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ねこちか2

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2007年6月20日 (水)

コメントの感想

 コメントを拝見したり、アクセス分析を見ると、以前の私の刑事弁護についての記事が読まれていないことがよく分かった。

 時間がないので、一つ一つのコメントの質問にお答えすることはできないが、ブログの管理人にはコメント、トラックバックの公開の選択権があることはご存じだと思うので、ご自分のコメントが公開されない、ご自分のコメントの質問に対して回答がない、とお怒りにならないで頂きたい。

 また、コメントを公開しないのは、コメントを掲載しなかった方の意見が気に入らないのではなく、コメント全部に眼を通す時間がないというのが主な理由である。

 少し眼を通したところでは、コメントで比較的多かったのが、光市母子殺人事件の1審、2審では今回の弁護団の主張が全く出てこなかったのに、安田弁護士が弁護人になったとたんに今回の主張が出てきたので、この主張は安田弁護士が創作したものではないのか、こんな非常識で遺族を傷つける主張をする弁護士はけしからん、というご質問及びご感想であった。

 しかし、マスコミで報道されている主張内容をみる限りでは、弁護士が創作できるような内容とはとても思えない。

 弁護人の主張が変わったことについて、以前のご質問と類似しているので、そのときの回答に少し手を加えたものを掲載させて頂く。

Q7 安田弁護士の場合、遅滞戦術を常套手段としており検察とも司法とも関係が良くないようです。
  今回の場合、過去の経歴が裏目に出た面もあるのではないでしょうか。
  そもそも検察が上告をした時点で最悪の事態を想定し足場を固めておくべきだったのではないかと私は思いますし、被告人が犯行当時18歳なりたてで未熟だからという点で争ってやっと 無期懲役を勝ち取ったわけですから上告審で判決が覆る可能性も少なくない。
  勝って兜の緒を締めずにいまさら慌てふためいても「もう遅い」となって当然だと思いますが。

 私は、安田弁護士の弁護活動をよく知らないが、たとえ「遅滞戦術を常套手段としており検察とも司法とも関係が良くないようです」ということがあったとしても、弁護人が誰かによって裁判所の判断が変わってくるようでは裁判所でさえ「公平」「中立」ではないことになる。弁護人が誰かによって被告人が不利益に扱われのであれば、裁判所の方が責められるべきであろう。

 「そもそも検察が上告をした時点で最悪の事態を想定し足場を固めておくべきだったのではないかと私は思いますし、被告人が犯行当時18歳なりたてで未熟だからという点で争ってやっと 無期懲役を勝ち取ったわけですから上告審で判決が覆る可能性も少なくない。
  勝って兜の緒を締めずにいまさら慌てふためいても「もう遅い」となって当然だと思いますが。」

  私は、安田、足立両弁護士の弁護活動も、辞任した前の弁護人の弁護活動も(辞任した理由も)、またこれらの弁護人らと被告人が接見室でどのような会話をかわしたのかも、具体的なことを何も知らないので、断定的な意見を述べる勇気はない。

(※ 「調べてから発言せよ」というようなコメントもあったが、これは弁護人になった弁護士しか分からないことだし、弁護人には守秘義務があるので、調べようがない。)

 ただ、一般論として、次のようなことがあることを述べるにとどめさせて頂くしかない。

 まず、拘束されている被告人の精神状態は揺れやすい。いくら弁護方針の決定権は最終的に被告人にあるとしても、特に人格形成の未熟な若い被告人の場合など、なかなか被告人自身で決断することが難しいこともある。ましてや自身の生命がかかっているような決断となればである。

 そして、弁護人の弁護方針の選択というのは、弁護人によって異なることが多い(たとえば設例A、B、Cのようなケースで意見が分かれることは前記のとおりである)。戦闘的な弁護活動を選択する弁護人もいれば、情状立証の方に重きをおく弁護人もいるのである。

 このような状況下では、被告人は同一人であっても、弁護人が変わることで、弁護方針に変更が生じても不自然ではないのではないだろうか。

 これについては、何度も引用している季刊刑事弁護NO22の特集刑事弁護の論理と倫理の上田國廣弁護士の次のような記述を参考にして頂きたい(「被疑者・被告人と弁護人の関係②」p33~)。

 「さらに、(被疑者・被告人の)自己決定権が必要・十分な条件で行使されたかも問題になるはずである。 

 捜査過程の人権抑圧的な構造、人質司法といわれる不正常な身体拘束の継続、無罪推定の形骸化と99.9%の有罪率。このような現在の刑事訴訟の条件を前提とする限り、弁護人が誠実義務の一環としての十分な説明をすればするだけ、自己防御権を徹底して行使しようとする依頼者は皆無に近くなる。

 弁護人が無罪になる可能性を誇張して説明しない限り、無罪を主張し争う依頼者は限りなく減少する。現に多くの依頼者が『執行猶予が付くのであれば』と言って、たとえ冤罪であっても、事実を認めている。」

