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2006年8月 4日 (金)

規制改革・民間開放推進会議の中間答申が出る。

 今、規制改革・民間開放推進会議(議長宮内義彦オリックス会長)というところで、各分野における規制緩和が検討されている。

 ※ ここの発表する答申書や議事録等は上記HPで閲覧することができる(議事録は今は準備中らしいが)。

 この規制改革・民間開放推進会議というのは、総理の諮問機関としての有識者会議として、3年間に限って設置されたものである。そして、この会議には各分野ごとに委員会やワーキンググループが設置されており、法曹(裁判官、検察官、弁護士)の人口問題は昨年は「規制見直し基準ワーキンググループ」というところで検討されていた。

 昨年12月に出された同会議の答申(司法試験合格者を年間3000人に増やすことの早期実施と、これを超える増員規模の設定の検討を盛り込んだもの)の内容は、本年3月に閣議決定されている。

 この答申は、同会議のワーキンググループの一つである「規制見直し基準ワーキンググループ」における

 司法試験合格者数の拡大について、現在の目標(平成22年ころまでに3000人程度)を可能な限り前倒しするとともに、最終的な目標を更に大幅に拡大(例えば、9,000人程度)すべきである

 上記の目標を達成するために、法科大学院(ロースクール)卒業者については、当初構想されていたように、その7~8割の者が新司法試験に合格するように試験制度の設計を行うべきである

という議論を踏まえたものである。

 規制改革・民間開放推進会議の委員というのは、全員大学教授か株式会社の代表取締役等の財界人である。

 こういう方々が、本当に「国民が利用しやすい司法制度の確立の観点」(答申書中の言葉)で議論できるのだろうか。

 一体、どういう選考基準で委員は選ばれたのだろう。

 委員の中には、現役の裁判官、弁護士、検察官はもちろん、その出身の方も一人もおられないようである。委員の方々は現実の司法の現場をご存じなのだろうか。

  このワーキンググループの議事録というのが実におもしろい。

  たとえば、

福井専門委員(※1)「司法試験合格者数を決めるという本日の最重要課題を議論するにあたって、法曹界、特に弁護士会が心配している一番のポイントは、裾野を拡大すれば、要するに偏差値の下位の者を大量に弁護士にしたら国民が迷惑するということで、それが唯一の論拠。それが事実かどうか検証するためには、ぎりぎりで通った人がその後どのような活躍をしているのかというデータでない限り検証できないのではないか。・・・・(そのデータを開示し追跡調査して論証できない限り)下位合格者つまり偏差値が低い人ほど実務家として無能であるという命題は成り立たないということになる。我々はそういう命題には懐疑的であり、証拠もないのにそのようなことを主張するのは不適切なので、ますます大幅合格者増ということを今現在頭から否定する論拠は希薄だと思う。」

※1 福井秀夫専門委員 政策研究大学院大学教授 ロースクールの非常勤講師経験者

 (法務省側・・・過去の順位のデータは破棄されている と答える)

・・・・・・・・・・

福井専門委員「人口抑制論の最大の論拠はそこである。法曹人口を増やすべきでないという方の100%共通した論拠は、要するに成績の悪い人を入れるとひどいことが起こるということ。だったらよその法曹人口が多い国でひどいことが起こってないと辻褄が合わない。そこは科学的認識を持たないといけない。」

・・・・・・・・・・

吉村参事官(※2)「(破棄されていないデータだけでも開示せよという福井専門委員に対して)努力はします。しかし、弁護士の良し悪しをどのような指標で評価するのかが難しい。皆さんのイメージと我々のイメージとは異なるかもしれない。例えば、お金をたくさんもらえる人が本当にいい弁護士かどうか。それだけが基準ではないし、あるいは敗訴率という観点でも、いい勝訴率でない方が必ずしも悪い弁護士とはいえない。社会的弱者等のために勝訴の可能性が低い事件を受任するなど、別の活動の評価がある。相関関係といった場合、どこを見て相関関係があるといえばいいのか。」

