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2006年2月 1日 (水)

読めないカルテ

 医療過誤事件の患者側代理人をするようになって10年以上経った。しかし、この間、病院のカルテはあまり変わっていないように思う。確かに電子カルテ化なども言われるようになっている。しかし、それはほんの一部で、いまだ多くの医師が手書きでカルテを書いているのではないか。

 話は変わるが、10年位前にはカルテと同じくらい読みにくいものに警察官の作成する供述調書というものがあった。これも当時は手書きで、癖のある文字で書かれた長い調書を読むのは本当に疲れた。しかし、供述調書は今ではほぼ100%ワープロ横書きとなり、読みやすくなった。

 しかし、カルテはそうはならなかった。臨床の場、特に緊急処置の必要な時などは、いちいちワープロソフトを立ち上げて入力している余裕がないのはよく分かる。しかし、定期的な検査や診察の結果、投薬などはワープロで入力できないものでもなかろう。

 患者側の弁護士が苦労することの一つに、手書きのカルテの読解がある。手書きでも読みやすい(字のうまいヘタは別として)ものであればよいが、独特の癖があったり極端なくずし文字であったりすると、まるで暗号を解読しているような気分になる。

 カルテは英語と日本語がごっちゃに使用されている。英語の翻訳は専門の方に頼んだり翻訳ソフトを利用したりしているので、アルファベットさえ読み取れれば読解が可能だ。しかし、そのアルファベット文字がくずされていて特定できずに翻訳不能となることがある。ただ、英語の場合は使用される言葉が特定の専門用語や使用頻度の高い省略語のことが多く、意外に解読が容易である。

 これに対して、日本語の癖文字の解読は難しい。特に重要と思われる箇所が読めないと、本当にイライラする。何十分もかけて考えて、思い当たると「なーんだ」という内容だったりするとガッカリもする。

 複数の医師や看護師が一人の患者を診ることも多いのに、他の医師や看護師はこの文字が読めるのかと思う。

 カルテは医師のメモではない。医師や看護師にとって患者の診療を考える上での重要な資料である。患者にとっても自身の病気や診療行為を知る上で重要な資料であり、個人情報保護法により一定の要件のもとで患者らに対する開示も義務づけられた。

 もちろん、手書きでもきちんと書かれて読みやすいカルテもあって感心することもある。しかし、前記のような「人に読ませることを想定していないような」手書きのカルテも多いのである。

 そのようなカルテを目の前にして、弁護士が疲れた目をこする日々はまだ続くのか。

 読めないカルテは、医師にとっても、患者にとっても、弁護士にとっても、困りものである。電子カルテでなくてもいいから、お医者さんには普通に読めるカルテを書いて頂きたいものだ。

 

 

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