 以上が私の考える回答だ。具体的な事件についてはこれ以上何か意見を述べるつもりはないことをご了解下さい。

 ※ 設例A,B,Cというのは、左サイドバーのテーマ記事に載っているので、興味のある方はご覧下さい。

 次に、最高裁の問題の判例をブログの記事に掲載したことについて(正確には他の弁護士のブログの記事を引用したことについて)、一般人に不安を与えるものだ、と大変お怒りになっているコメントが多かった。

 しかし、懲戒請求をする場合の調査・検討義務について一定の指針を示した最高裁の判例を、懲戒請求をしようとされる方が無視するのはいかがなものだろうか。

 この判例が出た当初、私は弁護士による懲戒請求ならともかく、一般人による懲戒請求について、このように「懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものというべきである」という調査義務まで課すのは、最高裁は随分厳しい判断をしたものだ、と感じたものである。

 私は、この最高裁の一般論を別に肯定しているわけではない。しかし、少なくとも、弁護士が懲戒請求を勧めるのなら、既にこういう判例が出ていることを教えるべきだと思う。

 また、最高裁は、懲戒請求をする者に対して、「懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成する」と判示している。

 コメントでは今回の懲戒請求について不法行為に該当するのではないかと不安を抱かれている方が多いようだ。

 この最高裁の判例によれば、懲戒請求が不法行為を構成するかどうかは、その懲戒請求が上記下線部分の基準に該当するか否かによって判断されることになる。これはその懲戒請求の具体的内容や申立人の個別事情によるところが大きいので、このブログで私が個別にお答えできるようなことではない(個別の法律相談に該当する)。

 

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刑事弁護」カテゴリの記事

コメント

>コメントでは今回の懲戒請求について不法行為に該当するのではないかと不安を抱かれている方が多いようだ。
それはあなたが前の記事で「橋下弁護士が安易な懲戒請求をすすめるのは不法行為を煽る物」「最高裁の判例では不法行為として認められることもある」と言う部分についてどの程度なら不法行為に当たるのか判らない者が不安になっているだけだ。
今回の件で不法行為に当たるとは到底思えないし(但し正式な書面によって出されたものに限る)、ただのイタズラで出しているのなら法によって裁きを受けるのは当たり前だろう。
>この事件の情報に疎い。
これだけいろんな方面から報道されている事件も無いと思いますが?
もちろんマスコミの報道が全てにおいて正しいとはいえないし、弁護士と言う立場上簡単に片付けられないと言う懸念はあるでしょうが、一つだけ聞きたいことがあります。
>しかし、マスコミで報道されている主張内容をみる限りでは、弁護士が創作できるような内容とはとても思えない。
もしあの内容の供述を被告本人がしたものとして、あなたはあの内容のまま、法廷に通そうとしますか?
死体損壊行為ともいえる死姦を「死者をよみがえらせる組成行為」といい、
泣き叫ぶ赤ん坊をあやすために首に紐を回しちょうちょ結びをしたら死んでしまったとか、
これらの発言って、どう考えても被害者に対するセカンドレイプですよね。
たとえ被告本人が発言しても弁護士が接見した時点で止めるべき内容じゃないですか。
何も弁護をするなといっているのではない。
「被害者・原告側の人権を完全に無視した人道外れた物言いを弁護材料に使う鬼畜弁護士の活動を止めろ」
といっているだけなんですよ。
オウムの麻原の裁判のときも本人の意思とは裏腹にただ死刑判決を出したくないから本人を只の精神異常者扱いにして発言する気を放棄させてしまった。
安田弁護士は過去にも同じ形で抵抗しているだけに、今回も「またか」と思っている一般人はことのほか多いですよ。
今回の懲戒請求は橋下弁護士の発言がきっかけでも、出される下地は十分にあったことを認識していただきたい。
法廷は弁護士のイデオロギーをぶつける場所ではない。
今回懲戒請求を出されている21人の弁護士は死刑判決廃止を求めているものばかりだと言うことをお忘れなく。

はじめまして。
ブログに寄せられたコメントをどうしようが管理人の自由だ、というお考えなのですね。
私は、違う考えを持っています。
ブログは、雑誌やテレビとは異なり、アクセスの双方向性や手軽さとメディア性を両立させた存在です。それこそが、ブログにしかないと言っても過言ではない、長所です。ブログを閲覧しコメントを寄せる人達も、通常、それを前提にしています。つまり、自分の書いたものがブログに反映されるという前提でコメントを書くものなのです。もちろんコメントに返事をなさる義務はもとよりありません。しかし、コメントが公開されるという期待を握りつぶすのは、やむを得ない必要最小限の場合に限るべきだと思います。
あくまで、私の考えですが。
もちろんこのコメントも、公開されるかどうかは管理人さんの手に委ねられている、儚い(?)ものですが。

