのようなことはないそうです。                                              (青字は引用)

 との記述があるが、熊本元裁判官もそれこそハンコを逆さに押したい心境だっただろう。

              Mannenhitur_2

 裁判員による裁判も多数決で決まる。

 有罪の死刑判決か、冤罪で無罪か、意見が分かれ、無罪を主張した裁判員が多数決で敗れたとき、その裁判員は熊本元裁判官と同じ苦悩を背負うことになるのである。

 弁護士には裁判員になる資格が与えられていない。

 私はそのことに安堵する。   

 

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刑事弁護」カテゴリの記事

コメント

お、おつかれさまです・・・
弁護士であるというだけで受難な時ですが、先生の誠意ある回答がいつか実を結ぶことを希望します。
自分は、先生とは違う理由が「裁判員法の廃止を求める請願書」を送らせていただきます。
 今回の騒動でも思いましたが、裁判の世界は非日常的なものです。日常的な感覚を持って臨んでも動揺して冷静な判断ができないだろうし、提出されるであろう証拠写真とか司法解剖結果とかを専門知識もなく判断できるのか?それよりそんな類のものは怖くて見られないと思います。
 ブログ内容とは直接関係ないので恐縮ですが、自分の母親もガンの手術時に縫合を失敗して回復が大幅に遅れています。何でも失敗して訴えられるのが嫌なので執刀する医師が不足しているとか(ホントかどうかは不明)。
医療危機打開の署名も検討させていただきますね。
 これに懲りずに思ったことが書けるといいですね。

否定論者さんへ
 ご配慮ありがとうございます。

>これに懲りずに思ったことが書けるといいですね。

 懲りてはいませんが、「感情」と「信念」には勝てません。いくら刑事弁護について理解を求めようと説明しても、火に油を注ぐだけになりそうなので、皆様が冷静になられるまでコメントに対して私の意見を述べるのはやめます。

 仕事が一段落したら、また少しずつ自由に書かせて頂きます。

正解が分からない以上、少数意見ではなく、多数決で判決を決めるしかないでしょう。

ハア・・・。
そうじゃないよ。
全員一致になるまで議論するという方法があるでしょうに。
最近の国会が強行採決ばかりするから、子供たちに悪影響を与えて、民主主義=多数決なんていう、トンデモない短絡思考が幅を利かせる世の中になってるんでしょうかねえ。

コメントさせていただきます、よろしくお願いいたします。

http://www.vsocial.com/video/?d=109046

「袴田事件元裁判官の告白」の動画です。


考え込んでしまいました。裁判員に選任された場合にこのような苦悩に生涯苦しむことになった場合のことを想像してしまいました。

裁判員になったら、それこそネットに無責任に投稿するような態度は許されません。今までそのような無責任ないいたい放題がなかったか反省しています。

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