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2006年5月30日 (火)

勤務医の忙しい理由ー3時間待ち3分診療の原因<患者側の要素>

中野氏が掲げる「3時間待ち3分診療」の原因は、

「・社会的要素

 ・文部科学省・厚生労働省の要素

 ・病院・医師・看護婦(現在は看護師)の要素

 ・患者の要素 」

 に分けられる(「誤診列島」集英社文庫 114,115頁)。

 今日は、このうち、「患者の要素」から紹介する。

中野氏は、

「1 低診療費または無料であることから、薬剤乱用が多い

2 ビタミン剤、睡眠剤、精神安定剤、抗生物質、点滴などの薬依存の患者数の増加

3 コンプライアンス(※)の欠如。医師不信による病院のかけもち

4 医師の診察結果の無視。薬を欲しがりすぎる

5 自己健康管理の欠如。医学知識の欠如。既往症や家族歴、薬歴などの無知。

6 病気の予防に対する心がまえの欠如。喫煙者が多い、暴飲暴食をする、運動不足 」

※ 医師による服薬指示に関して、それをよく守ること(服薬遵守)

を掲げる(同書114頁)。

 私も一患者として、非常に耳の痛いご指摘である。私の場合、特に2のビタミン剤などを欲しがる、3の服薬遵守、6の暴飲暴食、運動不足、が痛い。

 こういうことが、お医者さんたちを忙しくさせているわけだ。

 開業医や病院経営者にとっては患者が多いことは喜ばしいことなのだろうが、勤務医の方々には大変な負担となる。

 中野氏は、「難病をはじめ、特別な手術や検査を必要とする患者さんだけを治療する」特殊機能病院に、「風邪をひいた、あるいは単に頭痛がする、この頃食欲がない、腰が痛いといった人たちまでがやってくる。」「そのうえ、一度診察してもらえば、診察券をもらえますから、患者さんたちは何の病気でもやって来る。特にお年寄りが多くなれば、当然、病院に行く回数も増えますから、待合室は次第にサロン化してきます。」(同書113頁)

 「ニッポンのお年寄りの患者さんの診察料は、比較的低額ですみます。薬も少しお金を出せばもらえますから、病気の待合室を、社交クラブのようにして集まっている人がいることも、事実ではないでしょうか。」「・・・・そうした患者さんたちは、結果としては、本当に悪い病気で訪れている患者さんを3時間も待たせることになっていることを、自覚すべきだと思います。」(同書119頁) と述べられる。

 これは、患者には大変耳の痛い話である。

 私が行く病院でも、待合室には高齢者の方々がたくさんみえて仲良さそうに談笑されている。それはそれでほほえましい光景なのだが、その反面重症な患者さんを泣かせているかもしれないのである。

 アメリカではホームドクター(開業医)制度がしっかりしていて、地方の開業医に対する研修制度も充実しており、開業医は大病院の臨床医に負けない知識や能力を持っているそうである。このため、開業医は非常に尊敬され信頼されており、患者はまず開業医のところに行くので、日本のように大病院が混雑することはないそうである(同書102頁~、151頁~参照)。

 確かにアメリカの診察料や薬代は高い。「アメリカ人は金銭感覚も優れていますから、これだけ払うのだから、その分だけのことはしてもらう権利があるということもあって、患者さんから医師への質問もよく飛び出すわけです。そこで、インフォームド・コンセントがしやすい状況になっているのです。」(同書118頁)ということだ。

 (これは、アメリカ人と日本人の国民性の違いとしてよく理解できる。アメリカ人の法律相談などではまさにこういう感じだから。)

 診察料が安くて気軽に病院に行って3時間待ち3分診療を受ける方がいいのか、診察料は高いけれどもじっくり問診やインフォームド・コンセントを受けられる方がいいのか。

 患者の立場としても、考えてみる必要があるだろう。

※ befu さんのコメントに

ー 確かにそういう面があるでしょうね...ただ、別の角度からこの事象をみると「それだけ患者さんを診ないと開業医の先生は食いつないでいけない」ような制度でもあるかも知れませんね...ー

 とあるが、開業医の先生方がそうなるのは分かる(私も個人経営者なので)。

 しかし、勤務医の先生方は、大病院に来る必要のないごく軽症の患者さんに近所の開業医へ行くように勧めることはできないのだろうか。それとも、いくら勧めても患者はやってくるのだろうか。