※2 吉村典晃参事官 大臣官房司法法制部 参事官

福井専門委員「ひとつの指標で決める必要はない。だが、金を稼いでいるというのは、ひとつの指標。その人の腕がよくなければ、誰も大金を出さない。全てではないが有力な指標。例えば国選弁護士をやることは尊い生き方だが、それだってポイントになるかもしれない。だが、司法試験は弁護士の資格試験としての位置づけが強いのだから、最低限のチェックでよい。特別優秀なエリート足りうるかどうかを判定するのが目的ではない。最低限の資質を備えていれば情報の非対称がなくなることが主眼のそれほど当てにならない市場の失敗是正の代替措置。特別悪い要素がない限り、通せばよい。例えば、依頼者のお金を横領するとか、弁護過誤、弁護士のミスで勝てる裁判に負け、依頼者に損害を与えたとか、このような人でさえ出なければ、逆に資格試験も目的は達している。・・・・・」

・・・・・・・・・・

福井専門委員「法科大学院の方から、ほんとに法務省はひどいよとよく聞く。せっかく作ったのに、どんなに頑張っても合格させてくれないという。このことは文科省の担当官の方も切迫感を持っている。だいぶ法務省と温度差があるのではないか。法務省としてはいい加減な人間を通せないというのはわかるが、文部省にしてみれば作ってしまった法科大学院からこれだけ卒業生が出るのだからやりきれない。

 また、世間では法科大学院を出て司法試験に通らなかった人は、法科大学院に行かなかった人より、もっとひどい扱いを受けると言われている。」

鈴木主査(※3)「2番目の問題だが、私の記憶では初めに7~8割ありきだった。この文章は7~8割が受かるようにしろとも読めるし、基本的にそうなっているが、そういう風な教育をしろとも読める。元々は7~8割が先にあって、それをダイレクトに言えないから充実した教育を行うべきであるという風に言葉を丸めたのではないか。」

※3 鈴木良男主査 規制改革・民間開放推進会議議長代理 株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長 

福井専門委員「その通り、充実した教育というのは立案過程で後から付いた。」

吉村参事官「いろいろな事情があったとは思うが、当然その前提となる法科大学院の設計はどうするのか。例えば、定員を絞ればどうかという議論も当然あった。定員を絞り必ず通るとするのも一つの制度設計かもしれない。ただ、法科大学院は、一定の基準を満たせば自由に作ってよいとの政策決定がなされたので、今は数が非常に多くなっている。定員数も非常に多くなっている。そのときに司法試験がどうあるべきか考えることであり、こちら側がいくつできても7~8割通せというのは、法曹の質と量の確保ということを考えれば、必ずしも妥当ではないのではないか。

・・・・・・・・・・

福井専門委員「法科大学院につぶれてもらって定員を減らすか、合格者数を増やすかどっちかでないと一致しない。ただ、できた法科大学院を何も人為的につぶす必要はない。彼らも学生に勉強させようとしている。番現実的な処理は、社会実態として存在する法科大学院の卒業生数もにらみ、合格定員を決めること。さらに、今後予備試験で加わる人もにらみながら定員を決めるべきではないか。」

吉村参事官「いろいろな声があることは我々も聞いている。法科大学院関係者からもいろいろ聞いている。先生方がおっしゃられることも我々の耳に入ってきている。また、逆に法科大学院が予想以上に増えすぎてしまったという人もいる。いろいろな声がある中で、今ある所が、全て教育を十分完全にしているという前提をとるのは、なかなか難しい。」

福井専門委員「だが、結局下手な弁護士には誰も頼まないのだから。さっき吉村さんが言われたように、弁護士のしかるべき客観情報の開示制度などを片方できっちり作り、それとまさに二人三脚でやっていくということ。仮に、質の低い弁護士が入ったとしても、その人の業績がひどいことが依頼者にわかれば、その人は淘汰されるだけ。第三者の誰も損をしない。情報開示制度の作成にも精力を傾けて頂きたい。」

