終戦記念日
きょうは終戦記念日。
朝からマスコミが騒々しい。
予想どおり小泉首相が靖国神社に参拝したそうだ。
毎年毎年、不毛な議論の繰り返し。
しかし、小泉首相は、今年は任期終了間近で気楽なせいか特に雄弁だった。
① 「特定の人(A級戦犯)のために参拝に行ったのではない。多くの戦没者に哀悼の念を示すために参拝したのだ。」
② 「総理大臣という以前に人間小泉として参拝したのだ。参拝は思想の自由に基づくものだ。」
③ 「首相が参拝したからといって、アジア諸国が日本と交渉をしないというのはおかしい。」
などとインタビューに答えていた。
しかし、①については、A級戦犯の遺族の方々はそうは思ってはいない様子である。アジア諸国もそうだろう。首相たるもの、自分がどう思っているかではなく、どう見られているかについてもちょっとは神経を使った方がいいと思う。
②については、憲法20条3項の「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」(政教分離の原則)をどう理解されているのだろうか。総理大臣と天皇の靖国神社公式参拝を政教分離に反するとした高裁判決だってあるのである。
靖国神社はどうみたって立派な神道の宗教法人である。それなら、たとえばクリスチャンの戦没者に対する哀悼の念はどこで示すのか。
また、今回の参拝はどう見ても総理としての参拝だから単に一国民の思想の自由でかたずけられる問題ではない。
戦没者に哀悼の念を示すのであれば、宗教色のないところでやって頂きたいものだ。
広島の平和公園の碑にあるような「安らかにお眠り下さい。あやまちは繰り返しませぬから。」という心情なら、他にいくらでも方法はあるはずである。それなら誰も文句は言うまい。
③については、確かに中国政府などが総理の靖国参拝を外交カードに利用しようとしているのには腹立たしいところもある。しかし、実際に戦争で悲惨な体験をした中国、韓国の国民の感情を逆撫ですることも理解できる。
交渉では「自分はこれが正しい」ということばかり言っていてもダメだと思う。時には相手を立てることも必要だ(たとえ、相手の主張が感情的で不合理だと思っても。これはなかなか難しいことだけれど・・・)。
そんなことを考えた終戦記念日でした。
あとはテレビを見ないで静かに戦没者の冥福と日本の平和を祈ろうと思う。
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いつも興味深く拝見させていただいております。
私は、現在現行司法試験(法務省曰く旧司法試験)に破れ、ロースクール入試を控えた法学部生です。
本日の先生の記事、私のそれと近いと感じました。
憧れの職業の方が同じように見ていることに感激しました。
これからも、楽しみにしています。
投稿: tinge. | 2006年8月15日 (火) 19時50分
>戦没者に哀悼の念を示すのであれば、宗教色のないところでやって頂きたいものだ。
広島の平和公園の碑にあるような「安らかにお眠り下さい。あやまちは繰り返しませぬから。」という心情なら、他にいくらでも方法はあるはずである。それなら誰も文句は言うまい。
宗教色を排除してしまえば、死んでしまえばただの有機物、慰霊する意味などないでしょう。
死者は生体としての機能を失い原子と分子に戻っただけ。何が眠るのですか?眠るのは生物のみですが。
星屑から出来た人間が何をしようとそれは星屑が、果ては宇宙が行っていること。宇宙が行っている、全ては物理現象に過ぎないのに過ちも何も無いでしょう。
と、ここまで割り切れますか?
>交渉では「自分はこれが正しい」ということばかり言っていてもダメだと思う。時には相手を立てることも必要だ
これまで散々日本が配慮してきたのに、小泉首相だって配慮してきたのに、結局何をしても文句を言うのですよ、あの国は。
彼らは単に靖国神社を破壊し日本の精神的支柱を砕きたいだけのです。
A級戦犯とされる人々は、単にあの時代、日本の中枢を担ったというだけに過ぎません。
彼らによる作戦が良策か愚策かというのと彼らが罪に問われて良いか否かというのは全く別ですし、そもそも「平和に対する罪」「人道に対する罪」など、戦争に参加した国全てが犯しているわけですから。
投稿: WATERMAN | 2006年8月30日 (水) 00時14分