 難しい治療の必要がなく、経過観察程度のことですむのなら、患者も近くの開業医でじっくり話を聞いてもらった方が(時には世間話などもして)いいように思うのだが。

 やはり、病院経営の問題は、勤務医の先生方の肩にものしかかっているのだろうか。

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医療過誤」カテゴリの記事

コメント

こんばんは

  「いなか小児科医」のbefuです。

医療者、患者さん、そして法曹界の方々、それぞれの間に大きな溝が横たわっていますね。それぞれの世界での『常識』は、相手の世界での『非常識』です。こういったブログで、お互いの情報を伝え合うのは一部耳が痛い事はあるでしょうが、必要な事と思っています。

さて、この記事の中で...
<こういうことが、お医者さんたちを忙しくさせているわけだ。
<開業医や病院経営者にとっては患者が多いことは喜ばしいことなのだろうが、勤務医の方々には大変な負担となる。

確かにそういう面があるでしょうね...ただ、別の角度からこの事象をみると「それだけ患者さんを診ないと開業医の先生は食いつないでいけない」ような制度でもあるかも知れませんね...

あと、私はこの本を読んだ事がありませんが、「ERの状況」については言及されていたでしょうか?早いうちに購入して読んでみたいと思います。

ERの状況についての問題などは書かれておりませんが、
「いい医療を行いたいと考える臨床医」
の視点で書かれていて、非常に読む価値のある本だと思います。

アメリカとの比較で書いてある部分も多く、賛成のしかねる部分も少々ありますが、是非読んでみて下さい。

>診察料が安くて気軽に病院に行って3時間待ち3分診療を受ける方がいいのか、診察料は高いけれどもじっくり問診やインフォームド・コンセントを受けられる方がいいのか。

この選択が「診察料は安いが病院がないのがいいのか、近くにあり、受診すればじっくり診療は受けられるがお金がないから受診する資格がないのがいいのか」にならないうちにどうにかなるといいですね。

こんにちは

この記事に関して2度目のコメントで少し読みにくくさせたかもしれませんが...お許しください。

<やはり、病院経営の問題は、勤務医の先生方の肩にものしかかっているのだろうか。

これは、重くのしかかっています。いまは、地域の公的病院が潰れる時代です。公的病院は自治体の補助金を受けて、何とかやりくりしてきました。しかし、自治体はその補助金をカットしてきています。(そういうものには金を出さない時代です。)また、最近の診療報酬改定では、かなりの打撃があり...更に、『収入アップ』の掛け声を聞きそうです。

公的病院の効率的な運用も考える必要がありますが、現状はのんびりと仕事ができるような状況ではないと思います。(あるいは、のんびりしてたら病院が潰れるような状況に陥ると思われます。)

「befu」さんへ
 公的病院でさえも、そんな状況なのですか。
 あまりひどい場合は、勤務医の方には、過労死する前に、労働事件専門の弁護士に相談に行って頂きたいものです。
 
 本当に、司法の現場でも、医療の現場でも、政治家は国民のことを本当に考えているのかと疑いたくなります。

うちは中規模ですが、軽症で高度な医療を希望していないくせに病院に来ている患者には、若干心許ないですが開業医を紹介しています。しかしほとんどが行きたがらないですね。
ところで寺本先生は、病院の票欠というのをご存知ですか?診療所にはありませんが、病院の場合医師一人あたりで何人の患者まで診ていいか決まっていて、それをオーバーして多く診ると、診療点数が減額されるという制度です。一昔前に話題になった名義貸しの原因はここにあります。忙しいは、来る患者は断れないは、減額になるはというのが、地方の病院の現状です。ちなみにその一人の医師が診れる外来数というのに、再診料と処方箋料を掛けた総和は、医師一人分の人件費にも届きません。厚生省の決めた診療報酬はそれほど低い。開業医にしてもじっくり話を聞くヒマなんてないと思います。

先生のご推薦の本は読んでいないのですが、もし厚生省、病院の問題として既知の内容でしたらすみません。

アメリカの話が出ているようですのでひとこと。
私は自分自身医者でもありますが、いまは研究をしているものです。アメリカには10年以上住んでいて、アメリカでは医療行為はしてませんが、日米の両方の臨床事情を一応わかっているつもりです。
誤解がいろいろとあるようにも思うのですが