吉村参事官「努力はしたいが、一方で、弁護士会は完全な自治団体である。我々に監督権があるわけではない。」

福井専門委員「しかし、弁護士法の法案提出権は法務省にある。監督していなくとも、制度の立案官庁も法務省である。失礼ながら弁護士会ごときに立法、制度立案権があるはずはない。国の責任で制度は作るべき。」

吉村参事官「もちろんそうだが、今言った情報開示といった問題は、法務省だけで決められることでもない。今後も我々は弁護士会と引き続き情報交換をしつつ、ご要望については機会を見て伝えたい。」

福井専門委員「もちろん、弁護士会のことを気にされるのはわかる。かつての法曹三者合意の際の慣行に縛られがちなのもわかるが、ここ数年の司法制度改革は、依頼者、消費者本位の改革こそ底流。弁護士会は供給者団体であり、供給者団体の言うことだけを聞いてきたこれまでの司法制度の変遷に決別するために今改革をやっている。消費者のため、国民のためというのが先ず一番。」

鈴木主査「試験の合格者が、みんな法曹で飯が食えるということにポイントがあるわけではない。検事、裁判官にならない方は、弁護士で開業してもらえばいい。ただ、福井さんが言ったように何も知らない人の所には頼みに行かない。その人は、いわゆる職業法曹ではなくて、他の分野にいけばよい。弁護士として飯が食えなくなるという議論があるが、飯というのは食える人は食えるし、食えない人は食えない。幅を広くしておかないといい人材は入ってこない。何度も言ったが、500人しか取ってなかったときに、上から500人優秀な人が来れば良いが、500人しか取らなければ、上の500人は狭い門を嫌ってどこか他に行く。だから、窓口を広くしておくというのは、優秀な人材が入る上でポイント。教育が先か割合が先かということはこちらも考えるが、表現その他は詰めていきましょう。」

              Akazami_2

・・・規制改革・民間開放推進会議の法曹人口問題を検討するワーキンググループでは、こういう議論がなされていたのである。

 この議論に対して、次のような反論をしたい。

1 福井委員は「下位合格者つまり偏差値が低い人ほど実務家として無能であるという命題は成り立たない」と言われる。確かにそのとおりだろう。司法試験の合格順位で弁護士の良し悪しが決まるわけではない。
 
 しかし、以前の私の記事「ロースクール生の悲劇」のように、今、ロースクール生は「どこのロースクールの出身者か、ロースクールの成績はどうだったのか、司法試験の合格順位はどうだったのか」によって就職先が決まってしまうような状況なのである。それどころか、司法試験の成績順位によっては弁護士として法律事務所に就職することすらままならない状況なのである。
 
 この事実をどうみられるのだろうか。

 福井委員や鈴木主査のいう「良い弁護士」とはどのような弁護士をイメージされているのかはよく分からないが(福井委員は「国選弁護士をやることは尊い生き方」というが国選弁護の低額な報酬では弁護士は生きていけない)、吉村参事官の「 弁護士の良し悪しをどのような指標で評価するのかが難しい。皆さんのイメージと我々のイメージとは異なるかもしれない。例えば、お金をたくさんもらえる人が本当にいい弁護士かどうか。それだけが基準ではないし、あるいは敗訴率という観点でも、いい勝訴率でない方が必ずしも悪い弁護士とはいえない。社会的弱者等のために勝訴の可能性が低い事件を受任するなど、別の活動の評価がある。」というのは納得できる。

 しかし、前記の「ロースクール生の悲劇」で書いたように、今のロースクール制度、司法試験制度のもとでは、(吉村参事官がイメージしているらしい)良い弁護士は育たないだろう。

2 福井委員は「その人(弁護士)の腕がよくなければ、誰も大金を出さない。」「結局下手な弁護士には誰も頼まないのだから。」「仮に、質の低い弁護士が入ったとしても、その人の業績がひどいことが依頼者にわかれば、その人は淘汰されるだけ。第三者の誰も損をしない。」という。
 
