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2006年5月23日 (火)

グレーゾーン廃止は多重債務者救済にならないのか?

 グレーゾーン廃止に向けて、今、弁護士会は、大変がんばっていると思う。

 愛知県弁護士会も意見表明している。ぜひお読み頂きたい。 

 しかし、金利引き下げについての小泉首相の認識は情けない限りである(私の前の記事小泉首相発言にびっくり!ー総理はサラ金被害の実態をご存じなのか? 参照)。

 この件については、RYZさんから、金利を下げると「サラ金が利益を確保する為に貸付総額を増やし、結果逆に多重債務者が増えてしまうのではないか」という意見を頂いた。

 グレーゾーンを廃止すれば中小のサラ金の多くが倒産するだろう。あるいは、合併等により生き残りを図るだろう。そして、生き残ったサラ金は貸付総額を増やすために、借入枠に余裕のある顧客に対し更なる借り入れを勧めるだろう。

 しかし、私は今までに多数の多重債務者の相談や事件を扱ってきているが、多重債務者で「借りたくて借りている」という人はまずいない。金利が高いために返しても返しても返済金が不足し、1社からでは足りず2社、3社と借入先が増えていくというケースが殆どである。

 金利が低くなれば返済金も少なくなるので、返済金を工面するためにまた借りなければならないという悪循環を断ち切れる可能性が高くなると思う。

 また、同じくRYZさんから「変えるべきは、安易に借金が出来てしまうという現状ではないでしょうか?ですから、サラ金対策としては、無人契約機を禁止したりCMの規制を強化し、過激な取立ては絶対に許さない等が必要だと考えます。もちろんヤミ金は論外です。」

 これは、もちろんのことである。

 今でもCM規制は多少はされているようであるが、若年層がTVを見る時間帯のCM規制はまだまだである。人気タレントを使ってのCMには、本当に腹が立つ。そして、若年層に対してもっとサラ金の怖さを教える消費者教育が必要だと思う。

 RYZさんの「低所得者層対策は必要ですが、それに関しては別のアプローチでもってあたるべきだと思います。」という意見については、それはそれで正しいだろう。

 サラ金(たとえ利息制限法所定の金利内であっても)から生活費の不足分を借りないで生活ができればそれにこしたことはない。国が別のアプローチで低所得者対策をしてくれるのであれば、低所得者層であってもサラ金などに手は出さないだろう。

 しかし、現実には、低所得者層の多くがサラ金を利用しないと生活できないのである(上記愛知県弁護士会の意見書参照)。

 一生懸命働いても(あるいは働こうとしても)、サラ金で借りた金で生活費の不足を補わなければならないような状況は異常である。

 一番いいのは、そのような低所得者層を生み出さないことだ。

 それができないなら、国は、サラ金が低所得者層を食い物にすることがないように、サラ金の高利の貸し付けを規制するべきである。

                  Tetubou

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コメント

またまた私のコメントに対してエントリを立てていただいて恐縮です。

一つ言えることは、サラ金で金を借りなければ生活出来ないのであれば、なおさら借金等するべきではないのです。

サラ金は「低所得者の生活を保護する為に存在している訳ではない」ということを考えなくてはならないのではないでしょうか。

「RYZ」さんへ

ーサラ金で金を借りなければ生活出来ないのであれば、なおさら借金等するべきではないのです。ー

 これは、全くもってそのとおりです。
 しかし、貯金がゼロの状態で、リストラされた、病気になった、どうしても必要な出費が生じた、などの理由で借金をする人が多いのです。
 もともと、そういう場合に備えた貯金をしておくべきなのですが、低収入なために、それができない人が多いのです。

ーサラ金は「低所得者の生活を保護する為に存在している訳ではない」ということを考えなくてはならないのではないでしょうか。ー

 これもそのとおりです。
 しかし、現実には、サラ金は低所得者の生活保護について(一時的な)代替機能を果たしているのです。
 もちろん、本来、低所得者対策は国の政治によるべきだと思いますが。

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