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2006年7月14日 (金)

竹中平蔵大臣とホウレンソウ

 竹中平蔵大臣を初めてみたのは、テレビで大学教授として発言していたとき。最初は、温厚そう、頭が良さそう、人柄も良さそう、という印象しかなかった。しかし、その語る経済理論(当時はもっぱら不良債権処理問題が殆どだった)は、経済学をまともに勉強したことがない私には、それで日本の経済が本当に良くなるのか、さっぱり分からなかった。

 竹中氏は大臣になってから、頻繁にバラエティー番組にも登場するようになった。私も、竹中大臣が喫茶店のような場所で一般人と一対一で語り合うという番組に出ているところを見た。一般人代表として女子高生やサラリーマンに続いて、八百屋のおじいさんが登場してきた。

 この八百屋のおじいさんは、両手にホウレンソウと小松菜を一束づつ持ち、竹中大臣に「この野菜ご存じですか。区別は分かりますか。」と尋ねた。竹中大臣は答えられない。ホウレンソウと小松菜が区別できないのだ。続いて、このおじいさんは、「この野菜をうちはいくらで売っていると思いますか。」と尋ねた。これに対して、竹中大臣は、数百円(確か500円か600円位)の高い値段をつけていた。

 ホウレンソウも小松菜も、私の行っているスーパーでは一束100円位で買える。

 竹中大臣は、八百屋やスーパーで買い物をしたことがないのか、あるいは高級スーパーにしか行ったことがないのか。

 このとき、私は、竹中大臣という人は、庶民の金銭感覚の持ち合わせがないか、生活オンチの人だなあ、と感じたことを鮮明に覚えている。

 八百屋のおじいさんは竹中大臣の回答を聞いてもにこにこしていたが、たぶん私と同じ気持ちだったと思う。

 竹中大臣は、小泉政権の中にあって、幾多の批判を受けながらも、新資本主義、市場原理主義の経済政策を推進してきた人だ。不良債権処理には一定の成果をおさめたかもしれないが、日本は借金大国になった。そして、彼の経済政策が「格差社会」「勝ち組負け組」という言葉に象徴される強勝劣敗(悪くいえば弱肉強食)の社会を後押ししたことも事実だろう。

 昨年の衆議院選挙では、竹中大臣は自ら選挙カーに乗って勝ち組の旗手ホリエモンを応援していた。

 頭が良くて強い人にとっては今の日本は生きやすい国だろう。しかし、普通の人や弱い人にはどうなのか。

 一束100円でホウレンソウを売る人、そのホウレンソウを種から育てている人、そしてホウレンソウを100円で売ってくれるスーパーや八百屋を探して買う人のことを、竹中大臣が考えてくれているとは私にはどうしても思えないのだが。

                     Houren2           

※ 新資本主義、規制緩和が何をもたらしたかについての、興味深い記事です。ぜひお読み下さい。

 小泉「改革」の呪文が解けてきた「個人が負いきれないリスクは社会が引き受ける 」

 新自由主義こえる「第三の道」 「結果の平等」ではなく「機会の平等」をめざす

    (北海道大学大学院教授 山口二郎氏)

 「小さな政府」は人々を幸福にしない 普通の人が普通に生きられる改革が必要だ

    ( 慶応大学経済学部教授 金子勝氏)

 

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