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2007年6月21日 (木)

世論と刑事裁判

「utsubosevensan」さんから

お忙しいのは分かるが、
> まずそちらの記事を読んでから
>ご自身の頭で考えてはいない
こういう表現が「感情的」な反発を買うことを理解した方が良いのではないか。それはあなたが「正しい」とする主張をあなた自身が広める上でもマイナスだ>。

そこで質問だが、あなたの「正しさ」を担保するものは何なのか? 法? 倫理? ではそれらを形成したもの、それらの正しさを担保するものは何なのだろうか?

あなたにとって気に食わないだろう意見には、世論の圧倒的支持がある。これらを感情に任せたポピュリズムだ、さらにはファシズムだと切って捨てる前に、ご自分の「正しさ」を担保しているものが究極的に何なのか、熟慮いただきたい。

絶対的正義というものが存在しないことは歴史を見れば明らかだ。だから、正しさを担保する主体は、最終的には世論に他ならない。

 というコメントを頂いた(青字はコメントからの引用)。

 ブログのコメントというのは、掲示板と違って、以前のコメントが非常に見にくくなる(埋もれてしまう)。そこで、私が注目したコメント(あくまでも私の独断で選択させて頂いたもの)については、時々、ブログの記事の方で紹介させて頂こうと思う。

 まず、

> まずそちらの記事を読んでから

 という表現がいけないということだが、何度も繰り返される質問やご批判に対して、その度ごとに管理人の回答や意見を記事にすることは事実上不可能であり、それをしなければならなければとすれば、

 1 ブログ自体を閉鎖するか。

 2 ブログの読者が増えないようにするか(増えれば質問や批判も増える)。

 3 コメント、トラックバックを受け付けなくするか。

  (そうしているブログも多い。マスコミの意見表明を含むネット記事でコメント、トラックバックを受け付けているものは殆どない。)

するしかない。

>ご自身の頭で考えてはいない
こういう表現が「感情的」な反発を買うことを理解した方が良いのではないか。それはあなたが「正しい」とする主張をあなた自身が広める上でもマイナスだ>。

 これについては、

  私の言いたかったのは、マスコミ報道やコメンテーターの言を全て鵜呑みにすべきではないということだった。表現によって誤解を与えてしまったのであれば反省している。

 これはあくまでも一私人である私の感想である。また、弁護士としての評価というわけでもない。ブログというのは、それぞれの個人の意見の表明の場であり、その意見をどう評価するかも読者の自由である。

あなたにとって気に食わないだろう意見には、世論の圧倒的支持がある。これらを感情に任せたポピュリズムだ、さらにはファシズムだと切って捨てる前に、ご自分の「正しさ」を担保しているものが究極的に何なのか、熟慮いただきたい。

絶対的正義というものが存在しないことは歴史を見れば明らかだ。だから、正しさを担保する主体は、最終的には世論に他ならない。

 これについては異論がある。

  「刑事裁判の刑事弁護が世論に従わなければならない」というのであれば、非常に問題である(これについては、もっと書きたいのだが、今は時間がない。また怒られるかもしれないが、左のサイドバーのテーマ記事を読んで頂きたいと言うしかない。)