 確かに企業の場合はそれなりの情報網もあり、「下手な弁護士」「質の低い弁護士」「業績のひどい弁護士」には依頼をしないだろう。
 
 しかし、一般市民はどうか。
 都市部では人間関係の希薄化により「口コミ」にも期待できなくなっている。それに、普通の人が弁護士の世話になるのは一生に一度あるかないか位だろう。この点で医師や病院とは違う。「口コミ」できるほど弁護士についての情報を持っている人は少ないだろう。

 それに、弁護士の広告が自由化され、誇大広告だってあるかもしれない(実際にはやったこともない分野であっても取扱分野として宣伝しているかもしれない)。どうやって良い弁護士と悪い弁護士を見分ければいいのか。
 
 質の悪い弁護士はやがて淘汰されるかもしれないが、それまでには多くの被害者を生み出すことだろう。
 司法試験は「最低限のチェック」「特別悪い要素がない限り」「最低限の資質を備えていれば」「通せばよい」試験(福井委員)になるので、これからは一般市民は、弁護士に裁判を依頼するときは「下手な弁護士」「質の低い弁護士」「業績のひどい弁護士」に頼まないよう自らで注意しなければならない。そして、(市民も企業も)そういう弁護士から不当な裁判を起こされる危険も覚悟しなければならない。

 そして、企業の場合、法遵守や消費者保護等についてうるさく言う顧問弁護士は「お前のかわりはいくらでもいる。」とばかりに首にして、安くて早い(いかし、法遵守精神の乏しい)顧問弁護士を雇うようになるかもしれない。そして、姉歯建築士事件のように、一般市民に多くの被害をもたらすかもしれない。

3 福井委員は、弁護士会が「弁護士のしかるべき客観情報」を開示すべき、そのための法制度を法務省が立案すべき、といわれる。
 
 しかし、今回規制改革・民間開放推進会議が提出した「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」には、このような記述があるのである。

 「資格者団体(弁護士会も含まれる)及び関係省庁は、強制入会制を採る主な理由として、資格者の品位保持、資質の維持・向上、資格者の非行の抑制、低所得者層等に対するサービスの提供、行政からの連絡・示達の利便性等を挙げている。
  しかしながら、これらの理由は、当該資格者団体に入会しなければ資格者としての業務を行うことができないという追加的な規制を試
験合格者に課することを正当化するものとは考えられない。強制入会制度をとらないと会員数が減少して資格者団体が維持できないという財政上の理由も上げられるが、資格者団体の維持は会員にとって魅力のある活動を当該団体が行うことによって図られるべきは当然のことである。
 強制入会制度は、試験合格者に追加的な規制を課すとともに、他の資格者団体との間に業務領域などについて障壁を作り、内部において
は資格者個々人の自由な業務の展開を抑圧する頸木としての役割を果たしており、これらは利用者である国民にとっての資格者の活用を不自由にする大きな原因となっている。したがって、資格者団体への強制入会制度の在り方については、引き続き検討を行っていく必要がある。」

 つまり、弁護士は弁護士会に強制加入する必要などないというのである。とすれば、弁護士会も加入しない個々の弁護士の「品位、資質、非行」についての情報を得ることはできず(従って開示の義務もない)、会員でない弁護士の非行に対する責任も負わないことになる。
 
 強制加入でなくなれば、会費(愛知県弁護士の場合、月4万2,500円)の高い、しかも、無償の委員会活動等の多い弁護士会には加入しない弁護士が増えるだろう。そうなった場合「弁護士のしかるべき客観情報」など誰が把握するのか。 

 これからは弁護士の仕事をビジネスとしてとらえる弁護士が増え、企業に就職する弁護士も増えるだろうから、「(弁護士会の)維持は会員にとって魅力のある活動を当該団体が行うことによって図られるべき」などと言っていたら、弁護士会はたとえばビジネスとしての業務に役立つ情報を提供するだけの職能団体に変質してしまうかもしれない(今も研修などには多くの弁護士が参加するが業務に結びつかない委員会には参加者が少ないので、既にその傾向が強まっている)。

