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2006年4月15日 (土)

医療のソフトとハード

 今週は、癌の見落としを争点とする裁判の書面の作成や証拠として提出する文献などの整理に追われていた。

 そういうときは、私の机の上はメチャクチャである。そういう細かい仕事をしている最中にも電話がかかってくると、別の記録を出して対応しなければならない。机の上は、記録と書類の山になる。電話で思考もストップする。

 私は、だいぶ前から医療過誤事件の大事な書面を作成しなければならないときは、半日なり1日なり自宅にこもることにしている。その方が能率がいいのだ。もちろん、他の仕事はその前後にきちんと段取りをつけて事務員に指示を出すようにし、携帯電話で連絡が取れるようにしている。弁護士は、事務所に座っていればよい仕事ができるというものではないと思う。

 今週その仕事もようやく一段落がついたので、来週からは机の上を整理するつもり。机の上に限らず、事務所内には(新年度がもう始まっているというのに)整理しなければならない記録が貯まっている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この仕事で癌の見落としについていろいろな文献を読んでいる中に、ある大学病院の内科医師(当時)の興味深い報告があった。

 肝臓の癌は、B型、C型などの肝炎や肝硬変の患者さんから発症することが圧倒的に多い。それで、これらの患者さんには定期的な腹部超音波検査が必要となる。

 腹部超音波検査というのは、人間ドックなどで受けた方も多数おられると思うが、冷たいゼリー状の液体をお腹に塗られて検査されるあの検査のことだ。お医者さんは、画面を見ながらお腹の上でプローブという超音波を発生させる装置を動かす。ときおりその手が止まって医師が画面をのぞき込むと、私などはよく不安におそわれる。

 超音波検査は、副作用もなくCTやMRI検査に比べると費用も安くすみ患者の負担も少ないので、比較的よく利用される検査である。

 ある大きな病院(A病院としよう)は肝臓疾患の患者を多く抱えていた。A病院は超音波検査装置を筆者の大学病院の3倍の台数保有し、超音波検査の件数も5倍以上だった。しかし、筆者の大学病院よりも肝臓癌を小さいうちに発見できた確率がはるかに低かった。このA病院の医師らが、筆者の医師のいる大学病院に研修にやって来た。

 筆者の医師からみると、A病院でなぜ小さい肝臓癌が発見されないのかは明らかだったという。

 A病院では、肝臓疾患の患者に対する超音波検査を人間ドック的な検査としてしか実施していなかったのである。つまり、平均的な異常の発見を怠らない程度の検査レベルでしかなく、肝臓疾患の患者に対する肝臓癌の発見という専門的な目的意識を持った検査をしていなかったのである。

 筆者の医師はA病院にいくつかのアドバイスをしたところ、A病院でも小さい肝臓癌が次々と発見されるようになったという。

 そのアドバイスにはかなり専門的なものも含まれているが、医学知識のない私たちであっても当然だろうと理解できるものがある。簡単にまとめると、

1 A病院では人間ドックの超音波検査も肝臓疾患の患者に対する超音波検査も、一般外来で多くの医師、検査技師にランダムに割り振られていた。これを慢性肝炎、肝硬変の患者の肝臓癌の発見に熱心な一人の検査技師または医師に超音波検査を集中させた。

2 超音波検査の際には、小さい肝臓癌を発見するという目的意識を持つようにした。

3 外来に来る慢性肝炎、肝硬変の患者に、定期的な超音波検査が肝臓癌を見つけるのにいかに大切かをプリントなどにして説明した。

4 超音波検査の画面を大きめのものにし、分割画面でモニターせず、一画面をたっぷり使うようにした。また、モニター画面の明るさを調整した。

というものであった。

 その他にも超音波検査装置のうちの1台を肝臓癌発見専用機種とする、プローブを一定の型のものとする等のハード面でのアドバイスもし、このハード面と前記のソフト面の両面の改善によってA病院の小肝癌発見率は飛躍的に向上したという。