1)アメリカでも3時間待ちなどは普通にあります。私の経験では予約して医者にかかっても1時間くらいは待たされることも多いし、予約の無い場合は救急に行くことになるのですが、そうすると当たり前のように何時間も待たされます。3時間どころではないことが殆どです。アメリカでは3時間待って3分診療というのは無い、という考えは間違いです。

2)アメリカの「大病院」「大学病院」と日本の大病院、大学病院とは似て非なるものです。アメリカの大きな医療機関はいわば開業医の共同利用施設のような感じになっていて、風邪でいきなり大学病院自体の外来にいく、というようなことは(上述の救急を除けば)そもそもできないでしょう。そして比較的安い保険でもかかれる大きな病院の救急外来はいつもかなりの数の人が待たされています。
アメリカで大病院が混雑しないのは日本と全くシステムが異なるからで、医者や患者のあり方などとは全然関係ない話です。

「一研究者」さんへ
 「誤診列島」は、筆者がアメリカで現役の医師のときの状況を書かれたものですから、今は状況が違っているのかもしれません。
 今のアメリカでは、ホームドクター制度というのはどうなっているのでしょうか。
 また、平均的アメリカ人は、風邪を引いたときには、どんな病院にまず行くのでしょうか。
 もしご存じでしたら、お教え下さい。

風邪をひいて医者に行きたくなったらどうするか、とのお尋ねについて:
一般的な保険制度上、かかりつけ医というのがありますので、そこに電話で連絡してもよいのですが、そうすると殆ど間違いなく、診察の予約が取れるのは2-3週間先、などということになって役に立たないのです。
それで、そういう場合には一般に、大きい病院のEmergencyにいって、長い時間待つわけです。ちなみに、こういう風にEmergencyにかかる場合には必ず事前に(もしくはかかったあと直ちに)保険会社とかかりつけ医に直ちに連絡する必要があるし、Emergencyにかかった場合の支払いは通常よりかなり高くつきます。

現在のアメリカでは保険が無い人が多くて、必要があっても医療機関に行けないケースが多いことが、まず問題でしょう。
現在の日本の医療制度の誇るべき特徴は、1)国民皆保険,2)高度医療機関を含め全ての医療機関への自由なアクセス、だと私は思います。最近はこの両方が危なくなってきているようですが、これらが保証されなくなるような「改革」はあってはならないと思っています。

 私もアメリカにいたことがあります。ご質問の件に関して少しわかるのでお答えしてよろしいでしょうか。

 日本の皆保険制度と違いアメリカは無保険者がかなりの数います。(関係ないですがあまりにひどい医療制度のでマサチューセッツ州で州民全員になんらかの保険を給付するモデル事業の法案がこの春可決されました)。

 無保険者がもし病院にかかると莫大な金額が罹ります。当然糖尿病や喘息などの慢性疾患は通院ができず、救急外来に(これは唯一お金がなくても病院の持ち出しで安定化するまで医療を受けられる。ちなみに一般的な診療において応召義務は存在しない)外来代わりに受診して指導も受けず、その場しのぎで薬だけもらいます。そのため救急外来(ER)は本来の機能以外の仕事が増えます。その結果トリアージで軽症と判断された場合は時には7時間も待たされることもあります。また慢性疾患のコントロールは非常に悪く、末期的な状況でやっと医療機関を受診することが多いです。

 保険のある人はだいたいかかりつけ医をもっていると思うので相談します。ただかかりつけ医も保険の種類によって好きな人を選べなかったりします。いい保険の人は経験豊かな指導医の外来に、安い・無保険の人は研修医の外来にかかります。この医療保険料は莫大で働いていればそこがカバーしてくれることも多いですが、カバーされないと自分で払うのは非常な負担です。ちなみに会社のCEOなどはいくらかかっても自己負担なしの保険をもっていたりしますので、貧乏人ほど自己負担が多いというシステムです。

 ちなみに、咳鼻水くらいの風邪くらいではあんまり病院にかからないように思います。小児もごく小さい赤ちゃん(3ヶ月くらいまでかな?)を除いてはちょっとくらいの咳・鼻水では電話で相談して自宅療養を勧められたりします。