4 福井委員、鈴木主査の発言を読んでいると、「弁護士は競争による淘汰が必要」と言いながら、ロースクールについては「できた法科大学院を何も人為的につぶす必要はない。」と言っている。
 しかし、吉村参事官の言うように「今ある所(ロースクール)が、全て教育を十分完全にしているという前提をとるのは、なかなか難しい。」(この発言を私は「不十分な教育しかしていないロースクールもある」という意味と理解した)というのが本当のところである。
 
 「法務省としてはいい加減な人間を通せない(司法試験は法務省の管轄)というのはわかるが、文部省にしてみれば作ってしまった法科大学院からこれだけ卒業生が出るのだからやりきれない(ロースクールは文部省の管轄)」「初めに7~8割ありきだった。」「充実した教育というのは立案過程で後から付いた。」というのは、彼らの本音だろう。

 これに対する「こちら側(ロースクール)がいくつできても7~8割通せというのは、法曹の質と量の確保ということを考えれば、必ずしも妥当ではないのではないか。」という吉村参事官の発言はもっともである。

 とにかく、福井委員、鈴木主査にとって、「ロースクール生の7~8割の合格」が何よりも先、なのである。
 吉村参事官のいう「法曹の質や量」は二の次なのである。

 福井委員の「一番現実的な処理は、社会実態として存在する法科大学院の卒業生数もにらみ、合格定員を決めること。」という発言は、このことを端的に示している。

5 この議事録を読んでいて思ったのは、どうして「司法試験」が必要なのかということだ。
 福井委員や鈴木主査の言われるような最低限の資格を付与するだけのものなら、何も「ロースクールの卒業」あるいは「ロースクール卒業試験等と同レベルの試験の合格」だけでいいのではないか。どうせ市場原理や競争原理によって質の低い弁護士が淘汰されるのなら、司法試験などいらないのではないか。そして、9000人といわず、ロースクール卒業生には全員法曹資格を与えればいいではないか。そうすれば「法科大学院の方から、ほんとに法務省はひどいよとよく聞く。せっかく作ったのに、どんなに頑張っても合格させてくれないという。」などと言わなくてすむ。

 しかし、両委員もそこまではおっしゃらない。
 何らかの資格試験は必要だというのだ。
 とすれば、「質」においてはどの程度が必要か、新司法試験合格者(ロースクール卒業生の司法試験合格者)の仕事ぶりを検証していく必要があるだろう。
 また、「量」においてはどの程度が適正か、一挙に増員するのではなく少しずつ増員しながら、その結果を検証しつつ、適正な法曹人口を慎重に見極めるべきだろう。

            

             Turiganeninjinc

 来年、またこの規制改革・民間開放推進会議は、法曹人口についての答申書を提出する見込みだそうだ。

 この議事録を読んで、皆様はどうお考えだろうか。 

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コメント

9000人とはいわないまでも、このままいけば、弁護士の数が物凄く増えることは確実です。
私自身、食っていけるかわかりません。
そのうち、そんな資格のために、高い授業料払って大学卒業後に2~3年間も法科大学院に行く価値なんて、なくなるんじゃないでしょうか。

経済界の人間は、たとえ代取クラスでも、自社の利益計画以外については、基本的にマイオピック(近視眼的)な物事しか考えていない人々です(もちろんそうでない少数の人もいますが)。

彼らの考えていることは、売上高の増大と経費の減少の2つだけです(悪くいってるのではなく、むしろ株主価値の増大を目指す経営のプロへの尊敬を込めてです)。前者については自社のoutput市場での供給を減らし市場価格を上げること、後者については自社のinput市場での供給を増やし市場価格を下げることが基本的思考になります。