 これは、10年以上前の医学雑誌(日本内科学会雑誌 第84巻 第12号 平成7年12月10日 著者 真島康雄医師)に掲載されたものである。

 しかし、現在でも、超音波検査というのは、検査者の熟練度や注意力などに左右されるといわれている。画像検査の中でも、極めてソフト面が重要視される検査といえよう。

 いかに医療技術が進歩し、いかに医療機器が精巧なものになっても、人間が行う以上、技術や経験、そして集中力や注意力などという極めて人間的な要素が結果を左右するのである。

 人間が人間である以上、医療ミスはなくならないと思う。どうすればミスを減らせるかは、とても難しい問題だ。しかし、前記のA病院のように、ちょっとした工夫や努力により、回避可能なものも多いと思う。

                                                                               

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医療過誤」カテゴリの記事

コメント

 医療って本来不確実なものだと思います。それは医療側の人間的要素(技術・経験・集中力・注意力)の問題だけではなく患者さんの生体としての不確実さもあると思います。
 医療が糾弾される一因として、患者さんが医療事故があれば全て医師が悪いと考え、ミスがなくても不可抗力があるということを忘れているからだと思います。

 私は理系の人間なので信じられなかったのですが、ある弁護士さんへの質問で「医療ミスがなくても患者さんが亡くなった場合はどうなのですか?」というものに対してある弁護士さんは「ミスがなければ絶対死ぬことがない。よくよく探せば絶対に医師にミスがあるに違いない」との返答をされていました。筆者さんもこう考えるのですか?

 最近の裁判を見ても医療側からすれば不当な判決が増えています。現行の司法制度が医療を裁くのは無理だと感じます。


 福島の件でも福島県の検事が複数の専門家が否定しているのにも関わらず「癒着胎盤は予見できたはずだ、予見すべきだ」とご神託のようにおっしゃっていました。

 司法はそんなにも完璧なものですか?司法は科学的な事実を凌駕するほど権威のあるものなのですか?

 最近司法関係者に対して不信感がつのっています。

 またこの例を取り上げられるのなら、医療費削減で、人手不足(一人一人に充分な時間がさけない現状)で現場が追い詰められていることも取り上げて欲しいと思います。

「医療って」の投稿コメントを拝見しました。
 
ーある弁護士が「ミスがなければ絶対死ぬことがない。よくよく探せば絶対に医師にミスがあるに違いない」との返答をされていました。筆者さんもこう考えるのですか?ー
 
 というご質問ですが、私はそのように考えていません。医療事故相談を担当していますが、ご相談の中には確かに結果は病気によるものであり回避が不可能だったにもかかわらず、患者さんやご家族が医療ミスと思い込んでいるものもあります。そういう事案はたいていが医師に対する「不信」に基づいています。医師のちょっとした言葉の不足や態度が不信を招いてしまっていることが多いのです。そういう場合、私たちは医師の処置は適切だったことを説明して患者さんやご家族をなだめることをしなければなりません。

 私は医療事故相談を受けて患者さんらの話だけで直ぐに医療ミスと決めつけているわけではありません。必ず調査しています。しかし、その調査をするのに中立の立場で客観的に意見をおっしゃって下さる専門医のご意見をうかがいたいと思っても、そういうことに協力して下さる医師が少ないのが現状です。特に産婦人科と麻酔科の協力医が不足しています。
 このため、本来専門医の立場からみれば紛争にならなくてもよい事件が紛争になっているのかもしれません。

ーまたこの例を取り上げられるのなら、医療費削減で、人手不足(一人一人に充分な時間がさけない現状)で現場が追い詰められていることも取り上げて欲しいと思います。ー

 医療の現場の物的人的設備不足も医療ミスの発生する原因であることはよく存じ上げています。
 しかし、私の取り上げたA病院の例は、物的人的設備では恵まれていたのではないでしょうか。筆者の医師の指摘した改善点はそれほど難しいものではなかったと思います。

