離婚のはなしーその1
本日も暑かった。
裁判所はお盆前のせいか若干人出も多いようだが、いつもに比べれば駐車場も空いていて助かる。
しかし、木陰になる駐車位置には車がぎっしり。今日は木陰に駐車できなかったのでサウナ風呂よりも暑くなった車中に乗り込むときの不快感は半端ではない。
今週は仕事の合間合間に終了した離婚事件のファイルの整理をしている。この事件は最高裁までフルコースでいったもの。分厚いファイルが4冊(書証ファイルを入れると6冊)にもなっている。依頼者にお返しする書類等を整理しながら、事件のことを思い起こしていた。
本当に裁判になるような離婚は、本人にとっても弁護士にとっても大変だ。しかし、それでも裁判でしか解決できないから、こうなるのである。調停を2度もやり、裁判でも何度も裁判官が和解を勧めたが、相手が応じずダメだった。
結局、和解案以上に有利な判決を頂いたのだが、相手は慰謝料を払ってくれない。差し押さえることができるものは差し押さえたが、それでも全然足りない。
本当にやりきれない気持ちである。
仕事の合間にやっているもう一つに、ホームページの弁護士一口アドバイスに加えようと思っている「離婚のはなし」の作成がある。
人事訴訟法が改正されて離婚裁判も家庭裁判所の管轄になったり、年金分割制度が始まるなど、勉強しなければならないことも多い。Q&Aやハウツウものとはちょっと違うものをまとめてみたいと思っている。
ちょうどその「離婚のはなし」の調停離婚の部分を書いていたら、調停中の依頼者から電話がかかってきた。
私はこの人から調停についての委任を受けていない。関連事件との関係で相談と申立書の作成だけは行ったが、調停期日にはご本人のみが出頭されている。
調停の場合、弁護士をつけるまでもないことも多い。弁護士をつければそれだけ弁護士費用がかかるわけだし、調停の場合は裁判と違って弁護士を代理人にしても本人も出頭しなければならないことが多いので、「仕事を休みたくないから弁護士をつける」というメリットはあまりない。
私はご自身でやれる方については相談のみで「困ったらまた相談に来て下さい。ご自身で対処できなくなってから弁護士をつけることを考えてもらってもいい。」と言っている。調停には調停委員も書記官も裁判官も関与するわけだし、もともと本人だけでも対処できるように制度設計されている手続きのはずである。
しかし、時折そういう相談者から、首をかしげるような対応をされる調停委員の話を聞く。
今日の電話もそうだった。
彼女の話では、第1回調停期日に相手が「仕事を休めないので出頭できない」という書面を提出して出頭しなかったので、調停の席で彼女が相手の職場に携帯電話から電話をしたのだそうだ。その後に調停委員が電話を替わったそうだが・・・。
実は彼女が主張している離婚原因の一つに相手の暴力や虐待行為がある。私は申立書に詳しく事情も書き、関係者の陳述書も家庭裁判所に提出させている。
彼女としては早く相手と決着をつけたい一心だったのだろうが、関連事件の裁判中でもあり、電話とはいえ調停の席で当事者同士に直接会話させる必要性があったのだろうか。次回期日を決める位のことであれば、調停委員や書記官が手紙を送るなり電話なりすれば足りることだ。
更に、この事件には調査官もついているのである。私は申立書で十分な調査をお願いしてある。それなのに、まだ相手が出頭もしていない段階で(調査も全くしていない段階で)、調停の期日外で相手と交渉を持ってもいいとまで言われたそうだ。
本当に、私の書いた申立書や提出しているその他の書面を読んでおられるのだろうか。疑ってしまった。
私はびっくりして家庭裁判所の書記官に抗議の電話をかけた。書記官もびっくりしていた。
夕方になって、担当の調停委員から電話があり、電話は本人が望んでしたこと、相手が出頭しないので「どうしていいか分からない」と本人が述べていたこと等の説明があった。
しかし、それならなおさら、その場で(しかも相手の職場に)電話するなどということを認めるべきではなかったのではないか。
その調停委員は謝って下さったが、納得いかない気持ちが残った。
こんなことなら、調停の場合も最初から受任した方がいいのか・・・と思った出来事だった。
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