 更に、正しさを担保する主体は、最終的には世論に他ならない。」ということは、長い歴史の経過の後(おそらく私が死んでから遙か先)ではそうかもしれない。

 しかし、世論が現在の政治の全てを動かしていると言えるのだろうか。

 例えば、裁判員制度は世論によってできたものだろうか。

 例えば、地方の医師不足は世論の結果だろうか。

 私は、裁判員制度を世論がよしというのであれば、仕方がないと思っている。個人的には今は刑事裁判をやっていないので、弁護士の仕事として特に利害はない。

 医師不足についても都会に住んでいるので、現実の問題として特に困っているわけではない。

 読者の方々に「これでいいのか?」と考えて頂きたいだけである。

 「あなたにとって気に食わないだろう意見には、世論の圧倒的支持がある。」

 「あなたにとって気に食わないだろう意見」とは光市母子殺人事件関係の意見についてのことだろうか。しかし、これもネットだけでは分からない。 

 そもそも世論とは何か。よほど厳正な世論調査でもしなければ分からないのではないのだろうか。

 「それはあなたが「正しい」とする主張をあなた自身が広める上でもマイナスだ」「正しさを担保する主体は、最終的には世論に他ならない。」

 と言われると全ての問題について、世論の支持を得ている意見かどうか、を考えて発言しなければならなくなってしまう。

 それではブログ自体が成り立たなくなってしまう。

 以上、少し時間があったのでコメントに対する意見を述べさせて頂いた。反論のある方もみえると思うが、これからまた仕事が忙しくなるので、当分ブログの方は留守にします。

 コメント、トラックバック(広告が多くて困る)には全部目が通せないと思うので、数が多くなると非表示になってしまうかもしれません(ココログに問い合わせたのだが対策がないそうだ)。

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刑事弁護」カテゴリの記事

コメント

>正しさを担保する主体は、最終的には世論に他ならない。

「担保する主体」って日本語として壊れていると思いますが、仮に世論に従うのが正しいというのなら、ユダヤ人差別とかも時代によっては正義だと認める、ということになりそうですね。ナチスのように皆殺しにするかどうかは別として、過去においてユダヤ人の方達を人間以下の扱いにすることには世論の圧倒的賛同がありましたから。その時代にユダヤ人差別に抵抗した人は、善悪二分論でいえば「悪」ということになりそうです。

同じことは奴隷制度などにもいえます。ここでちょいと頭の働く人だったら、「絶対的正義」は無い、などと軽々しく相対化する危険を一方で察知すると思うんですけどね。

『刑事裁判の刑事弁護が世論に従わなければならない』
当然世論に従う必要もないし、媚びる必要もありません。
ただ、弁護士個人の主義主張のために、重大事件の裁判を利用されては困ります。
死刑の可能性が出てきたら法廷戦術を大きく変更、黒魔術まがいのオカルト話を持ち出す。
これは誰がどう考えてもおかしい。
そもそも刑事事件の国選弁護人などは赤字になるからやりたくないというのが、弁護士の本音ではないでしょうか?
(逆の発想で、手抜きして沢山引き受ければ儲かると思っている弁護士もいると聞きますが)
それなのに何故冤罪の疑いもない被告人一人に対して、21人もの弁護士が付くのでしょう?
そういうところに対して怒りや憤りを感じているのです。
安田弁護士が違う言葉を発していれば、ここまで大きな騒ぎにならず、国民をバカにし見下しているあなたもとばっちりを受けずにすんだでしょう。
最後に一つ、富山県氷見市の冤罪事件は、冤罪とわかったら弁護士が親身に世話をしてくれますが、刑事裁判の時の弁護士は何をやっていたのでしょう?
21人の弁護士が付く被告とやる気のない国選弁護士によって無実の人が有罪になって服役する。
氷見市の冤罪事件の責任は、警察には当然あるが、担当の弁護士の責任も重い。
国選弁護はもうからないから、やっつけ仕事。
自分の主義主張をアピールできる(売名行為)事件には21人も弁護士が付く。
弁護士法第一章の第一条にはこう書いてある。
弁護士の使命
第一条  弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2  弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

いざ弁護士になってしまうと 、念仏を唱えていても飯は食えんと、忘れてしまうのでしょうか?

この手のコメントでいつも疑問に思う点があります。

>それなのに何故冤罪の疑いもない被告人一人に対して、21人もの弁護士が付くのでしょう?
まだ裁判は確定していません。なぜ、「冤罪の疑いもない」と断定できるのでしょうか。どのような点から、「冤罪の疑いもない」と判断されたのでしょうか。殺意がないのに殺人罪とされることも冤罪だと思います。

富山の事件では、有罪判決が確定した(被告人は上訴しなかった)。しかし真実は冤罪でした。
一方、光市の事件では、まだ判決は確定しておらず、被告人は殺意の点を争っています。
現時点で、「光市の事件の被告人には殺意があった」と断定することは、富山の事件のような冤罪を再発させませんか。

う~ん。確かにそうかもしれませんが。

でも,日本人には陪審制も参審制も無理ですか。
日本の司法官僚はもっとダメなのでしょうね。(ひょっとしたら,貴職らは,そのほうが良いという見解なのですか?)

そうじゃないとしたら,どうするの?

貴職らの「愚民思想」の先に未来があるのでしょうか。

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