 つまり、日本に比べてアクセスは非常に悪いです。アメリカにいた頃は極力病院に罹らないようにしていました。

 アメリカに住んでみると日本の医療がどんなに恵まれているかよくわかります。TVなどでよく素晴らしいととりあげられる医療を受けられる人はほんのわずかだと思います。平均的に貧富の格差なく受けられる医療、アクセスがよく軽症のうちに受診する医療、今までの日本の医療は医療従事者の献身的な努力で、コスト、アクセス、(平均的な医療)の質の3要素を奇跡的に満たしていたように思います。医療の質も最高度先端医療は別として、個人的にはアメリカの医療の質がいいとはちっとも思いません。いいのは医師の待遇(日本のように奴隷のように働かなくても生活できるし、安全のためにそれを期待されていない)、研修システム、そして一部の富裕層の受ける高度先進医療だと思いました。金の切れ目は命の切れ目の世界です。管理人さんももしご旅行の際には病院にかかってみてください。びっくりされると思います。

「医療って」さんへ
 「誤診列島」の119頁に「メディケイド」と「メディケア」という保険のことが書いてあるのですが、これは今ではなくなっているのでしょうか。

 開業医の研修システム自体は残っているのでしょうか。

 ともあれ、私はアメリカの医療制度について研究をするつもりではありません。
 ただ、中野氏が書かれているような制度が本当にあるなら、うらやましいことだと思います。

 メディケイド、メディケアはあります。でもこれは極貧層と65歳以上の高齢者を対象とするので、下層中間所得層が大量にもれるのです。
 各専門医が数年後とに免許を更新しなくてはいけないというのはあります。これに受からなくなったらリタイアしなくてはいけませんね。
 アメリカは研修システムは優れている部分もたくさんあると思いますが、医師の資質としては日本とすごく変わるかといえば、そんなことはないと思います。日本の医師のほうが患者さんに親身になっているように思います。
 

やはりUSAの医学部で勤めていたことがあります。
USAでは 何か少しの問題でも 医者にかかるのは 大変です。ものすごく高額の医療費がかかります。
検査も点滴も あまり行われませんが、行うと大変高額です。友人が入院したとき、州立大学病院でも通常の病室の一泊で何十万円もかかっていました。

まずは看護師さんの診断と処方で終わることが普通だと思います。

癌の患者さんも多くの場合、医者にかかるのは かなり間隔が空いています。通常の副作用の処置くらいだと看護師さんの処置どまり、入院もよほどのときで、たいていは病院の近くのモーテルにずっと宿泊し、毎日看護師さんの診察と処置を受けに行くという感じでした。

