小説「破裂」の感想ーその1
週末の半分は仕事にあてる予定だったのだが、風邪をひいたらしく、頭痛と吐き気がひどく、やむなく自宅で休養することにした。
横になって小説「破裂」を半分ほど読んだ。
この小説はいろいろな意味で本当に面白い。
医療従事者の方々にも医療事故を扱う法曹関係者にもぜひ読んでもらいたい本だ。
主人公は大学病院の青年麻酔科医。ジャーナリストの求めに応じて「痛恨の症例」(いわゆる「苦いカルテ」)を同僚らから聞き取っている。その最中に勤務先の大学病院で、助教授(次期教授候補)が手術ミスを疑われる。それは患者の娘に内部告発の匿名の手紙が届いたことがきっかけだった。
主人公はその手術ミスを調査することになり、死亡した患者の娘に恋愛感情を抱くようにもなって、医療過誤訴訟にも協力する。裁判の行方は・・・。
というようなストーリーである。
この主人公のような医師が本当にいるんか?というのが正直な感想だが、医師や看護師のなにげない会話等は著者が現役の医師であるだけに現実味を帯びている。
この小説の中には弁護士も何人か登場する。
こちらも本当にそんな弁護士いるんか?という場面もあり、ちょっとちょっと違うんじゃない、という部分もあって、それはそれで面白い(後日、時間のあるときにツボをまとめてみようと思っている)。
それも小説だと思えば結構楽しめる。
真面目なところでは、主人公が助教授の医療ミスを追求したために左遷され、麻酔科で送別会をしてもらったときの二次会(ゲイバー)での同僚と(時々ゲイバーのママも加わった)会話(232頁から236頁)が印象的。
著作権に触れるといけないし面倒なので引用はしないけれど、このブログや私が休んでいる間にあちこちのブログで医師の方々がコメントされている内容を彷彿とさせる内容だ。
正義感の強い青年医師を主人公にして、日本の大学病院(あいかわらず「白い巨頭」的に表現されている)や医療体制の問題点を浮き彫りにし、それに立ち向かっていく主人公が挫折し、また立ち上がるというストーリー展開は、舞台は違うものの「司法占領」(鈴木仁志著、講談社発行)にどこか似ている。
この小説のもう一つのテーマは、超高齢化社会に突入した日本の老人医療のあり方(「ピンピンポックリ」という言葉が頻繁に出てくる)。こちらはかなり衝撃的な内容だが、非現実的と言い切れないところが怖い。
今抱えている医療過誤訴訟の準備書面の作成や、証拠保全・調査が一段落したら、もっと感想を書きたいと思う。
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