 また、医療費削減、人手不足を原因の一つとして医療ミスが発生した場合であっても、患者さんやご家族は「仕方ない」と諦められるものではないでしょう。

 迅速なご解答ありがとうございました。
 筆者さんのような考えの弁護士さんがいらしゃって少し安心しました。医療裁判ではないですが最近死刑を回避するためにわざと公判を欠席した弁護士の話を聞き、「勝訴になれば、弁護費用がとれれば真実なんてどうでもいいし、社会にどんな影響を与えても関係ない」と思っている方も多いのかと思っていました。法科大学院の件もありますし、今後医療訴訟弁護士はどんどん増加するのでしょう。アメリカのように救急車のあとを弁護士が追いかけていくようになったりするのでしょうか?

> また、医療費削減、人手不足を原因の一つとして医療ミスが発生した場合であっても、患者さんやご家族は「仕方ない」と諦められるものではないでしょう。

 これはよくわかっています。例に挙げられた件は恵まれた件で、自助努力によって解決できることだと思います。でも福島の件でもこのようなご意見がありましたが、もう医師個人やや医療機関レベルで解決できるような状態ではないことも多いのです。限界です。もっとも悲惨な産婦人科や小児科、」救急がどんな状態になっているかはご存知でしょう。

 弁護士さんのご意見の影響は大きいと思います。この記事だけ読まれた方は医療側の努力が足らないのが悪いと思われると思います。だから根底にこのような問題があると掘り下げていただいたほうがより真実に近いと思います。

ー医療裁判ではないですが最近死刑を回避するためにわざと公判を欠席した弁護士の話を聞き、「勝訴になれば、弁護費用がとれれば真実なんてどうでもいいし、社会にどんな影響を与えても関係ない」と思っている方も多いのかと思っていました。ー
 これは違うと思います。私の前の記事「刑事弁護人」と「橋下弁護士×紀藤弁護士」をご覧下さい。マスコミ報道が全てではありません。

ー法科大学院の件もありますし、今後医療訴訟弁護士はどんどん増加するのでしょう。アメリカのように救急車のあとを弁護士が追いかけていくようになったりするのでしょうか?ー
 これはあり得ることだと思います。弁護士の需要を検証しないまま不必要な大幅増員をして弁護士を粗製濫造することによって、近い将来医療訴訟に限らず不必要な訴訟が増えるでしょう。これは私のブログでも少しずつ書いていくつもりです。

ーでも福島の件でもこのようなご意見がありましたが、もう医師個人やや医療機関レベルで解決できるような状態ではないことも多いのです。限界です。もっとも悲惨な産婦人科や小児科、」救急がどんな状態になっているかはご存知でしょう。ー
 福島の件については、私は詳細を知りません。こちらもマスコミ報道だけでは医療ミスだったのかどうかは分からないと思います。それこそカルテ等の記録を詳細に分析しないと判断できないことです。ただ、ざっと記事を読ませて頂いた限りでは確かにこの件については私も疑問を感じます。しかし、起訴するかどうかは最終的には検事の判断です。おそらくこの医師には既に弁護人がついているのではないでしょうか。この弁護人も「弁護士」です。

 産婦人科や小児科の現状については、臨床の現場から医療従事者の方々が強く訴えていくべき問題だと思います。私も相談を受けていて、休日、夜間の事故が多いことに驚かされます。
 患者側弁護士としては、たまたまそのような医療現場で治療を受けることになり、不幸にも医療過誤にあわれた患者やご家族の救済に努力するのが精一杯の状況です。この現実は一般の方々にできるだけ(守秘義務に抵触しない限りで)訴えていくつもりです。

 加えて弁護士業界も方向を誤った司法改革のために、大変なことになっています。こちらの方も世間に訴えていかなければなりません(私がブログを始めたきっかけでもあります)。
 産婦人科、小児科の救急の現場が悲惨な状況であることは、相談や事件を通してよく知っています。ただ、その改善を今や力を失いつつある弁護士に期待するのは無理というものでしょう。
 先生のブログやホームページでぜひ訴えて頂きたいと思います。
 

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