同僚の医者である友人が USAのある有名大学病院に入院したとき、説明はかなりいい加減でびっくりしたそうです。
専門医の質も日本と同様、ピンキリです。

やや遅ればせながら、管理人さんが紹介しておられる中野 次郎著: 誤診列島を最近入手して読んでみたのですが、私は内容にはかなり疑問を持ちました。著者は1925年生まれということで私の親の年代より上で、第一線でご活躍だったのは相当前のことだと思います。30-40年前の状況がこのとおりであった可能性は否定しませんが、私の知る現状とのあまりの違いがあり、やはりこれは管理人さんにも指摘したいと思った次第です。私の読んだ文庫本が出たのは2002年ということで、こういう本が比較的最近世に出たこと自体が驚くべきことではないかといわざるを得ません。
例えば医者の教育レベルがアメリカの方が高い、というようなことが書かれていますが、本当にそうでしょうか。昔から「アメリカの大学は入りやすく、卒業はたいへん。日本の大学は入りにくいが卒業までは楽。」みたいなことが言われましたが、実際はそうでもないとおもいます。アメリカの平均的な高校レベルの「学力」は多分日本よりは低いというのが一般的な印象で、高校までは自宅学習など必要なかった、という人も多いくらいです。大学での勉強は高校に比べればたいへんと思う人は多いのかもしれませんが、めちゃくちゃたいへんというわけでもありません。また、アメリカの高等教育機関への入学は日本のような一つの入試で決まるというシステムではなく、いろんなことが評価の対象、加点の対象になり、医学部への入学もボランティアや研究助手としての経歴なども評価されたりします。これらの結果として、あまりちゃんと勉強してない人が医学部に入学する、というのは稀ならず起こります。
そういう人も医学部ではあるレベルに達するようにちゃんと勉強しないと医者にはなれないのですが、私の経験した範囲では(因みに私は日米両方の大学医学部で学生指導の経験があります)、MD・PhDコースという、給費奨学生として日本で言う医学部卒と医学博士とを6年くらいかかって同時にとるコースの学生(アメリカの医学生としては最も優秀なグループ)でも例えば物理、化学の基本的な素養に欠ける学生が少なくないという印象でした。彼らは概して専門とすることはよく知っていても、幅広い知識には欠けるという傾向があるように私は思います。これは日本のように高校レベルで受験勉強としていろんなことを無理やりにでも学ぶというプロセスが無くて科学の幅広い知識の無いところに医学生物学の知識だけを詰め込むからではないかと私は思っておりました。
勿論、こうしたことは私の経験した範囲内でのことに過ぎない、といわれればそうなのですが、それは「誤診列島」の著者に対しても言えることで、「日本の医者は、、、」「アメリカの医者は、、、」といった一般化・ステレオタイプ化した意見は、現実の描写というよりは、著者の思い込みではないかと私には感じられます。その意味でも「誤診列島」のような本がいつまでも出版されて、日本の医療を嘆く人々に受け入れられたりするのは残念なことだとおもいます。

「一研究者」さんへ
 他の方も指摘されておられましたが、アメリカの医療の現場や医療教育の全てが素晴らしいわけではなく、そのことは、中野氏も認めておられると思います。
 また、確かに中野氏の現役時代と今ではかなり現場も違っているでしょうね。 
 しかし、少なくとも中野氏の体験したアメリカの医療現場や教育現場(「誤診列島」p145~アメリカ病院物語 参照)には、今の日本が見習うべきことが多いと感じます。

間の抜けた時期にコメントをさせていただきます。
管理人さんのお返事を読むと、なんとなく管理人さんのお考えがわかるようにも思います。いまのアメリカがどうあれ、この本に書かれているようなアメリカの医療現場や教育現場には、今の日本が見習うべきことが多い、とのことですが、「医療に関して、一つの理想もしくは目標とすべき医療現場や教育現場の姿は存在した時期や地域があり、日本の現状はそこからは遠くにある」、というのが管理人様のご認識だと感じられますが、そこのところは、多くの医師の方と管理人様の認識の大きな違いだろうとおもいます。

私は、自分の前回のコメントに書いたように、「日本の医者は、、、」「アメリカの医者は、、、」といった意見は、現実の描写というよりは、著者の思い込みではないかと私には感じています。現在の日本がまねるべき理想の姿がどこかにある(あるいは、どこかにあった)、という考えは適切ではないとおもいます。また、日本の現在の医療現場や教育現場のあり方が、他国に比べて遅れをとっている、という考えも正しくないと思います。ですが、何度書いても管理人様のそういう現状認識には動かしがたいものがあり、それ以外の意見を受け入れようとされておられないのではないか、と感じたりする方も多いのだろうと思います。
3時間待って3分診療、といいますが、混雑していることで有名な築地の国立がんセンターでは朝から夕方まで待たされることも稀ならずあります。それでも外来では多くの患者さんがそれぞれ自分のがん治療に対するセカンドやサードオピニオンを求めて突然来院され、医師らは遅くまでかかってそれに対応しています(最近はそれでもあまりに混雑がひどいので紹介制をとるようになりましたが)。このようなことが行なわれているのは、日本のシステムが高度医療機関も含めてどこの病院にでも、保険医療として低い負担で自由に受診できるからこそで、こんなことはアメリカでは全く不可能です。
それでも長い待ち時間は良いことではありませんが、それは日本がどこかの制度に比べて劣っているからそうなってしまっているのではなくて、長い待ち時間は日本が誇るべき制度の一つの弊害であると私は思いますし、管理人様ともその視点を共有できればと思うのですが、、、。

「一研究者」さんへ

ー「医療に関して、一つの理想もしくは目標とすべき医療現場や教育現場の姿は存在した時期や地域があり、日本の現状はそこからは遠くにある」、というのが管理人様のご認識だと感じられますが、そこのところは、多くの医師の方と管理人様の認識の大きな違いだろうとおもいます。ー