要するに弁護士は何言ってもOKだけど一般市民は駄目ってことが言いたいのですね。
五百超の弁護士は自分が何か特権でもあるとでも思ってるんでしょうか。
なんせ日弁連の元会長ですらあんなんだからねぇ・・

コメントに批判が集まれば、管理人さんの勝手な解釈で「最高裁の判例について、私に文句を言って頂いても困ります。」などと言った批判の本筋からは程遠い部分に反応したり言説に誠実さがまったく感じられない。
この程度の言葉遊びや屁理屈言い逃れレベルの行為が弁護士のすることなのでしょうか?
あなたの橋下弁護士に関するエントリへの批判の核の部分は「科学的にも人道的にも許しがたい発言を連発する死刑反対運動に利用するだけの弁護団は懲戒請求して何が問題なのか」と言う一点です。

あなたは批判のコメントがついた当初から言い逃ればかりです。
コメントの批判の核となっている部分に関しては映像を見てないからだとか詳しく事情は知らないからとエクスキューズをして逃げ道だけは必死に確保している。
事情を知らないのであれば何故批判コメントをする人の心情に寄り添った推測ができないのか?
安田弁護士をはじめとする弁護団の奇怪な記者会見の内容に関しては記者会見の内容を知った上でマスコミ攻勢によるやむにやまれぬ事情まで推測して見せたあなたが!です。

このような到底納得できないあなたのような振る舞いを見て、弁護士は所詮司法試験に受かった「だけ」のボンクラだという批判が出るのも無理はありませんよ。

弁護士法 第五十六条 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。

正直、このブログでの貴方の発言の数々は懲戒事由にはバッチリだと思うなぁ。

あぁ、懲戒請求だすと損害賠償請求されるんだっけ?

あちこちの弁護士さんのブログに出張して同じ内容の嫌がらせコメントを書き込んでいる信者がいますね。隙を見せずに意味のないコメントは徹底的に削除した方がよろしいかと思います。

遺体鑑定書には次のように書いてあります。
「加害者の供述内容と死体所見は一致しないので、Mさんの頚部を両手で全体重をかけて首を絞め続けたという状況下での犯行ではなかったことは明白である」
「加害者は右手を逆手にして、口封じのための行動をとったが、抵抗にあい、手がずれて、首を押さえる結果となって死亡させたと考えるのが、最も死体所見に合致した状況である」
検察の主張は間違いだと言っているわけです。
お子さんについても同様、検察の主張と食い違っています。
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/column10-kantei.htm
「被告は反省していないと思う」と本村さんは言ってますが、本村さんは被告と会っていないし、謝罪の手紙も読んでいません。
それなのに、どうして反省していないとわかるのでしょうか。
拘置所から「友人」に出したという手紙が反省していない証拠だと多くの人は考えているようです。
しかし、「友人」とは山口刑務所で知り合っただけだということを知りません。
手紙の内容自体、手紙が証拠採用された第二審の判決では問題にされていないように、それほど問題のあるものではありません。
ところが、前後の文脈を無視して、問題があると思われる部分だけを引用しているのがマスコミです。
たとえば、
「ま、しゃーないですわ今更。被害者さんのことですやろ?知ってま。ありゃーちょうしづいているとボクもね、思うとりました。でも、記事にして、ちーとでも、気分が晴れてくれるんなら好きにしてやりたいし。(紳もカンシャク起こさず見守ってほしい。すまん思うてる。心遣いは今のボクにはかえってつらいやんか)」(注:紳とは手紙の相手。かっこ内は報道の際に省略されている部分)
という手紙です。
おそらく相手が本村さんを非難し、被告をかばう内容の手紙を書き、それに対して自分を思ってくれる相手の気持ちに感謝している内容であって、本村さんを侮辱したものではありません。
そもそもこの手紙は7年以上前に出されたものです。
7年前のことを持ち出して、いつまでも反省していないと決めつけるのはおかしいと思いませんか。

マスコミの報道は警察や検察のたれ流しですし、『年報・2006年 光市裁判』を読もうと思う人はいないだろうから仕方ないのですが、それにしてもこれじゃ納豆ダイエットに狂奔した人を笑えません。

kenjiさんへ

 遺体の鑑定書まで掲載したHPがあるとは知りませんでした。

 上野正彦先生は「法医学教室の午後」の著者として有名な方ですね。私はこの本を読んでとても感動したことがあります。

 しかし、この鑑定書はどこで入手されたものなのでしょうか。

管理人さんはじめまして
懲戒請求に関する記事を読みましたがそのように感じます。
現にコメント欄に脅迫や感情の激白など、記事の内容に到底及びつかない内容がコメントされているあたり、安易な懲戒免職がこのような方たちによりなされることが明白であります。
法治国家に住みながら法を否定するなど、自分たちのやっていることがわからないのでしょう。
これからも頑張ってください

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