グレーゾーン金利問題が大変なことに!!
グレーゾーン金利廃止問題が大変なことになっている。
先頃まで「ようやく我が国の政府もおかしなグレーゾーンを廃止してくれるのか。この問題に一生懸命取り組んでこられた弁護士の諸先輩の努力がようやく結実する。いい判決を出してくれた裁判所にも感謝。これで過払金返還請求事件などの弁護士の仕事は減るけれど世の中がよくなるのだから結構なことだ。」と思っていたのに、いつのまにやらとんでもないことになってしまっている。
やっぱりサラ金の政治家に対する圧力というのは相当なものらしい。
今日は、紀子様男子出産のニュースのかげで、後藤田政務次官が責任を取って辞任したというニュースがひっそり流されていた。後藤田氏は特例なきグレーゾーン撤廃を主張してきた。こんな金融庁案なら辞任もしたくなるというものだ。
金融庁案については「ろーやーずくらぶ」さんの記事「金融庁案は業界の圧力に屈した! 後藤田政務官が抗議の辞任」が詳しい。
1 施行から3年後に、出資法の上限金利を29.2%から20%に引き下げ、上限金利を利息制限法の上限(元本に応じて年15~20%)に一本化する。
なんで3年後なんだ?
2 施行後3年間は灰色金利が残るが、利息制限法の上限を超える金利は支払い義務がないことを、融資の契約書に明記するよう法律で義務づける。
そんな契約書をよく読んで金を借りる多重債務者はまずいないだろう。
サラ金から金を借りる人たちは、とにかく目の前の金がほしいのだ。直ぐにも生活費や返済金が必要なのだ。そうでなくても、日本人は契約書(おそらくこの条項も小さな字で印刷されるのだろう)など逐一読んでいない人の方がはるかに多い。
サラ金は、「契約書に利息制限法の上限を超える金利の支払義務がないと明記してあるだろう。それなのに支払ったのだから、任意の支払いだ。返還の義務などない。」と言うに決まっている。
大体、契約書に支払義務がないという記載を義務づけるくらいなら、支払義務のないような利息をサラ金が受け取ることを禁止する方がはやいではないか。
なんで、こんな分かりにくいことをするのか。
政府は、サラ金の高利に苦しむ国民よりも、サラ金業者の利益の方が大切なのか。
3 上限金利引き下げ後も少額・短期に限って高金利(20%台後半の高金利)を認める特例(最長5年間の暫定措置、5年後に見直し)については、個人向けが「元本50万円まで、期間1年以内」と「30万円、半年以内」の両案あり、2~3社からの借り入れを認める。ただし、他に通常金利の借入残高がある客には適用しない。
現在でも、個人の場合、元本50万円まで、短期の借り入れがほとんどだ。期間1年として、その間に返せなかったら(サラ金に手を出すような人は返せないことの方が多い)、また次のサラ金から借り入れをするだろう。2、3社なんてあっという間だ。
これはサラ金を生き残らせるための金融庁の温かい思いやりというものだろう。
「借入残高が1社あたり50万円、他社も含めると100万~150万円を超える客には、給与明細書などの確認を求める。さらに、信用情報機関の情報で借入残高の合計が年収の3分の1を超える場合は、融資を原則禁止する。」なんていうけれど、それを守らずに貸したサラ金はどうしてくれるというのか。「給与明細書の確認」というが、給与がいくらならいくらまで貸せるのか、信用情報機関は債務者の全借入をきちんと把握できているのか(情報機関に登録されていない業者からの借入はどうするのか)。
それにしても、この金融庁案をみると、政府は弁護士業界には大変厳しいのにサラ金業界にはなんてやさしいのだろうと思ってしまった。
サラ金大手は大もうけしており、経営者らは長者番付の常連である。大手銀行もバックについている。
弁護士とはやはり格が違うというものだ。
貸金業規制法改正案への自民党への抗議メールの宛先は下記。
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おひさしぶりです。
以前に、グレーゾーン廃止の件でエントリをたてていただいたことがあるものです。
最低最悪の改定になってしまいました。
この改定によって、グレーゾーンがあることで可能だった過払い請求も不可能になってしまうということなのでしょう。
私はグレーゾーンの廃止には反対でしたが、まさかここまで酷いことになるとは思ってもいませんでした。
投稿: RYZ | 2006年9月 7日 (木) 12時06分