 他国に比べてどうこうということは、私は研究者でないので分からないのですが、確かに理想(というか願望)はあります。そして、今の日本の現状がそこから遠い、と思っていることも確かです。
 そして、このブログを始めて、医師の方々のコメントを読み、ますます「今の日本の医療の現状」に恐ろしさを感じるようになりました。

 3時間待ち3分間診療については、そういう考え方もあるのかもしれません。
 しかし、やっぱり忙しい人間にとっては耐えられません。なんとかして欲しいと思っています。
 

ー忙しい人間にとっては耐えられません。なんとかして欲しいと思っています。ー

一応、国も考えていて、予約料をとって予約制にするということを許可しています。(6%の病院が設けているようです)これをそれなりの金額に設定すればなんとかなるでしょうね。一部の私立のブランド病院はかなり高額らしいですよ。

結局かかり易さと混雑は表裏一体です。元来コストがかかる医療機関を、混雑しないほど作ることはできません。混雑緩和には料金を上げるしかないでしょう。
診察料について考える時、十分な時間をかけて余裕を持って診療できるように諸外国並の価格になることを望む自分がいる反面、医療費が高くなって貧乏な人の治療ができなくなることを心配している自分がいます。人間って矛盾してますよね。

こんばんは。
いつも、興味深く拝見しております。
公立副院長様と同じ意見ですが、混雑緩和の策としては、悲しいことに診察料を上げることしか方法はないと思います。
私の病院でも非常に軽症で受診をする人が多いです。
1割負担の老人だと70円の支払いで診察終了の場合もあります。2科受診の場合でかつ処方がないと再診料としての診察料は0円です(大病院の場合)。
最新の医療情報を提供し、しかも開業医よりも診察料が安いので、患者さんの大病院志向は当面変化ないと思います。
患者さんが開業医のところよりも大病院のほうが喫茶店があったり、くつろげるスペースがあって楽しいと言ってました。
(少し嬉しい気持ちにもなるのですが)
待ち時間を減らすには病院の医師・看護師・事務職の絶対的な数を増やすしかないと思いますが、今どき病院経営が厳しい時代に職員の数を減らすことはあっても、増やす病院はそんなにないと思います。

「公立副院長」「卒後12年勤務医」さんへ

ー一応、国も考えていて、予約料をとって予約制にするということを許可しています。(6%の病院が設けているようです)ー

 これは、はじめて聞きました。しかし、6%の病院だけなのですね。
 仕事を持っている人間は、半日(場合によっては1日)仕事になる病院へはなかなか行けません。手遅れになってしまうことだってあり得ます。
 少々高い予約料を払ってでも予約を取りたいと思う患者さんは多いのではないでしょうか。

ー混雑緩和の策としては、悲しいことに診察料を上げることしか方法はないと思います。ー

 患者さんが喜んで開業医のところへ行くようになればこんなことにならないのですが、日本では開業医の診療レベルを上げるということはできないのでしょうか。

 皆様のご意見を拝見していると、つくづく日本の医療の行き詰まりを感じますね。これでは、患者も安心して治療を受けられません。
 もっと勤務医の方々が余裕をもって働けるよう職場環境を改善することはできないのでしょうか(相当ストレスを溜めておられる方が多いようです)。

 ちなみに、私も慢性疾患で2ケ月に1度病院(大病院)のお世話になっています。ちょっと特殊な検査が必要なので総合病院でないと治療が無理なのです。

 紹介で行ったところ初診で半日待たされ、忙しいときだったので、担当医に「私は忙しいので、こんなに待っている時間はありません。近くの開業医を紹介してもらえませんか。」と頼みました。自覚症状もないし、開業医でいいのではないか、と思ったのですが、担当医は「次回からは診察の都合はつけられるから」と言って下さり、午後の空いている時間帯で予約が取れるようにして頂いています。内科だからできることかもしれません。私のような患者も何人かおりますが、待ち時間は大体30分程度ですんでおり、大変感謝しています。
 ただ、もう少し説明してほしいと思うことはままありますが、他の患者を待たせてはいけないと思い我慢し、自分で検査データーを見て勉強しています。