弁護士費用はこのうち経費の部類(input市場)に属するものと捉えられているので、弁護士数を激増しようとするのは、彼らの本能からして当然の行動といえます。

消費者のためとか市民のためとか、弁護士会ギルドが既得権益を守ることに汲々としているのはけしからんとかいって、弁護士数を激増すべきと言っているのは、上記の本音を隠すためのレトリックにすぎません。弁護士数激増と試験容易化について、具体的な説得力ある理由を示していません。

何よりも疑問なのは、なぜ選挙で選ばれていない者、自己の利益最大化を業とする者が、司法制度の将来設計という、国策上の重大な決定を行っているのでしょうか。越権行為ではないでしょうか。いえ、議会制民主主義の破壊ではないでしょうか。

福井委員、鈴木委員等のような根拠の弱い思いこみによって、現実の司法の大改革が進められていることに、寒気を覚えます。アメリカの弁護士は多いから、アメリカのように弁護士を増やすべきというのが、人様に示せる有一の根拠なのでしょう。

マイオピックな委員達は、近い将来、激増した、職探しに躍起となっている、彼らの言う「質の低い」弁護士達から、破壊的(金額、数とも未曾有の)なPL訴訟、クラスアクション、セクハラ訴訟、環境汚染訴訟、株主代表訴訟等々、様々な巨額な損害賠償訴訟が企業と取締役に対して起こされることに気付くでしょう。

弁護士の数を増やすことが、彼らの目的である経費を減らすのではなく、企業の経費・損失の飛躍的増大と、市民コストを発生させることに愕然とする様子が見えるようです。

弁護士でない身としては、質の低い弁護士がたくさんいる、弁護士の激増した近未来像は大迷惑です。情報の非対称性でいうレモン市場のように、本来弁護士に依頼したい人も、「レモン弁護士」に遭遇する可能性の高さを恐れて、依頼しなくなるでしょう。

また職にあぶれた弁護士の一部が、闇側につかないと、委員達は胸を張って主張できるのでしょうか。

「不良弁護士」は早晩市場から閉め出されると主張していますが、現在の「悪徳弁護士」は、全員市場から閉め出されているでしょうか。委員達の主張のように、弁護士会への入会も自由になるなら、どのようなプロセスを経て不良弁護士が市場から閉め出されるのでしょうか。不良弁護士の発生を容認する委員は、自らどのようにして市場から閉め出されるのかを具体的に明示する責任があるはずです。抽象的に「市民は不良弁護士が誰かを知っているはず」などと主張するのは、かなり悪質な机上の空論です。

例えば、「不良医師」を市場から閉め出すため、不良医師の手術の失敗により死亡した患者の命は、社会的な必要なコストといえるでしょうか?しかも一回限りのコストではなく、毎年コンスタントに「不良医師」が発生するなら、毎年コンスタントに医療事故が発生することが「必要」とされ、医師の責任の検証作業と訴訟を経て、不良医師の市場からの締め出しを行うことになります。その「市場締め出し活動」には莫大な社会コストと家族の苦しみ、そして失わなくても済んだはずの命の代償が求められるでしょう。

いいえ、弁護士や医師等は、製品市場とは違い、不良を発生させてから事後に閉め出すのでは社会的コストが大きすぎるため、最初から不良を発生させない制度設計をすべきなのです。

このように考えると、弁護士の量の増加と試験の容易化は最重要事項ではなく、新司法制度で新たに生まれる弁護士の質と能力の多様化(例:半導体に強い弁護士、医療に強い弁護士)こそが最重要事項と言って間違いありません。そして、質の確保と能力の多様化を前提条件として、数の増加の方法を練るのが司法制度改革の有一の道と信じます。

 ロースクールを卒業しても、新司法試験の合格率は3割で、しかも既存の事務所はロー卒は採用しない、という認知が高まったことで、医師等の理系出身者やいわゆる一線のビジネスマンのロー進学が3期以降すっかり減少したのも事実ですしねえ。

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