ー診察料について考える時、十分な時間をかけて余裕を持って診療できるように諸外国並の価格になることを望む自分がいる反面、医療費が高くなって貧乏な人の治療ができなくなることを心配している自分がいます。人間って矛盾してますよね。ー

 病院の領収書を見ると、検査料は高いのに診察料は本当に安いですね。私も、安くはない国民健康保険料を支払っており、その上に診察料が高くなるのは嫌ですが、今の診察料では病院経営が困難というのはよく分かります。
 払える人には払ってもらい(老人だって金持ちの人はいます)、払えない人には福祉の手当てをするというような柔軟な対応はできないものでしょうか。

ー6%の病院だけー

「予約料」「医療」で検索してみればすぐ出てきますが、これを取る為の条件がいろいろあります。金持ち優遇という批判をかわすためか、予約料高騰を避けるためか、かなり非現実的な要件がついています。(おそらく実施している病院は、実施上なんらかの誤魔化しをしているはずです。例えば予約でなくても受診できることをあえて説明しなかったりとか)また公立病院では、やはり公立ということで金銭で患者に差をつけることはやりにくいと思います。

ー開業医のレベルー

以前どなたかが書いていたとんでもない老医は別として、多くの開業医自身のレベルは低いものではありません。多くは大きな病院でそれなりの地位にいた人間です。病院と開業医の差は、施設の設備の差と、医師が多くいるため独り善がりになる危険が少なくなる点だけです。(この辺りは鑑定の問題と一緒ですね)先生の主治医が開業医を紹介しないのは、レベルの問題ではなくて専門性の問題だと思います。(その主治医が数ヵ月後に開業という話になれば、是非自分のところへとなるはずです)

ー検査料は高いー

あくまで比較の問題で言っておられるのだとは思いますが、一応知識として。国際比較でですが、これも実はすごく安いです。自前で採血すれば試薬代に毛が生えたほどの保険点数で、比較的検査の多い大きな病院でも検査機器や検査技師の人件費で赤字になります。各種の画像検査機器もしかり。まあこちらは数さえこなせば利益になりますが。
国際的に比較して安くないのは、薬の価格だけです。(わかっていると思いますが、原価と保険点数がほぼイコールなので、医療機関はどれだけ薬を出しても利益にはなりません)

ー払える人にはー

医療の高度化はすなわち、コスト増です。人を救える分、普通の収入の人の場合だと、そのほとんどを医療にまわさざるをえないくらいが本来の価格でしょう。医療従事者の人数を異常に切り詰めた結果、現在の日本の医療が(現実的には圧倒的に世界一だと思います。一般人はそう思っていませんが)あります。コストのかからなかった時代なら、金持ちからはふんだくって、貧乏人からは感謝の気持ちだけもらう赤ひげ(純粋な善意の医師などではないようです)のようなこともできたでしょうが、今の金のかかる医療だと、小金持ち程度の老人だと身上つぶしてしまうでしょう。

「公立副院長」さんへ

 いつも丁寧なご回答ありがとうございます。非常に貴重な情報だと思いますので、いつかまとめて記事にさせて頂きたいと思っています。

 予約料も現実的でない、
 開業医についても「施設の設備の差と、医師が多くいるため独り善がりになる危険が少なくなる点」を除けば医療レベルではそれほど差はない、しかし患者には大病院志向がある、
 医療のコストはもともと高いもので、今の日本の医療は「医療従事者の人数を異常に切り詰めた」ことにより患者の負担を抑えている、

 どちらを向いても改善策がありませんね。
 
 やはり1人の医療従事者が欧米の5人分も働かなければならない状況は「異常」です。それではミスが出ない方が不思議というものです。

 もっと安全な医療、患者に十分な説明が可能な余裕ある医療、は望めないものでしょうか。

 まずは、患者ができることとして、軽症の場合は大病院の外来に行かないこと、信頼できる開業医を見つけること、位でしょうか。

 大病院としても、外来の交通整理を工夫する(重症、軽症、救急の振り分けなど)、外来患者の待ち時間を利用して検査をする(眼科など)、位でしょうか。

 しかし、やはり抜本的には、おっしゃるとおり、診療費を上げて、人件費がかかっても医療従事者の数を増やすことしかないように思います。
 

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